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サード ガーデン  作者: さんまぐ
おまけガーデン②~ツネノリ視点のサードガーデン。
173/492

第173話 千歳、俺とメリシアをサードに連れて行くんだ。

千歳の説明。

それは突如サードに現れた謎のプラスタ・テッドと言う男の話だった。

そして覗きの神、視覚神が再起して東さんとジョマの居ないこのタイミングを狙って攻撃を仕掛けてきた。

千歳の攻撃力では超神と名乗った視覚神の防壁を傷つけるだけでサードが余波で壊れてしまうのだ。

そして超神は時間稼ぎの為にサードの住人、プラスタとマイスタを3人殺して居た。

千歳が目も前で無残に殺される命を見逃せるハズはない。

3人の蘇生をして人間の限界に近づいてしまった。そしてゼロガーデンに逃げ帰ってきていた。


全てが非常に忌々しい話だ。

正直視覚神は4年前に殺しておけばよかったと思った。

何故ジョマや東さんはあの時俺達が神殺しを出来ないように邪魔をしたのだろうか…。

理解に困るがだが今はそこではない。


「千歳、俺とメリシアをサードに連れて行くんだ」

俺とメリシアがサードに行く。

そうすれば自由に動き回れるし、万一超神との戦闘状況になっても千歳が防壁、俺とメリシアが攻撃であっという間に片が付く。

神殺しに罪が伴うのだとすればそんなものは俺が被る。

だが千歳の答えは違っていた。


「ダメだよ。今日集まって貰ったのはそうじゃないんだよ!」

「何?」

「どう言う事ですか?千歳様」

俺とメリシアは思いもよらなかった千歳の返事に驚いてしまう。


「覗きの神の狙いがサードだけで無かったとしたらこのゼロガーデンにも何かをするし、ツネノリやお父さんがセカンドとファーストから離れたら何かするかもしれないからダメなんだよ」


くそ、そういう事か…千歳は隙を突かれて各個撃破をされる事を考えて気にしている。

確かに勇者をしている俺とメリシアがファーストとセカンドを離れる事は望ましくない。

父さんや母さんも神代理でファーストとセカンドを管理しているから離れる事は望ましくない。


「では何を話すのだ千歳?」

「うん、覗きの神が生み出したプラスタ、テッドという名前なんだけどテッドについてもう一度説明をするから一緒に考えて欲しいの」


千歳の説明でテッドの身体に残る記憶と言うでペックさんとカリンとマリカの会話があった事を言う。


「それでチトセちゃん」

「さっき話を聞きにウチに来たんだね」

「僕達はさっきも話した通りその記憶はないんだよ」


その部分も超神が使った新しい能力なのかもしれない。

話はテッドが授かった祝福の話になる。

テッドはプラスタとは言え異例とも言える20の祝福を授かっていた。


その祝福は聞いて行くと俺とマリオンさんとビリンのモノになる。

途中、短距離の瞬間移動の話になる。千歳が「ツネノリの瞬間移動は距離なんて関係なく壊滅的だから祝福にはならなそうだよね」と言ってくる。


「うっ…」


俺の瞬間移動のは4年間密かに修行を積んでいるが相変わらず壊滅的だ。

俺を全面的に受け入れてくれるメリシアですら「笑えない欠点」と呼んでいる。

まあそれは3年前に2人でファーストを旅行した時の失敗が原因でそれまでは「欠点が一つくらいある方が「愛嬌があって可愛い」って千明お母様も言っていましたし私もそう思いますよ」と笑ってくれていたのだが、ファースト旅行から先は「笑えない欠点」と言われている。



情報が足りない事からガクさんがプラスタについて話そうと言ってくれてプラスタの話になる。

ペックさんの説明の後、どうやってプラスタに俺達の能力を付与したのかとなる。

千歳とペックさんの説明だと基本的に無理があると言う話でまた話が頓挫をする。


「やはり話には決め手がないな…

千歳、視覚の神とそのテッドの会話を全部拾えないか?」


父さん、金目金髪のツネジロウが千歳に向かって言う。

今日は黒い髪の父さんは土曜日なので神代行の仕事はツネジロウが家で行っていて、補助的に千明さんが自宅で待機してくれている。

俺も土曜日は基本的に休みなのだが、今日はバーガー屋の開店が重なっていたので休日出勤と言う事をした。土日に働かなくても大体メリシアと一緒に居るので仕事をしているかセカンドやゼロで修行を行うのは変わらないのであまり休日出勤をどうこう思う事は無い。



「おっけー、ドフお爺さんのお陰で力が使えるから拾うよ」

そう言った千歳が神の力で拾った会話から千歳の気になった部分を抜粋した。



――――――――――

「そう言う事か…歴史を追った時にボンクラが言ってたなぁ。入れすぎると記憶と性格が壊れるって…失敗作か…」


「その名は不服か?

ならこう呼んでやってもいい。

ギフテッド・キメラ。

お前は色んな人間を詰め合わせて出来たキメラだ」

――――――――――



「ボンクラって東のことか?なんか視覚の神は前に見た時と性格が変わっているな。それにしてもキメラ?人間相手に好き勝手言う奴だ」

父さんが怒っている。

俺達の父さんは人を大切にしている。人をぞんざいに扱う奴を許さない。



「この会話!」とペックさんが突然慌てる。


「マリオン、ルルさん、ツネジロウさん、キヨロス君、覚えていないかい?

プラスタの原典、メリシアさんの蘇生作業だよ」

メリシアは…タツキアで一度死んでいる。

ジョマとの戦いで助けられなかった。

俺は一度自暴自棄になってしまった事もある。


自暴自棄になったのは東さんからメリシアが亡くなった日の朝に「神の力で蘇生が不可能だ」と聞いていたからだ。それはジョマの妨害があるからできないと言う事だと俺は理解していなかった。

だがその状況下で千歳はジョマに交渉をしてくれて言質を取ってくれた。

ゼロガーデンでは母さんがペックさん達の力を借りてメリシアの蘇生を行ってくれた。

その技術を転用したのがプラスタやマイスタ、サードで生きる一部のスタッフだ。


「マリオンがメリシアさんに戦闘経験をあげたいと言って、僕が擬似アーティファクト「経験の証」を作ったよね?その時にキヨロス君が皆の経験もメリシアさんにあげようと言ったんだ」

俺は初めての話に驚く。

キヨロスさんはそんな事を考えていたのか?

だがなぜやらなかった?

その答えは次の発言に含まれていた。


「その時に神様が言ったじゃ無いか「駄目だよ、マリオンでいっぱいいっぱいだよ。それ以上渡すとメリシアの性格とか記憶に障害が出るよ」って。このプラスタ君は視覚の神によって無理矢理皆の経験を入れさせられたんだ…」

ペックさんが青い顔で言う。


「じゃあテッドは本当に、後先考えずに戦う目的…サードを滅茶苦茶にする目的のみで産み出されたの?

それで皆の戦闘経験を入れさせられて?

性格や記憶に障害が?」

千歳があまりの話にショックで取り乱す。


「落ち着け千歳」

俺が前に出るのと同時に父さんも出てきて千歳の肩を抱く。

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