表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サード ガーデン  作者: さんまぐ
おまけガーデン⑱~女神の初めて。
478/492

第478話 今までずっとありがとうビリンさん。……大好き。

「母さん」

「ビリン。おめでとう」

リーンさんは嬉しさで泣いていた。


「母さん、いつもありがとう。

俺の気持ちと黒父さんのした事を知って家族の中で1番困ったのは母さんだと思うんだ。

それでも黒父さんの側に居てくれてありがとう」

「ううん…、そんな事…うん。そうだね。私はビリンの本気の気持ちも見た。

チトセちゃんが結合をしてくれた時に神殿でサードの決戦を見ていた向こうの私の記憶や気持ちも入ってきた。

チトセちゃんが神になって1番…ツネノリ達とは違う絶望に打ちひしがれていたビリンを見て辛かった気持ち。

そしてチトセちゃんが半神半人に戻ってくれて皆の所に帰った事でビリンがどれだけ喜んだ事かと思った。

そして私達はキョロとの日常でキョロとチトセちゃんの間に起きた事を知った。

だから悩んだり困ったりしたよ。

でもね。きっとキョロの息子のビリンなら何とか出来ると思っていたよ。

嬉しいよ。私の子供がキョロを超えた。

ゼロガーデンのキョロを超えたのはツネノリって聞いて、それも嬉しかったけど、その何倍も嬉しい。

ありがとう。

強く優しく生きて。

キョロのように皆を守ってあげてね。

そして何よりも誰よりもチトセちゃんを支えてあげなさい」

リーンさんがとても長い言葉を心の底から大切に出すように話す。

何て優しい人なのだろうと聞いているだけでリーンさんの人となりが見えてくる気がする。


ビリンさんはとても嬉しそうに「おう」と言う。

私が「リーンさん」と言うとリーンさんは私を見て微笑む。


「チトセちゃん。

フェアでは無いけど少しだけ向こうのキョロから教えてもらっていたの。

私だけしか知らないけどチトセちゃんの涙の話。

ビリンがキョロに勝つ為に血の滲む努力をしてきた事。

親バカかも知れないけどビリンならチトセちゃんを支えられると思う。

だから肩肘張らないで良いんだからね。今まで以上にビリンに甘えて甘えて甘え倒してね」

「うん」

ずっとこの言葉を言いたかったのだろう。

そして私が今まで甘えていた事もお見通しでもっと甘えていいんだと言ってくれる。


「ビリン、キョロに言ってやりなさい。

あなたはその為にここにいるのでしょう?

痛い思いも辛い思いも苦しい思いもしてきた、それは何のため?

チトセちゃんの涙を止めるためなのよね?

さあ。言いなさい」


「うん」

リーンさんの言葉でビリンさんが黒さんの方を向く。


「こら、バカ親父。

息子の偉大さがわかったか。

そしてチトセは今日から俺の女だ。

チトセと何があったかは関係ない。

チトセ自身がノーカウントだと言ったからだ。

俺がチトセの涙を止めた。

父さんにはできない。

俺にはできる。

それだけだ」


ビリンさんがはっきりと言って今度は私を見る。


「チトセ」

「うん」


「前に言ったよな?覚えてるよな?

もう後悔なんてする必要無いからな?

チトセが泣く事なんてないんだ…ってな」


「!!?それ!」

「やっぱりか、幻にしては嫌にしっかりしていたからさ。きっと熱の中逢えていたと思っていたんだ。でも聞くのも格好悪いしさ」


あの熱の日の言葉…

覚えていたんだ…。


「そんでこれはずっと言ってた奴だ。聞いてくれ。

チトセ、俺に負けた奴の事なんて気にするな。俺は本当に気にしない」


「…」

私は嬉しかった。

本当にただその為にその為だけに血の滲む努力をしてくれたんだ。

そしてあんなに大変だったのに何もなかったかのように笑いながら軽く言うのが本当にズルい。


「どうした?返事だよ返事。

もう気にしないで済むよな?

泣かないで済むよな?」


「…うん。今までずっとありがとうビリンさん。……大好き」

私はそう言って抱き着く。


「おう。俺もだ」

「むぅ…、ちゃんと言えよぉ」

どうして大好きといったのだから「俺も大好きだ」と言えないかな?

ちょっと不満げに言う。


「うぇ、皆見てるし」

「言えよぉ」

私は多分甘えた声で言っている。

自覚は無いが声が甘えてしまう。


「俺もチトセが大好きだ」

「よろしい」


「チトセは奥手だからここまで長かったな」

「むぅ、それはサードの時に言われた奴だ」


「覚えてたか」

「覚悟しろよなー。甘え倒すからねー」

力を込めながら宣言。

恥ずかしくて顔は見れないし見られたくない。


「おう。これは新鮮でサイコーだな」

「むぅ…ビリンさんの癖に」


「チトセ酷え」

その声に皆が笑う。

笑い声は皆からの祝福のように感じた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