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サード ガーデン  作者: さんまぐ
おまけガーデン⑮~ビリンの特訓と助ける者たち。
413/492

第413話 キスの記憶、キスの価値。

ビリンとガク達の会話。

親たちが未だに繋がっていて情報交換をしていたことにビリンが呆れる。

そして今回の来訪が想定されていたものかを聞いた。


「ウチを頼ってくれるなんて思ってなかったよ。だがお前が目指すものが最強ではなく、最強と評される男に勝ちたいものだと言うのは少しなら…な」

「前にガイ達から聞いた千歳とキスをしたと言う不埒者がまさかな…」

そう言って2人が言葉を止める。




ガク達は少なからず情報交換をしていた中で千歳のパートナーに適しているのがカーイかビリンだと言う事は聞いていた。そして、アーイが気にしていた千歳のキスの相手がコピーガーデンの黒いキヨロスだと知ることになる。

アーイはその日、自身の娘と同じ年齢の乙女が世界の為にとその身を捧げたことにショックを覚えた。


アーイはガクと初めてキスをした日の事を思い出した。

あの日、自分がどれだけ幸せで満ち足りた気持ちだったか、想いが結実した事がどれだけ嬉しかったかを25年近く過ぎていても昨日のように覚えていた。

だが千歳はそれが手に入らなかった。


コピーガーデンを守るために、世界を守るために、このゼロガーデンやファースト、セカンド、サードを守るために千歳がその身を捧げたショックで泣きながらガクに打ち明けた。

ガクも申し訳なさから苛立っていた。




「途中で言葉を止めてくれてありがとうございます。

チトセはその事を悔やんでます。

仕方のない事、ガーデンの為にあの場では不可抗力だった事、それでもとんでもない事をしてしまった。取り返しのつかない事をしてしまったと今も泣いているんです。

だから俺はチトセとの仲はチトセのペースで待てるけど1日…1秒でも早くチトセの涙を止める為に最強に勝たなきゃいけないんです」


ビリンが力強くガクとアーイを見ながら言葉を紡ぐ。


「お前、偉いな。そんな事を言われたら誰だってお前の味方になるだろう?」

「まったくだ。それによく私達を選んだ!任せろ!」

ガクとアーイの嬉しそうな顔は最高潮に達していた。


「ありがとうございます!

脳内で何回も戦ってみたんだ。でもまだ勝てない。もう少しだと思ったら引き離されました。

今は無いけど高速移動にはルルさんからアーティファクトを授かりました。

手数と威力がまだ足りません…」


「成る程な、アニスを鍛えたようにアーティファクトを使わない攻撃であの自動防御を打ち破る威力が欲しいと言うんだな」

「後は二刀を使い分けて手数を増やすのだな」

2人はビリンの来訪の意味を悟っていた。


「はい。お願いします!あまり時間が無いのですがその中で俺に2人の剣技を授けてください!」


「まったく…、俺たちの子供には無い熱意だな」

「これが決め手だろうガク。ガイ達は他の国に行って鍛えてくれとは言わないからな。

よし、中庭に行くぞビリン!」


「キツくても根を上げるなよ」

「はい!アニス兄さんの話を聞く限りは二の村の訓練に比べれば人間らしいから大丈夫だと思います!」

ビリンが嬉しそうに言う。余程人間らしい訓練が嬉しい。そう見えてしまうのだ。


「…」

「…一応聞くがどんな目に遭っているのだ?」

「え?真冬に夏服で一晩過ごして凍死しないように身体を寒さに慣らさせられたり…」


「…」

「後は死ぬ程メシを食わさせられた直後に吐くの禁止で鎧を着こんだマリオンさんに襲われたり」


「…」

「夜中、寝ている所を急に油断大敵って襲われたり」


「…」

「俺は素手で、相手は武器を持ったり無手の達人でそいつらに囲まれて生き残る訓練とか」


「もういい」

「へ?いいんですか?他にも空腹で眠らないで戦い続ける訓練とかもありますよ?」

ビリンが思い出しながら何の感情もなく言うのがガク達は耐えられなくなっていた。


「マリオン!何を考えている!子供達を殺すつもりか!」

「なんかそのうち毒殺されないようにって毒とか食わされそうだよな」


「え?毒はやだなぁ。ガクさん…お願いですからマリオンさんに言わないでくださいね」

「言えるかよ。俺だって嫌だよ」

ガクが肩を落としながらビリンを見る。

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