第452話 世界を滅ぼす2人の魔王。
テッドが神の世界に着くと神の世界は騒然としていた。
「何事だ?」
テッドは近くにいた神に声をかけると思いもよらない返事が返ってきた。
「視覚神の家で元復讐神とあの半神半人が暴れているんだ!」
「何!?魔王と黒魔王か!?」
探していたキヨロスが暴れている事を知ったテッドはジョマを探す事を後にして慌てて視覚神の家に向かう。
それにしてもなんなんだ今日は一体?
不在のイィトとチィト。
消えたちとせ。
神の世界で暴れている魔王と黒魔王。
そして泣きじゃくるアート。
テッドはどれから片付ければ良いのか悩みながら手始めに一番問題が大きくなりそうな魔王と黒魔王を止める事にしたのだ。
進む度に逃げ惑う神々とすれ違う。
「あ!創出神!この騒ぎを止めに来てくれたのか!?」
「良かった!知り合いが来てくれた!復讐神を止めてくれ!」
「このままでは天界が滅びかねない!」
皆口々にそう言っては視覚神の家から一歩でも遠くに避難しようとしていた。
一体何が起きていると言うのだ?
そう思ったがすぐにわかった。
角を曲がれば資格神の家が見える所まで来たのだが家は無かった。
跡形も無くなっていた。
「…こ…これは…?」
そして視覚神の家があった場所、真っ赤な血溜まりの中心に魔王が右手で視覚神を持ち上げて周りを飛ぶ光の剣が視覚神を細かくなます斬りにしていた。
「言え!ビリンを何処に連れ去った!まだ言わないつもりか!もっと痛めつけられたいようだな!」
「ひいぃぃぃぃっ!?オ…オオ…オラ…オラじゃない!」
ビリンに何かが起きたようでその事で魔王が激怒しているのが今の一言でわかる。
あまりの剣幕に長髪の治癒神は腰を抜かして血溜まりにへたり込んでいる程だ。
「へぇ、まだ言うんだ。
よくもまぁ仕返しなんて思いつくな。
最近、僕たちも甘かったからかな?
それとも慣れ?
変な余裕が出来たみたいだね。
誰に頼んだ、なんの神に頼んだ?言え!」
黒魔王が辺りの家に向かって光の剣を向けながら視覚神に迫る。
「本当…オラじゃない…オラ何も知らない」
視覚神は泣きながら違うと言っている。
テッドはその時の視覚神の顔が嘘をついている風には見えなかった。
「魔王!黒魔王!!」
「テッド?」
「なんでここにいるのさ?」
テッドが騒ぎに割り込む。
「2人とも落ち着け、視覚神は嘘をついている顔に見えない」
「うひゃ?…キメラ…お前…」
テッドを見た視覚神が珍しいものを見た顔をする。
「「テッドと呼べ!」」
視覚神がテッドをキメラと呼んだ瞬間に2種類の光の剣が視覚神の右腕を貫く。
「ぎぃぃ…。テッド…さん……」
「今僕はテッドと話すからお前はそこで反省していろ」
キヨロスが視覚神を投げ捨てると黒いキヨロスが治癒神に視覚神の回復を言いつける。
「テッド?君はなんの用事で来たんだい?」
「魔王、質問に質問で返して悪いがビリンに何があった?」
「ビリンが突然の光に飲まれて消えたんだ…。僕が見張っているゼロガーデンでそんな事をやってのけるのは神の力を持つ者以外あり得ない。
だから僕は神の世界に来て一番に覗き変態趣味の神を怪しんだんだ」
「ビリンもか…」
「も?どう言う事?」
黒いキヨロスがテッドに話しかける。
「黒魔王、コピーガーデンでも同様の被害だ」
「何!?くそっ、僕が不在のタイミングで?それにテッド、君は世界の監視をしていたのだろう?」
「していた。なんの異常も感じなかった。
だが現にビリンと同じくちとせが光に飲まれて消えた。
俺はその知らせをルルから受けて母さんと黒魔王を呼びに来たんだ」
「ちとせが!?」
「光に飲まれた?」
キヨロス達の動揺と怒りは果てしなかった。
ちとせの名前を聞いた瞬間に大気が鳴動し2人の周りを小さな雷が放電した。
「くそっ、どこまでやれば気が済むんだ…」
「ゼロガーデンのビリンにコピーガーデンのちとせまで…だと?」
「どの神がやった!今すぐ名乗り出ろ!そして2人を返せ!」
「返さなければ連帯責任でこの世界を滅ぼす!」
キヨロスと黒いキヨロスが光の剣を飛ばしながら吠える。
さながら世界の終わりを彷彿させる雰囲気だ。