第141話 数日ぶりの神の力で緊張するなぁ。
ガーデンのウチの前で私は躊躇している。
「…」
「中に入るのが怖いかい?」
「怒られないかな?あの日のツネノリ怖かったし」
「大丈夫ですよ千歳様。マリオン様も優しかったですよね?」
「うん」
「そうだよ千歳、怒っているのはこっちじゃなくてゼロガーデンの皆だよ」
「ええぇぇぇっ?」
「行くの楽しみですね」
「行きたくない…怖い」
一気に行きたくなくなる。
「諦めるんだね。
怒られるのも平和になった証拠だよ」
「怒られたくないなんてチィトは子供だな」
「テッド!うっさい!」
「今の声!?」
「千歳か!?」
あ、聞かれた。
家の中からはゾロゾロと皆が出てくる。
皆私の無事を喜んでくれて涙まで流してくれる。
「俺達のために苦労をかけた。済まない」
「いいよぉ、ツネノリは気にしないでいんだよ。
ちゃんとメリアさんと結婚してよね」
「ああ、勿論だ」
あれ?ツネノリが素直だ。
「実は自分が複製された存在でゼロガーデンと情報を結合された時、そして千歳がこのコピーガーデンを閉じた世界にすると行った時、メリシアの事を考えていたんだ…。
そこに現れたメリシアとメリア。
俺は改めて彼女を失ってはいけない事に気付かされた」
「俺もだ、ルルと千明、俺とツネツギ。4人揃ってこそだと思った」
「良かった。皆がそう言ってくれて嬉しいよ。ありがとう」
「千歳、それで君はどうする?」
「東?」
「千歳は外の世界の存在で向こうのゼロガーデンとも交流がある。
娘や妹として両方を行き来するのはストレスになる」
「うん。私はやはりこの世界用の私が必要だと思っている。
さもなければお父さん達の記憶を操作して私は死んでしまったものに…」
「「バカヤロウ!」」
ひぇ…ステレオで怒鳴られる。
「千歳よ、死んでしまったはダメだ」
「ルルお母さん…」
「そうよ、他の方法にしましょ?」
「うん…」
「それではやはりツネジロウ様の方法が良いと思います」
「メリアさん…」
その後、話し合った結果は私のコピーガーデンの身体ではないが「ちとせ」が用意された。
ちとせは茶髪で茶色の目。
私がコピーガーデンでちとせに同期すると黒目黒髪になる。
怪我なんかは瞬時に治る仕様にしたので私が同期した際の問題なんかも無くなった。
「いいのかなぁ、私が来るのってツネノリとメリアさんの赤ちゃんに会いたくてとかだと思うよ?」
「良いんですよ。それでも千歳様が来てくれるなら皆大歓迎ですよ」
メリアさんの言葉に皆口々にそうだと言う。
私は一つだけ東さんとテッドの許しを得て力を使った。
「数日ぶりの神の力で緊張するなぁ…」
「千歳?何をするつもりだ?」
「ツネノリとメリアさんの為、みんなの為、ちとせの為よ!神如き力!」
その掛け声で家の増改築が行われる。
「あ!家が!?」
「四階建てになってやがる…」
「コレじゃあ、ちょっとした城じゃないか…」
「ふっふっふ。
四階がツネノリとメリアさんの家ね。
2人きりで思う存分イチャイチャしなさい!」
「千歳!?」
「千歳様、ありがとうございます!!」
ツネノリは真っ赤だが満更ではない。
そのまま説明をした。
三階はちとせの家。
二階の右半分がルルお母さんの家、左半分がお母さんの家。
一階は殆ど変えてなくて大きく変えたのは階段を作ったくらい。
「千歳、俺の部屋は何処だ?」
「俺の部屋もないぞ」
「お父さん達は2人で決めるかお母さん達に決めて貰って今日はルルお母さんと、今日はお母さんとって暮らしにすれば良いのよ」
皆で家に入ってトイレとお風呂の話をした。
お母さん向けに日本になるべく近いようにしてある。
「ありがとう千歳」
「いいよぅ。でもこれ水が必要だからツネノリかルルお母さんがアーティファクトで水を貯めてね」
「了解だ」
「わかった」
こんなもんかと思った所で東さんが「さて、次に行こう。次はゼロガーデンだよ」と言う。
「…そういえば黒さん見てないけど…、会わなくていいのかな?」
ふと気になった事を言う。
「ああ、黒魔王か…。今日も不在だ」
「毎日夜には帰ってくるから会いたかったら夜に来るといいよ」
「え?黒さんって何処ほっつき歩いているの?」
「神の世界ですよ千歳様」
「何で?」
「視覚神に色々と支払いをさせるそうですよ」
「あー…了解」
王様も黒さんも絶対に許さないタイプだもんね。
「さあ、ゼロガーデンだよ千歳。皆が首を長くして待っているよ」
「うへぇ…」
「千歳、まだ向こうに行っていなかったのか?」
「さっき力が解禁になったんだよ。
お父さん達に何度聞いても能力封じの服役が終わったら自分で行けって言われて何も教えて貰えないし、東さんからは今さっき皆怒っているって言われたし気が重いんだよ」
「それは仕方ないのお。
私達は助けて貰った身の上だから千歳に感謝しか出来ないし、自己犠牲に関しても自慢の娘としか言えないが、送り出すほうの親としては腹が立つ。
一言言ってもやりたくなる」
「えぇぇぇっ…」
「まあコテンパンに怒られて嫌気がさしたらこっちに来ればいい。俺達はいつでも千歳を大歓迎だ」
「そうだな。いつでもくればいい」
「うん…。皆ありがとう」
「じゃあ千歳、送るから先に行ってくれ」
「え?一緒じゃないの?」
「僕達はこっちでちとせを用意するし、折角だからテッドにそれを見せてあげたい。
ただの命じゃなくて千歳と同期出来る様にするからね、少し手間なんだよ」
逃げにも聞こえるがそう言われると何も言えなくなる。
「千歳様、すぐに追いつきますね」
「ジョマ、早く来てよね」
「テッド次第です」
「テッド!早く覚えてよね!」
「任せろ」
そんなやり取りの後私はゼロガーデンに送られた。
光が晴れるとそこは神殿で…
目の前には目を三角にした皆が私を待っていた…。
帰りたい。




