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サード ガーデン  作者: さんまぐ
第四章・絶望の追体験。
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第41話 皆、私こそ皆を守れる神になるからね。

賑やかでとても広い木造の家。

ここは二の村だ。

普段ならカムカさんとマリオンさんの家では12人の子供達が元気に修行をしたり楽しそうにしている。


「ただいまー」

「今週も疲れたよー」

「お帰りカリン、マリカ。お疲れ様」

料理を作っていたカムカさんが娘を迎える。


「カムカ!逢いたかったよ!寂しかったよ!!」

「ああ、お帰りマリオン」

そう言ってカリンさん達の後ろから飛びついてきたマリオンさんを抱きしめてお帰りと言う。



「お、今度はガリルか?」

「お帰りガリル」

「ただいま父さん、母さん」

そこにイーストに修行に行っていたガリルさんも帰宅をする。


そして家族全員揃っての夕食。

「お母さん、今日のアレは神様に言わなくていいのかな?」

「アレ?」


「プラスタだよ。謎のプラスタ。お爺ちゃんは後で言うって言っていたけど、男の子のプラスタでお爺ちゃんが把握していないっておかしいと思わない?」

「ああ、アンタ達そう言って騒いでいたよね。んー、まあ月曜日になれば神様にも連絡が付くからお母さんからも言っておくよ」


王様は今の会話を訝しんだが東さんは今忙しい。月曜になれば連絡が付くから間に合うだろうと思ってしまう。


カムカさんとマリオンさん達の団欒はいつまでも見ていられる。

長男のカムオさんはカムカさんと今日も神に攻撃を与えるための修行をしていたらしくその進捗をマリオンさんに報告する。


「凄いよ!もうすぐだね!!」

「うん、俺が筋肉でチトセさんを守るんだ。俺はチトセさんに相応しい男になる」


「兄さん、俺だって負けていない。イーストでテツイ先生からアーティファクトの修行を受けているんだ。「時の腕輪」での時間操作も覚えたし、手甲に付いている氷のアーティファクトだって前以上にモノにした。チトセさんに相応しいのは俺だよ」


そう言って2人が睨み合う光景はいつもの事なのだろう。

カムカさんとマリオンさんはそれすらも嬉しそうに見る。


「強さならザンネとカーイより強くならないとな」

「今のアンタ達が勝っているのってチトセに年が近いって事だけだからね」

そう言って2人を止めるカムカさんとマリオンさん。


「残念だったねぇ」

「それに強さだけならマリクの方が強いかもよ?」


「俺?」と言ってマリクさんとリンカさんがやってくる。


「そうそう。マリクはチトセちゃんを守れるよね?」

「それにチトセちゃんをお嫁さんにしてもいいでしょ?」


「姉さん、何でも結婚に繋げたらチトセさんが可哀想だよ。でもそうだね。俺は守るよ。チトセさんを守る。この力をくれたチトセさんを守るんだ」

マリクさんは左手の人差し指に着いたアーティファクト「風の弾丸」を見てそう言う。

「風の弾丸」はマリクさんが欲しがっていたのを秘密にしていたが、私が説得をして見つけたアーティファクト。

そしてその事でマリクさんは私を守ると言ってくれている。


「マリクが守るなら私も手伝う」

リンカさんがマリクさんの横で頷きながら言う。


「じゃあ、全員今より強くなってよね!」とマリオンさんが嬉しそうに声をかける。


「おれもー」と一番年下のマオン君がマリオンさんに抱き着きながら言う。


「あはは、そうだね。マオンも強くなってね」

「案外マオンが最強だったりしてな」



「お父さんもお母さんも親バカすぎ」

「あーあ、私達も戦う力があればチトセちゃんを守れたのになぁ」

カリンさんとマリカさんの言葉を聞いて私は嬉しさ半分、申し訳なさ半分になる。


皆、私こそ皆を守れる神になるからね。




王様が次に見たのはウエストだった。

ガクさんとアーイさん、子供たちのガイさん、アンさん、ガルさんと5人で食卓を囲んでいる。

「アン、修行はどうだ?」

「叔父上からは上々だと言われました。後は父上たちからアーティファクトを授かった時の内容に合わせて修行の内容を変えてくださるそうです」


「そうか、ザンネからはそう言われたか。もうすぐアンも15歳。そろそろアーティファクトを授かってもいいのかもしれないな」

「適性は千歳に見て貰うか?」

そう、この後で私はガクさんにアンさんのアーティファクトについて相談を受けた。

アンさんは風のアーティファクトに適性があって、「嵐の髪飾り」と言うアーティファクトを授かった。風を纏う事で矢避けにもなるし風の力で舞うように戦える。


まだその事を知らない皆はアンさんのアーティファクトを使う姿を夢見て楽しそうにしている。

「本当に千歳さんはうちの女神だな」

「千歳さんが兄上でもガルでもいいから結婚してくれたら毎日が更に楽しくなるのに」

「姉上、兄上より俺の方がいいとか言ってよ」


「こら、お前達はまだ未熟だろうに。カムカ達の所の子供にもツネノリにも勝てていないんだからもっと精進をするんだ」

「はい…」


「まあ、それは今後の課題だが、千歳の言っていたキヨロスの子供達を世界中に修行に出すのはいい感じだな」

「ああ、うちに来ているアニスもまだ強くなっている。あのアーティファクトの問題点を無視する為にウエストに来た事は間違いではない」


「それでしたらノースに来ているレンカさんもヤグルさんもとても素晴らしいのですよ。兄上は今度ヤグルさんと意見交換をした方が良いと思います。あの方の防御力と考え方はとても参考になります」


「レンカは「革命の突剣」だったな。あの剣は本当に強い。まあ、問題点が酷いから日常で使うのは勧められないが剣の切れ味自体も相当なものだ。能力に頼らずに使いこなせれば中々のものになるだろう」


ウエストの皆はもう少し戦いから離れてもいい気もするけど、今の家族の共通の会話が戦いでそれを楽しんでいるのなら悪くないのかもしれない。


まだこの時は話が出てこないけどガルさんのアーティファクトも私は相談を受ける。

ガルさんにピッタリの凄いアーティファクトがノースに有って一緒に貰いに行った。




今度はそのノースだった。

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