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サード ガーデン  作者: さんまぐ
第四章・絶望の追体験。
48/492

第48話 涙も声も何も止まらない。皆に謝りたい。とにかく謝りたい。

ようやく王様が落ち着いた。

「状況を確認するわよ」

私は恥ずかしさを紛らわせる為にも率先して話す。


多分、覗きの神の目的はさっき想像した通りだろう。

それを話したら王様も同意をしてくれた。


「くそ、僕の世界をそんなくだらない事の為に使いやがって」

「ちょっと!怒らないでよ。もうしてあげないわよ!」

私はさっきの事を思い出して赤くなる。


「とりあえず世界が閉じきる前に私は帰らないと全部の世界がダメになっちゃう」

だが帰ろうとしても外が何も見えないのだ。


これは正直困った。


「チトセ…ごめん」

「謝らないで考えてよ!!」


そう言って悩んでいると「ふっふっふ、僕の出番ですねー」と言って王様の肩にトキタマ君がとまる。


「トキタマ?」

「トキタマ君?」


「不思議ちゃん、世界に穴が開けば何とかなりますよね?」

「う…うん。出来るの?」


「僕には出来ないですよー」

…がっかりだ。


「やるのはお父さんですー」

「え?王様?」


「はいですー」

「僕が世界に穴を?出来ていたらとっくにやっているよ」

「出来ますよー」

そう言ってトキタマ君が「ふふふ」と言って笑いながら飛ぶ。



「お父さん!聞こえますかー?」と叫ぶ。

「トキタマ?」


「あー、呼びにくいですねー。黒いお父さんは黒さんでもいいですかねぇ?」

「え?僕が黒さん?」


「はいです。お父さん!僕の声が聞こえて姿が見えますかー?感じるんですねー、じゃあ世界の天井、空に向けて攻撃をしてください!」


何を話しているんだろう?話の相手は王様?ゼロガーデンの?


「あー、やっぱり半分なんですねー。でも大丈夫ですーそのまま攻撃を続けてくださいねー」

そう言って今度は黒さんの上にとまったトキタマ君。


「さあ黒さん出番ですよー。本気ですよ。神の力で僕が見ている空を全力で斬りつけてください!」

「う…うん。【アーティファクト】!!」

黒さんはアーティファクトの光の剣でトキタマ君の見ている空を斬り刻む。

すると世界が鳴動してヒビの入る音…


「もうすぐですー。お父さん!黒さん!あと一歩お願い押しまーす!」


「斬り裂け「革命の剣」!神の力!【アーティファクト】」


パリンと言う音で世界に亀裂が出来る。

「お父さん、黒さん!そのままですよー。不思議ちゃん、お父さんの姿が見えますよね?」


「え?…うん!ゼロガーデンもセカンドもファーストも全部見えるよ!」

「今お父さん達が攻撃している間しか行けないので不思議ちゃんは行ってください!」


「トキタマ君、黒さん…」

「チトセ、君まで僕を黒さんって呼ぶの?」


「不思議ちゃん、僕と黒さんはここに残ります。と言うかお父さんと黒さんが攻撃をやめるとまた世界が塞がってしまうので不思議ちゃんしか出られません。

僕は黒さんと一緒に居ます。僕が居ればお父さんなら連絡が出来ますし。

世界に穴をあけるときは僕が指示をしないと駄目ですから僕は残ります。

いいですよね黒さん?」


「僕はトキタマが居てくれたら嬉しいけど…」

「じゃあ決まりです。久しぶりに2人きりですねー沢山お話ししましょうねー。じゃあ時間があんまりないので不思議ちゃんは黒さんにお別れをしてください」


「王さ…じゃなかった、黒さん」

「チトセ…まったく、君って奴は…」


「また来るから、寂しくてもキレないでよね」

「わかっているよ。さっきはありがとう」


「恥ずかしいから言わないの!ノーカウントよ!!」

「そうなの?」


「そうよ!後この世界の暫定神様になって空気とか全部綺麗にして、ここに居るだけで神如き力を使うから絶対に綺麗にしておいてよね!」

「わかったよ。チトセ、君に逢えて良かったよ」


「どういたしまして!

じゃあ行くね!!

神如き力!目的地はゼロガーデン、神殿!!」

私は神の力で瞬間移動をする。


飛んだ先には王様が呼んだんだろう。皆が居てくれた。

私は皆の顔を見たらホっとしたのと、あんなに辛そうに死んだ顔が頭から離れなくて大泣きをする。


「わぁぁぁぁぁ…、皆、皆…。ごめん…ごめんなさい。でも…でも…あんまりだったの。皆が死んじゃってどうしようもない中で誰も助けられなかったの!!」


声を上げて泣いているとルルお母さんが抱きしめてくれた。

お母さんもお父さんとゼロガーデンに来ていたので一緒になって抱きしめてくれた。


「お母さん!みんなが…お父さんがルルお母さんがツネノリが死んじゃった。テッドを生み出す為だけに作られて殺されて、みんな世界が腐って何もできない中で死んでいったの!!」


「千歳…」

お母さんが名前を呼んで頭を撫でてくれる。


「マリカさん達は東さん達の他に私を呼んでくれていたの。でも私はあの日声が聞こえなかった。助けられなかったの!!」

涙も声も何も止まらない。皆に謝りたい。とにかく謝りたい。

その気持ちで私は泣き続けた。

時間はあまり無いのに皆私が泣き止むのを待ってくれた。

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