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サード ガーデン  作者: さんまぐ
第三章・限られた命に向き合う少年。
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第32話 テッドの人喰い薔薇退治。

「クエストに行く。怪しいのを出してくれ」

テッドがネイに言う。


「はい。今怪しいのを2つ用意しました。

1つは洞窟に住み着いた人喰い鬼の退治、もう1つはシィアの湖までの確保と探索です」


「説明をしてくれ」


「はい。

洞窟の人喰い鬼は深い洞窟に人喰い鬼が住み着きました。かなり深くて広い洞窟なので超神が住処にしている可能性があります」


「湖は?」

「こちらも通り沿いに人喰い薔薇が群生してしまい湖に行けていません。

なのでメインは人喰い薔薇の除去の後で湖の探索になります。湖には旅人が休める建物も多数あります。超神が住処にしている可能性があります」


「なるほど…、わかった」

「どっちにするの?」


「リリオ、近いのはどちらだ?」

「あまり変わらないけど湖の方が近いよ」


「ネイ、では湖に行ってくる。少しでも近い方が怪しいからな」

「わかりました。お気を付けて」




「今日も楽勝だよね〜」

リリオがあっけらかんと笑いながら言う。そのリリオは今とても機嫌がいい。


「リリオは機嫌がいいな」

「そりゃあね〜、さっきあんな良いものを見られたしね〜」


リリオがそう言ったのは先程街を出る際に遊んでいた子供がテッドにぶつかってしまったのだがテッドは子供達に「怪我はないか?気をつけて遊べよ」と優しく言ったのだ。


リリオはテッドは「何故ぶつかる?」と子供達に詰問すると思っていたので喜んでいる。

無論、テッドがそこまでする事はないのだがリリオの中のテッドはそこまですると思われていた。


優しい日差しを浴びながら暫く前に進むと前から甘い匂いがしてくる。


「いい匂い〜」

「なんの匂いだ?」

「これは薔薇だな」


「人喰い薔薇が近いのか?」

「恐らくね」


そう言って丘を越えると眼下には道を塞ぐように群生している巨大な薔薇が居た。


「花!?」

テッドは人喰い薔薇を見て花ではないかと驚いている。


「ああ、薔薇は花だ」

戦神が当然だとテッドに言う。


「倒せない…

俺には人喰い薔薇を倒せない…」


「なんで!?どうしたのテッド!?」

リリオが慌てて居ると人喰い薔薇はこちらに気付いたのだろう。


人喰い薔薇の太くて硬い蔓を伸ばして攻撃を仕掛けてきた。


リリオと戦神は蔓の範囲外からテッドを見守る。

テッドは蔓を器用に回避している。

とても苦戦するような敵には見えない。


火のエレメントで焼けないのか?

風のエレメントでは切り裂けないのか?

エレメントソードでは?


リリオはそんな事ばかりを考える。

だが現にテッドは困った顔をしながら蔓を器用にかわしている。


ライトシールドすら使わないテッドを見ていると不安になったリリオは「一度戻って!」と声をかける。


苦しそうに困った顔をするテッドは戻ってくると「リリオ…、俺はどうしたらいい?」と聞いてくる。


「どうしたの?バーって焼き払うと思ったらそれもしないし、ズバズバって切るかと思えばそれもしない。人喰い薔薇に何かあるの?」


「…戦神」

「へ?戦神?」


「戦神が…」

「私か?どうした?」



「戦神が花を大切にしろと俺に教えた。

大切にできないとリリオが泣く…」

テッドはとても辛そうに困った顔でそう言ったのだ、薔薇が花であると知らなかったテッドはここに来てかなり驚いていた。


……

………

…………

「アホーッ!」

「敵は別だ!奴には明確な敵意があるであろう!やってしまえ!」


「何故だ?花だぞ?」

ここでリリオと戦神はテッドが本当に子供なのだと言う事を理解した。

その姿は親に暴力はダメと教わった子供が乱暴者相手に反撃を我慢をしている姿なのだ。


「テッド…、よく聞くのだ。

奴には明確な敵意があるな?

その場合には身を守る必要がある。

正当防衛だ」

「正当防衛…」


「そうだ。弱い命は大切に、守れと言ったがあの命は…」

「俺より弱いぞ、それに花だ」


「……判断を変えるんだ。

リリオやオプト、ネイはどうだ?

奴に勝てるか?」


「無理だな」

「そうだ、そういう弱き者を守るのだ!お前の力はその為に授かったのだと私は思うぞ」


戦神の言葉を天啓のように感じるテッドは嬉しそうに顔を晴れやかにしてウキウキとしている。


「それでは倒してもいいのか?」

「思う存分やるがいい」


ここで黙っていたリリオが口を開く。

「テッド、きっと薔薇は切っても焼いてもいい匂いがすると思うわよ。不思議ね。

確かめてもいいのよ?」


衝撃を受けたように立ち尽くすテッド。


「そうなのか?

確かめてもいいのか?」


「好きにしなさい。私と戦神が許すわ」


一瞬で子供テッドの顔になりウキウキと前に出ると「良い匂い!」と言ったテッドがライトソードで蔓を切断する。


「…いい匂いはしない…」

ガッカリするテッドにリリオが「花は?確かめて!」と声をかけると火のエレメントで花弁を焼く。

ほのかに薔薇の香りが強くなる。


「したぞリリオ!良い匂いだ!」

「良かったね!火の温度で変わるかもよ!」


「そうか!やってみる!」

テッドはその後は蕾や咲いた花を数えて嬉しそうに焼いていく。


人喰い薔薇もどこに考える器官があるのかわからない、本能的なのかもしれないが火を避けて逃げようとするところにテッドはエレメントソードを突き刺すと「逃げたら良い匂いがしなくなる」と言っていた。


あっという間に人喰い薔薇の群れはテッドの実験で根こそぎ殺されてしまった。


「リリオ!熱はあまり高温で無い方がいいな!凍らせるのも綺麗だった!」

嬉しそうにテッドが戻ってくる。


「あんた、薔薇は知らないのに高温は知っているのね…、話してて油断するわけだわ」

「…?そうだな。高温は知っているな」


後で戦神がリリオに言った。

「恐らく薔薇は戦いに必要が無いから教わっていないか、記憶や性格に出た影響で知らないのかもな」

それを聞いてまたリリオは泣いていた。

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