第34話 テッドの人喰い鬼退治。
テッド達は今人喰い鬼の出る洞窟に向かって歩いていた。
テッドに残された時間が少ない事から戦神が夜が明ける前、深夜に出て昼に戻って早めの夕飯にしようと言い出したのだ。
オプト達には悟られないように「出来たてが食べたいからな」と戦神のワガママに思わせる気遣いがテッドにはありがたかった。
「テッドさんは何が食べたいですか!?」
オプトがニコニコとテッドに向かって聞く。
「俺はあまり料理の種類を知らないから…、出来たらオプトとリリオ、それとネイの好物が食べてみたい。色々知りたい」
まさか自分の事を言われると思っていなかったオプトは嬉しくなって舞い上がる。
「わかりました!リリオさんは何が好きですか?」とオプトはリリオに好きな食べ物を聞いている。
リリオはテッドに喜んでもらいたくて好物を伝える。その姿を見たテッドは戦神に「俺が居なくてもオプトとリリオは仲良くやってくれるかな?」と聞くと戦神は「なんの心配も要らん、安心しろ」と言ってテッドを安心させていた。
昨日の湖より遠方の洞窟だったので到着までに随分とかかった。
だがテッドがダンジョンに長時間いた事が無いので今日もあっという間に片付けて帰れるとみんな思っていた。
「超神を探す必要があるから水責めは出来ないな」
テッドが洞窟の中に入る事を決めると1人で中に入っていく。
「テッド?」
「中に超神が居たら危ないからリリオは戦神とここで待っていてくれ」
「待ってよ!超神がもし私が1人になるのを待っていたら私が狙われるでしょ!」
「むぅ…確かにそうだな」
テッドは失念していたわけではないのだがやはりリリオの口から聞くと心配になる。
「でしょ?だから行くわよ!」
そんなやり取りをしてからテッドはリリオを連れて洞窟に入る事にした。
洞窟は身をかがめることもなく大人が4人横並びで入れるくらいの広さで戦神に聞いてみると「戦いやすく調整がしてあるのだ。ここはイィトの気遣いだな」と教えてくれる。
途中、青色で大人サイズの鬼が出てきたが問題なくライトソードで切り刻む事が出来た。
「ふむ、人喰い鬼だな。何体出る事やら」
「最深部まで行って超神が居なければ一度洞窟を出る。最後に外から水責めにするから問題ない」
そう言うテッドの顔は水遊びが楽しみな子供テッドの顔になっていた。
途中の分岐は全て深い方、道幅の広い道を選んで進んで行く。
随分と歩いた頃、広大な空間に出た。
そこには約30体の人喰い鬼がテッドを待ち構えていた。
「テッド、沢山居るよ!」
「大丈夫だ。この広さがあれば問題ない。【エレメントソード・アイス】!」
テッドは氷のエレメントソードを出して人喰い鬼を斬り付けていく。
そして切り口から凍らせて行くとあっという間に人喰い鬼達を倒した。
「これで終わりか?だがやはり居なかったか…」
テッドはガッカリした顔でそう言うと帰ろうとしたのだがその瞬間声がした。
「うひゃひゃひゃひゃ、正解だぜキメラ!」
テッドが振り返るとそこには忌むべき神、自身に呪いをかけた憎むべき存在、全ての元凶…超神がそこに居た。
「超神!」
「1ミス、2正解だぜキメラ?」
「キメラではない!テッドだ!」
「おぉ、戦神は可愛らしい仔犬ちゃんだぜ。
弱いアンタにはお似合いだ〜」
戦神に気が付いた超神は嬉しそうにはしゃぐ。
戦神を見下したような言い方がテッドには許せなかった。
「私の事はどうでもいい!テッドの事はテッドと呼べ!」
「うひゃひゃひゃひゃ、呼ぶわけないだろ?
戦神が怒るなら尚更だ!ウッヒャーヒャヒャヒャ!!」
超神は戦神を煽るだけ煽ってくる。
「それよりもミスと正解の話をしてやるよ。
一昨日の廃屋、オラはあそこの地下に身を潜めていたんだよ。ロクに確認もしないで焼き討ちしやがって、だから1ミスだ。
2正解は、1つはそこのペタンコちゃんの発言だ。仮にキメラが1人でここに来たら先にペタンコちゃんと楽しく遊ばせてもらった。
裸にひん剥いて恥ずかしがらせた後は人喰い鬼の餌にしたんだけどなぁ。ウヒャヒャヒャヒャ!」
「ペタンコ!?まだ私は成長期よ!」
ペタンコと言われて自身の事と理解したリリオが超神に食ってかかる。
「ウッヒャー!いい反応するねぇ!キメラを殺したら本当にペタンコちゃんと遊んじゃおうかなぁ〜。
ウヒャヒャヒャヒャ」
超神は顔に手を当てて高笑いしながらリリオをいやらしく見る。
リリオはその目に身震いをした。
「そんな事をさせるわけがない」
「するんだよ。ウヒャヒャヒャヒャ。
ああ、もう1つの正解はオラがここにいるって事だ。良かったな死ぬ前に会えて。水責めしてたらまた会えなかったぜ?
でもまだあの熊ちゃんパンツは来れないんたぜ?まあ来てもオラと全面対決したら世界は崩壊だけどな。ウヒャヒャヒャヒャ!」
超神の高笑いが洞窟に響いた。