第482話 2人を正座させてお説教した。
その他の皆で言えば、王様と黒さんの2人から別々に「チトセの神如き力・キャンセラーって時間制限あるの?」と聞かれたので「冷静に使えれば無いよ」と答えた。
あの日は焦って使ってしまったが神如き力は一度に沢山使いすぎなけれ徐々に回復していく。
1分間に1ずつ回復するとして神如き力・キャンセラーは3分で1くらいの消費なので問題無い。
「えぇぇぇ?じゃあチトセと戦う為にはあの力に勝たなきゃダメなのか…」と2人して言いやがった。
対私戦まで想定する徹底ぶりには困らされる。
王様単体で言えばビリンさんに負けないように更に鍛えると言い出して、黒さんはビリンさんに勝つ為の訓練を始めていた。
あ、忘れてたよ。
王様達は私に勝つ為には神如き力のステップアップだと思ったらしく「神様とジョマは2人目の子供作らないの?」と聞きに行っていやがった。
「神様の赤ちゃんはアンタ達のパワーアップの道具じゃ無い!」
「でも神化した僕の力を授かる赤ちゃんってアート以上の幸せ者かもよ?」
「そうだ!テッドとリリオの赤ちゃんを待とう!あの2人はコピーガーデンの人間だから僕が先だよ」
王様と黒さんが交互にアレコレ言ってくる。
頭痛の種が増えただけじゃないか。
「バカなの?バカじゃないの?バカだよね?」
私が神如き力・キャンセラーを使って無力化した2人を正座させてお説教した。
それでも諦められない王様と黒さんは神の世界で神々にお見合いを勧めるお見合いオバさんみたいな事を始めて「千歳、復讐神に結婚を勧められたんだけど、復讐神って縁結びの神にでもなるの?」とナースお姉さん達から言われて頭が痛くなった。
リーンさん達は世代交代やそれぞれがパートナーを見つけ始めた事に喜んでくれていて、「チトセちゃんがビリンのお嫁さんになってくれて赤ちゃんを授かったらお婆ちゃんが8人になるのね!」なんて恐ろしい事を言っていた。
アニスさんとアンさんの仲はアニスさんもアンさんの気持ちに気付いたので「僕で良いのかな?でも指名された以上はやりきるよ!」と燃えていた。
まあ燃えるのは勝手なのだがファーストフード店でアンさんとあれこれ悩まれるのは困る。
私達の知り合いだから許されたが普通の客なら追い返されるぞ?
「アンさん、こちらにはアンさんの好きなチーズが入っているね」
「本当、こっちはアニスさんの好きなトマトですよ」
「でも今日はこちらの魚のものも気になります」
「ええ、私もこちらのソーセージのものが気になります」
ってのを延々やってくれたんだよね。
ヤグルさんは城下町で造園業をやっている所の娘さんに恋をした。
なんでも家族で経営していてまだ見習いの娘さんが、散々私たちが訓練で荒らした花壇を根気よく面倒見てくれていて、その姿と家族仲の良さに心惹かれたらしい。
ただあの尋常ならざる顔面偏差値の高さと今までの恋愛遍歴が邪魔をして相手の子がヤグルさんの本気を受け止めかねて居るらしい。
私は「恋愛観はわからないけどヤグルさんの誠実さで根気よく仲良くして行って友達から始めなよ」と応援しておいた。
ここに書くが、よりにもよってツネノリに相談したのを聞いた時に「バカなんじゃないの?」と言ってしまった、
「千歳!俺も遂に恋愛相談を受けるまでに成長したぞ!」と言ってきた時のツネノリのドヤ顔ったらもう凄かった。
パルマさんは回復以外のアーティファクトをテツイさんと練習している。
今は風に回復を重ねて「回復の風」と言う技を成功させようとしている。
なんでも風に乗せてイーストの人達の小さな怪我を内緒で治してしまいたいらしい。
2人の夢?多分パルマさんの夢にテツイさんが乗っかったんだと思うけど怪我で困る人の居ない国にしたいらしい。
そう言えば最近まで「チトセさん」と呼ばれて居たのが覗きの神が片付いた辺りから「チトセ」と呼ばれるようになって居て、なんでか聞いたら「チトセが神化した時、テツイ先生に若返りの提案をしてくれて居たのを知って嬉しくて距離が縮まったのよ」と教えてくれた。
パルマさんは「私と先生のペースは周りの人達からしたら遅々とした進み方でもこれが私達なの。チトセは応援してくれる?」と聞いてきた。
私は「周りのペースなんて知らないよね!皆他人事なのに煩いよね」と答えておいた。
決して私とビリンさんの事ではない。パルマさんとテツイさんの事を思って答えたよ。
シエナさんはザンネさんとの結婚に向けて休みの度に準備をしている。
最初はガクさんとアーイさんが暮らしたノースの家から始めるらしい。
わざわざ住んでいた人に大金を握らせてザンネさんが追い出…平和的に譲って貰っていた事をシエナさんは知らない。
その家に2人で選んだ家具と食器を並べては嬉しそうに2人で笑い合うと言っていた。
「チトセ、今日の幸せがあるのはチトセのおかげよ!」
「そんな事ないよぉ〜」
「ううん。チトセのおかげ、ありがとう。チトセも幸せになってね」
「うん。ありがとう」
いつも会うと最後にはこの話になる。
レンカさんとの事は話にはして居ないが色々ある。
約束通り一緒に温泉にも行ったしサードのご褒美で滅茶苦茶恥ずかしかったがほっぺたにキスもした。それもレンカさんのお願いで赤い口紅までつけた。
油断して急に顔を向けたレンカさんと色々あったり無かったりしたのは内緒だ。
レンカさんはビリンさんと付き合った私に少し悲し気に「おめでとう」と言ってくれた。
「ありがとうレンカさん」と答えると「残念だったなぁ。でも何処か他の国の奴が相手になるくらいならビリンの方がいいのかな?それに私とチトセじゃ赤ちゃんは授かれないけどビリンとなら赤ちゃん授かれるよね?そうしたら私が愛情たっぷりで育ててあげるね!」と怖い事を言われてしまった。