第43話 だが忘れかけたがこれはあの王様が見せてくれている絶望の記憶だ。
王様の城には家族10人が揃って食事を楽しんでいた。
王様は家族との団欒を楽しみながら意識を世界中に向けていて、今も神の力を練習している。
「アニス、君の訓練を見ていたよ。夜間の訓練がいい感じだったね。「太陽の剣」が使えない中でもいい感じに剣が振るえるのは素晴らしいと思う」
「ありがとう父さん!僕の攻撃をガイが受け止められるようになったし、ガイ達の二刀に俺も一刀で対応できるようになってきたよ」
アニスさんが嬉しそうに王様に修行の成果を報告する。
「ビリン、今日は神殿での護衛、ありがとう。二の村の修行もいい感じだよね。今のまま行けばこの中で僕の次には強くなれそうだ」
「当たり前だろ父さん。俺は強くなってチトセに惚れさせるんだからよ。まだまだ足りないぜ」
ビリンさん、まだ私を諦めてないんだよね。
まあ半分挨拶みたいなものでビリンさんも私もこの感じを楽しんでいる。
「パルマ、回復の力は強まった?見た感じは十分だけど」
「父様、私はまだまだです。出来たらまだテツイ先生の元で修行をさせてください」
パルマさんの修行はもう殆ど終わっているのだけど、テツイさんと一緒に居たいから王様にお願いをしている。
実は王様も3人のお母さんもそれを知っていて許している。
王様はパルマさんが相談をしてきたら可愛い娘の為に一肌脱ぐつもりでいる。
そしてパルマさんは私を通じてウチのルルお母さんにお願いをして人工アーティファクトを作って貰って修行の名目でテツイさんの所に通うのだけどまだ今はその日になっていない。
「ヤグル、槍捌きが上手くなったね。槍に紫水晶の鎧を重ねる戦い方は見事だよ」
「父様、ありがとうございます。これもチトセさんがカーイさんの所に僕を行かせてくれたからですよ」
ヤグルさんは防御専門で王様が攻撃をおろそかにしていたのだが、私の意見でカーイさんに鍛えて貰っている。
槍なので本当は二の村でマリオンさんに師事を受けるのが良かったのだけど、マリオンさんは下手をするとヤグルさんを自分の修行用に標的として殴り続けそうだったので辞めたのだ。
「レンカ、ザンネの修行について行けているのは本当に凄いよ」
「パパ、見てくれたのね?ありがとう、アンも一緒に強くなっていくから修行がとても楽しいの。見ててねチトセは私が守るからね」
レンカさんはとても綺麗な女の人だけど何故か私に求愛をしてくれている。
未来の話だが一緒に温泉に行った時は貞操の危機を感じたので申し訳ないが神の力で眠って貰った。
…何で一緒に温泉?
「チトセ、私修行で強くなったからご褒美頂戴!!」ってせがまれたんだよ。
「シエナ、フィルさんと訓練している連携指示がどんどん的確で正確になっていくね。嬉しいよ」
「パパ、ありがとう。今は応用で「蜘蛛の意思」で広範囲の状況を見れるようにしているのよ。日中はお城のみんなを見ているの。怪我をした人とか困った人が居たら近くの人に行って貰っているの」
シエナさんはこの先でバレバレなのだが内緒で戦神と話をさせた。
東さんに怒られなかったのはシエナさんの為になった事と戦神と話したのも私と戦神が仲良しになったからだと思う。
戦神の戦う世界では軍勢と軍勢が戦う事があってトップの判断が勝敗のカギになるのでそれについて教えて貰ったのだ。
「シエナはツワモノの娘か、それでは見込みも十分だな」と戦神が協力してくれた。
こうして王様は子供達一人一人と今週の進捗に関して評価をした後で奥さん達と話す。
「リーン、今週も城の事をやってくれてありがとう」
「いいわよ、キョロが神殿に行っている間は私が「千里の眼鏡」で国中を見ておくから安心してね」
リーンさんは3人の奥さんの中で一番力になれていないといつも気にしているが、王様の一番の理解者なのだ。
「フィルさん、シエナの事をありがとうね」
「いいのよ。シエナがどんどん強くなってくれれば私も嬉しいわ」
フィルさんは王様の一番大切な人。王様はフィルさんに微笑みかけながら感謝を告げる。
フィルさんにはこれがご褒美なのだ。
「ジチさん、神殿でのご飯。いつもありがとう。今日はごめんね」
「いいよ。一の村のお父様も大事なかったんだよね?それならお姉さんは問題ないよ」
ジチさんは王様が一番安らげる人。
一番年上のお姉さんで王様が甘えられる。
王様とジチさんがツネノリの先生をしてくれた事もある。
変わらない日常。
東さんが大切にして守っている世界。
だが忘れかけたがこれはあの王様が見せてくれている絶望の記憶だ。
この先に一体何があると言うんだろう。




