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サード ガーデン  作者: さんまぐ
おまけガーデン②~ツネノリ視点のサードガーデン。
179/492

第179話 俺と結婚をしてくれないか?

千歳はノレル母さんに言われてサウスの皆の所に行く。

話自体は気になるが俺は今すべき事は違う事を理解している。


「ツネノリ…」

「ノレル母さん、千歳の本音が聞けたよ。

ありがとう。

俺は千歳を神にしないよ」


「ありがとう」と言ったノレル母さんは母さんに戻る。


「ツネノリ」

「やるから、母さんがそんな顔をしていると千歳が心配になるよ」

「そうだな」と言って母さんは父さん達の所に行く。


「メリシア」

「はい」


「この後時間をくれないか?」

「ここでは話せない事ですね?わかりました」


「メリシアにはいつも済まないと思っている」

「私達の妹の為ですもの、迷惑なんてありません」

メリシアが当たり前のように言ってくれる。

その顔に俺は少し救われていた。



千歳が一通り声をかけた後で俺達の横に帰ってくる。少しだけ気持ちが落ち着いた顔をしている。


「今僕達の事態がハッキリした!」

そう言ってキヨロスさんが話し出した。


「僕達のゼロガーデンが複製の力で複製されてそこでギフテッド、テッドが生み出された。その先で僕達の世界は無残に壊された。チトセの見せてくれた世界。あの腐った空気の中で無残に散った命。

僕はそれを許さない!僕達の無念を僕たちの手で晴らしたい!」


その声に誰も異を唱えない。

皆千歳を神にしない為、殺された命に報いる気持ちだ。


「だがチトセの心配ももっともだ、僕達がサードに乗り込むとその隙に除き変態趣味の神がガーデンの破壊に赴くのかもしれない。

だから僕達の中から1人だけサードに送り込む事にした」


何!?

誰がサードに行く?

俺は寝耳に水で驚くと千歳も驚いた顔で俺を見る。

俺は知らなかったと首を横に振る。


「さあ、来てくれ!」

そう言ってキヨロスさんの前に突然現れたのは1人の少年だった。

ビリンぐらいの歳の見覚えのない少年。

誰だと思っていると千歳が驚いた声で「テッド…?」と呼ぶ。


テッド?

コピーガーデンの黒いキヨロスさんに殺されたプラスタ?


千歳は殺されて消えたと思っていたのだが死の間際にキヨロスさんが0と1の間で保護していたと言う。


テッドは嬉しそうな顔で千歳に抱きついていて皆が驚いていた。

俺も驚いたのだが「あれは好意より嬉しさと感謝ですよ」とメリシアが教えてくれて落ち着けた。


メリシアの言った通りテッドが千歳に感謝を告げる。

昨日千歳が目一杯入れていた「神の力」の擬似アーティファクトがテッドの命になり、0と1の間でキヨロスさんから教えを受けたと言う。


「俺は生まれたばかりで何が何だかわからない。でも今はこの状況を作った超神を倒したいと思っている。だからサルディニスに戻って俺が超神を探す事を許してほしい。

後、俺の為に皆を巻き込んでしまって申し訳ないと思っている」

テッドの状況と発言で全員がテッドのサード行きに反対はしなかった。



千歳は助けられなかったと悔やんでいたテッドの生存とても嬉しかったのだろう。

テッドの顔を真っ直ぐに見る。

「テッド、ギフテッド、テッド。貴方はプラスタです。幸せになる為に産まれてきました。貴方は幸せになる権利があります。あなたの幸せを見つけて。そして幸せになってください。私は貴方を祝福します」

千歳が思いのままを伝える。

幸せになって貰いたい。

その事は聞いている俺にも伝わってくる。


「ありがとう、女神チィト。だが俺は女神チィトよりさっきまでの話し方の方に好感が持てるのだが…、それに今までの姿も0と1の間で見せて貰った。真剣な眼差しも言葉も全て女神のそれよりも今の方が良いと思うぞ」

テッドも思ったままを返している。

確かに女神の千歳は似合わない。


「ぐっ…、折角女神として決めたのに…。恥ずかしいのにやってんだからありがとうとか言いなさいよ!」

ほら、こっちの千歳が本物だと俺は思った。

それは俺だけではない。


「チトセに女神は無理があるって話だよね。チトセ、出来ないんだから無理しない方が良いよ?」とキヨロスさんが言い。


「千歳さん!千歳さんは俺達の女神ですよ!自信を持ってください!!」ガイが励まして「そうだな、普段の千歳も十分に女神だな」とガクさんが便乗する。


「チトセさん!今の姿も素敵だよ!!」

ガリルが鼻息荒くガイに負けじと言えば「そうだよな、チトセの女神姿も初めて見たけど良かったよな」とカムカさんも乗っかる。


皆思い思いに千歳の事を見ている。


「ふむ、娘の晴れ姿を見れるとは思っていなかったが悪くない」

「ああ、俺達の娘は凄いんだよな」

「千歳、良かったわよ」

母さん、父さん、千明さんが嬉しそうに言う。


よし、俺からも言おう。

「千歳、普段のあの感じとはギャップが激しいな」

「ツネノリ様!しー…、後で怒られますよ!」

俺とメリシアは少しだけ笑顔で言えた。

千歳にはこの軽くなった空気が伝わっただろうか?


