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サード ガーデン  作者: さんまぐ
第三章・限られた命に向き合う少年。
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第31話 テッドが聞く2人の神の話。

「クエストに行く。怪しいのを出してくれ」

テッドは挨拶もそこそこにネイに話しかける。


テッドは朝起きて食事も楽しまずに急いでいた。

それがリリオの不安と不満を助長する。


「おはようございます。随分とお急ぎですね」

「ああ、俺には時間があまりないからな」


「だから待てと言っているだろうテッド?」

「戦神?」


テッドの肩に乗った犬の姿をした戦神はテッドに呆れながらに言う。

戦神の話では昨晩も今朝もまだ早いのだと伝えたのだが意味をなさなかった。


「だから言ったであろう?…ああ、人目があるな、ネイよあの部屋に通してくれ」

「はい」


部屋に入りソファに座るなりリリオはまた寝かされてしまった。


「テッドよ、昨日から言っている通り、今超神を見つけても千歳が来れぬのでは意味がないのだ、焦るな」

「それならば不在と言うイィトとジィマを呼べば良い。奴らはなぜ世界の危機に訪れない!」


最初は何かと誤魔化していた戦神であったが、いよいよ諦めて口を開く。



「出産の為に不在だ」



「…出産?あの出産…ですか?どなたが?」

ネイが物凄く驚いた顔をしながら聞いてくる。


「ジィマだ。イィトとの子を産むのだ」

暫くの沈黙の後でネイの「えぇぇぇぇっ!?」と言う驚きの声。


「神は子を産むのか?」

テッドに出産という知識があって助かったと戦神は思う。


「だが何故この大変な時に?」

テッドはこの状況で出産をするという神が信じられなかった。


「それは違うぞテッド、サルディニスはずっと平和だったのだ。だから今なのだ。そしてその今を狙って超神がやってきたのだ」

戦神は諭すように説明をしながら2人の神を庇う。

別に自分の口から言う必要は無いが、あの2人も悩んだ末の決断で別に軽い気持ちではないのだ。


「出産でご不在なのはわかりましたがどちらに?」

「遠い次元の彼方だ…」

そして以前千歳にした説明をする。

テッドもネイも「産声が世界を滅ぼす威力…」「世界を壊さない為にも次元の彼方に行く…」と言って納得をする。


「わかってくれたようだな」

戦神はホッと一息をつく。


「では次の質問だ。ジィマとイィトはいつ戻る?」

「予定では後5日。サルディニスでは15日だな」


「そうか、それでは俺は会えないだろうな。会ってみたかった」

テッドは自嘲気味に遠くを見て言う。


「テッドさん…」

「テッドよ…わかるのか?」


「ああ…、多分この感覚だろう。

身体の中から力が無くなる感覚がする。

だがそれでもエレメントの威力なんかは最初のまま変わらない。

これが超神の呪いだろうな」


そう聞いて何も言えなくなるネイと戦神。


「いや、俺の死は確定事項だ。

何も気にしないで欲しい。

超神は言っていた。

何もしなくても命は失われていくと、これは戦わなくても変わらない。

だから俺は残された命を使う為にも急いでいる」


「でも少し待て。こうして話をする時間も我々には必要なのだ」

「戦神?」


「テッドがそれで良くてもオプトは?リリオは?ネイはどうする?どうやって心に折り合いをつける?

だから話をして少ししてからクエストに行こう。もし超神を見かけたら千歳は怒るだろうが私がなんとかしよう」


「戦神に力はないのではないのか?」

「確かに戦う力は無いが呼べる力はある。

始まりの地からツワモノを呼んでやる」


「ツワモノ?」

「神話の英雄様ですか?」

これにはネイも食いつく。


「そうだな神話の英雄に名を連ねていたな。私もサルディニスに来れる資格を得た時に少しだけ予習をしたのだ。

確か[空を飛ぶ12本の光の剣で神を切り裂き、瞬間移動をする靴を履き、絶対防御に身を包む魔王]と書かれていたな。

奴なら超神に遅れは取るまい。

今、この状況でもサルディニスを見守る千歳よりも力を発揮できるからな」


戦神が嬉しそうに笑うとネイが慌てて戦神を掴む。

「戦神様!戦神様は神話の英雄様にお会いしたんですか!?」

「…苦しい……」


「ネイ、戦神が死ぬぞ」

「あああっ、すみません!!」


「いや、平気だ。会ったことがあるのは魔王と呼ばれたツワモノとその娘だな、ツワモノの娘の1人、神話にもあったろう?

[蜘蛛の力を借りて仲間たちをまとめ上げた美しき乙女]と、あの娘に戦術を指南をした事がある」


「凄いです!戦神様はとても凄い方でございましたのですね!!」

ネイは感極まって戦神に手を合わせる。


「…今まではあまり信じていなかったようだな」


その後は話と言ってもテッドの聞きたい話はイィトとジィマの話ばかりだった。

ネイも神話の答え合わせをするように喜んで話を聞く。


「最後に言うが、ここでの話は他言無用だからな」

「誰にも言わない」

「はい!わかっています!」



リリオが起きてきて話に混じったのだがプレイヤーに神の話をしてもピンとこないのでつまらなそうにしていた。

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