第134話 そんな甘えが許されるのかな?
「さあ、話を戻そう」
「千歳様、何か聞きたい事はある?」
東さんとジョマが聞いてくる。
「うん、2個あるよ。
一つはテッドの事。
コピーテッドはどうなるの?」
テッドが消えてしまった今、コピーテッドの事が気がかりだ。
「…千歳、彼は無理矢理生み出されたプラスタだ。
今ここにくる前に会ってきた。
結論から言えば彼は普通の人にできない」
「そんな!皆が折角助けたんだよ!死んで消えちゃったけどテッドはカムカさん達と、ツネノリ達や皆と戦って楽しかったって笑っていたの!
カムカさん達は子供にしたいって言ってくれて、テッドはとても嬉しそうで!
それなのにテッドだけじゃなくてコピーテッドも助からないの?」
「千歳、詳しくは話さない。
だが彼…テッドは視覚神が何処かの世界で人間にアーティファクトを持たせてから殺して用意した魂ではなく、視覚神が中途半端な創造の力で作った魂だったんだ。
だから人へのしようが無かった…。
更にその劣化コピーと言っても過言ではないコピーテッドとなると人にすることは無理だ」
「そんな!「神の力」は?ドフお爺さんに作って貰って命にすれば何とかならないの!?」
呪いの力が残るならそれ以上の力をぶつければ…、そう思って質問をする。
「無理だよ千歳。
君自身言っていたよね?
余剰の力が「まだ入る」と…。
僕はサードでの出来事も見てきたよ、もうあの時から彼の崩壊が始まっていたんだ。
誰が高威力の神の力を6人のコピーテッドに流し続けるんだい?」
「私が!」
「それはダメ。諦めて千歳様。
もう0と1の間でもコピーテッド達は人になる事を諦めてくれたわ」
「ジョマ!嫌だよ!取りこぼしたく無い!助けたい!」
「神も万能ではないの…」
そう言って泣くジョマを目の前にしたままこれ以上言える訳もなく私は諦める。
「千歳、2つ目の質問をしてくれ」
「…神の世界に行った時、皆が東さん達に手を貸すために行っていたのなら何で時空神のお姉さんは居たの?」
「それは地球の神様が予言や予見、予知を司る神と共に予知を行ったからだよ」
「予知…?」
「そうだよ。
だから千歳の助けになる神や千歳が求める神は神の世界に残って、それ以外の神が僕達を迎えに次元の彼方まで来てくれたんだ」
「東!それなら千歳を何故神にした!」
「予知の神が力を使ったのなら千歳を助ける事も出来たはずだ!」
お父さん達が我慢できずに口を挟む。
「その通りだよ。ツネツギ、ツネジロウ。
予知の神は地球の神様と予知を行って何百と言う予知結果を見た。
その中でどの未来を辿っても千歳が人を捨て神になったと言っていた」
「「何!?」」
「今はその中でも最善のモノを僕や神々が選んだんだ。
本来ならもっと簡単に戦いが終わる道筋もあった。神々が全力でサードを守り千歳とキヨロスが視覚神を止める筋道だ。
千歳、君はもし今の筋道の中で、仮に視覚神があの段階で攻撃をやめて戦いが終わっても早晩神化をするつもりだったよね」
「……うん。私はコピーガーデンを取りこぼしたくない」
「だから僕達は千歳の思う通りに、ツネツギ達が戦いに参加出来る筋道を選んだんだ」
この言葉で皆が黙る。
…お父さん達が私を見ているのがわかる。
「ジョマ達はいつ帰ってきていたの?
いつ予知の結果を知ったの?」
せめて私が話を聞く。
「昨日よ。昨日の深夜に神の世界に帰ってきたの。
予知は次元の彼方から戻りながら見せて貰ったわ」
「そっか…。皆は私がやるって行動するのをわかっていたんだね」
「ええ、千歳様の思い通りに…
これが私と京太郎の願い。
千歳様、私と京太郎は親になってまた少し成長したと思うの。
子供の為に辛くても我慢をする事を知った。
さっき京太郎の顔が怖かったでしょ?
それも親の顔なのよ」
「親か…」
「千歳、君は神化をしてしまい神になった。
この世界に居場所が無いとして神の世界に住む事を覚悟しているね。
それなら僕とジョマの子になるかい?」
東さんとジョマの子…
それは不安な私にはまたとない提案だ。
「え…、でも私が居たら赤ちゃんと3人の暮らしの邪魔になるよね?」
「私と京太郎は千歳様が願えば幾らでも構わないわよ」
「どうかな?」
東さんはいつもの優しい笑顔で私を見る。
ジョマも迷惑そうなんて微塵もなく笑顔だ。
私のワガママとも取れる状況で神化をしてしまったのに東さんの所に身を寄せる。
そんな甘えが許されるのかな?
私は言葉に詰まる。
「それとも、神になった事を悔やむかい?」
「完全な人には戻れないけど半神半人に戻ってルル様や千明様、ツネツギ様やツネジロウ様の娘に戻りたい?」
「え?」
まさかの提案…
「……神化したら元には戻れないって…」
「そうよ」
「だがもし千歳が望めば僕とジョマならこの一度だけは可能だ」
東さんの言葉が私を揺れ動かす。