「外野!うっさい!!」と髪を赤くして怒鳴ってくる。

そうだ、千歳は悲壮な顔よりその怒って笑ってコロコロと代わる顔の方がよく似合う。



「ははははは、チィトの周りは素敵な人たちだ」

「え?テッドが笑った…」

テッドが笑った事に千歳が驚く。


「そうだな、一度死んで心が生まれたのかもしれないな」

そのテッドの嬉しそうな顔は守るべき顔だと思った。



その後、テッドは父さん達の所に来て「チィトのご両親…初めましてテッドです」と自己紹介をする。


「チィトに助けられた事をとても感謝している」

そう言って頭を下げる。

父さん達は「助かって良かったな」「助かった命、無駄にするなよ」「千歳が助けられて良かったわ」とテッドに言う。


「貴方のライトソードとエレメントソードを授かった。ありがとう」

テッドは俺の方を向くとそう言った。

多分、0と1の間でキヨロスさんから聞いたのだろう。


「いや、その力で頑張って生きてくれ」

俺は思った事を伝えた。



その後、この先の話をした。

テッドはサードに行って隠れた超神を探す。

千歳はコピーガーデンで力を使いすぎているからと今日1日の休息を命じられてふてくされていた。

今の千歳を放っておくと何をしでかすかわからないから休息はありがたい。



千歳が一瞬だけサードにテッドを送りに行ったタイミングで俺は動く。

「キヨロスさん」

「ああ、わかっているよツネノリ」



俺はキヨロスさんにさっきの話をしに行く。

「皆、聞いてくれ。

チトセの本音がさっき出た。

青いルルのお手柄だ。

チトセは青いルルにこう言った。


「今すぐあの日に行って皆を助けたいんだよ」と…

それは神化をして神になってでもコピーガーデンの僕達を救うと言う事だろう。

僕はそれを認めない。

ツネノリは?」


「俺もです。

認めません」


「皆も同じだろう。

僕達は4年前、覗き変態趣味の神を痛めつけた後にたった一つのことを誓った。


チトセを神にしない。


今こそその言葉を果たす。

悪いが僕はチトセを神にしない為にも僕自身を、皆を先に使い潰す作戦を立てる。

無論、そうならないで済むようには尽くす」


皆、快諾をしてくれた。

俺は皆に向かって頭を下げる。


「この後、僕はチトセに隠れて動く。何か動きがあれば知らせる。皆、更に備えてくれ」と言う声でこの話し合いは簡単に終わる。

いつ千歳が帰ってくるのかわからないから完結に済ます必要があるのだ。



「メリシア、時間をくれないか?」

「はい。さっきの話ですね。

いつもの場所に行きましょう」

そう言って俺達はバルコニーに向かう。


「風が気持ちいいですね。

こんなに気持ちいいのに非常事態なんですね」

「ああ、本当だな」


目の前で髪をかきあげながら遠くを見るメリシアは4年すぎても変わらず綺麗だった。


「それで?話って何?今しか言えない事?」

「ああ、こんな時に言う事ではないのだが、今言わなければならない事だ」


「言ってツネノリ」

メリシアは非日常を作る時にする話し方で俺を見る。


「メリシア、俺と結婚をしてくれないか?」

「…」


メリシアが目を閉じて黙る。


「はい。

ずっとその言葉を待っていました。

ありがとうございます」

少ししてそう答えてくれる。


「だが…」

「この件が無事に終わって千歳様が無事に人のままで戻られたらですよね」


言おうと思ったことは見透かされていた。


「すまない。

メリシアの事と千歳の事を合わせる事ではないのだが…」

「仕方ないわよ。

千歳様が無事に戻らないと気持ち良く前に進めないでしょ?

折角結婚しても千歳様の話になるたびに「俺が幸せになって良かったのか?」なんて言われたくない。

それに千歳様は大丈夫。

きっとわかってくれるわよ」


メリシアがそう言って微笑む。

普段ならそこで終わる。


「ツネノリ、私も話があるの。今しか出来ない話。

貴方は私を許してくれますか?

私のする事を賛成してくれますか?

賛成してくれるのならお母様に相談をしたいの」


そう言ってメリシアが話したのは終わった後に待ち構える事についてだった。


「…いいのか?」

「はい。私も取りこぼせないから…」


「わかった。尊重する。後で一緒に母さんに話そう」

「ありがとう」


そう言うと俺達は皆の所に戻ることにした。

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