第436話 ここの所バタバタしていてすっかり後回しにしていて私は忘れ始めていた。
金曜日。
昨日夢の中での訓練の影響で更に動けるようになったビリンさんがウエストで圧勝していて皆を驚かせるが本人は夢の事は知らないので「俺、なんか変ですか?」とかぬかしていた。
「もう俺達じゃ役不足か?」
「こうなったら私達のスタイルで倒すか?」
ガクさんの言葉にアーイさんがムキになる。
「アーイ、それじゃあ訓練にならんだろ?」
「母上、熱くなるのもいいけど訓練は意識してよね?」
なんて会話の後でご飯を食べてから二の村に行く。
ネイの身体も徐々に出来上がって来ていて、後3日と言う感じになってきていた。
「一大事だ」
出会い頭に困り顔のテッドが言う。
「どうした?何があった?テッドの体調か?敵か?」
「いや…、もっと大変な事だ…」
ビリンさんがテッドの事を心配しているとマリオンさんの声がする。
「神様!ジョマ!ツネツギ!!」
突然お父さん達を呼ぶマリオンさん。
「なんだなんだ、どうした?」と言って瞬間移動をしてきたお父さんは突然マリオンさんに胸ぐらを掴まれると「皆でやるお疲れ会!いつまで待たせるのよ!いい加減にして!明日やってよね!」と言う。
あ、覚えていたのか…。
ここの所バタバタしていてすっかり後回しにしていて私は忘れ始めていた。
テッドは二の村に来てすぐにマリオンさんから「テッド!明日の予定は?」と聞かれていて、「明日も修行をするのか?」と聞き返す。
「違うよ!神様とかツネツギが全部終わったらお疲れ会を皆でやるって言ってたの!それなのにそのあと何も言ってこないんだよ!危なく忘れるところだったよ!」
「そうか…。しかしよく思い出せたな」
「昨日、夜中にアイツから連絡きてさ。それで思い出したんだよね」
あー。それが王様の足止めか…。
突然胸ぐらを掴まれたお父さんは「ひぇっ…、忘れてた」と言うと「どれだけ私が楽しみにしていたと思っているのよ!酷いよツネツギ!」と半ベソかかれていた。
よってお父さんとツネノリは金曜日の午後、必死にセカンドを回ってご飯屋さんを予約した。
「東!手伝ってくれよ!」
「別にいいけど、ツネツギがツネノリとやり切れば僕が多めに支払うよ?」
「くっ、やるしかない!任せろ!!」
「父さん…」
なんてやり取りもあったが無事にビュッフェスタイルの食べ物屋さんを確保していた。
そしてその日の晩にビリンさんといる時にアンさんがサウスに顔を出していて、アニスさんと2人で私達の前に現れる。
「お願いがあります」
「ごめんよチトセさん。ビリン」
「うぇ?」
「どうしたの2人とも?」
何となく想定外すぎて驚いてしまう。
「今度の日曜日にセカンドをアンさんと回りたいからまた頼めるかな?」
「私達で相談をしたんです。早いうちに二度目のデートをして普通のデートを体験しようって」
そこで私はピンときて、王様が手を回した事は理解した。
…土曜日がお疲れ会で日曜日がセカンドでデート?疲れるだろ?
「俺、日曜日には…」
「いいよね?2人はお肉御殿の一階。私達は二階ね」
足止めはしたかった私は疲れるのを我慢して2人の提案に乗っかる。
「…ビリン、予定があったのか?1週間ずらせないか?」
「予定がズレるなぁ。来週もウエストに通っていいならいいよ」
「ええ!是非いらしてください!」
アンさんの二つ返事でもう何も言えなくなるビリンさん。
結局、土日が埋まった事でビリンさんのコピーガーデン行きは1週間延びたし、ネイの完成も来週に持ち越された。