第130話 生きて、このコピーガーデンで生きてね。
結合を行うと言ったら皆が更に困惑したのが伝わってくる。
「千歳?何をするのだ?」
ルルお母さんが泣きながら聞いてくる。
「うん、外で起きた4年間の記憶をこっちの皆に夢を見るように追体験をして貰うの。
そうする事で全員が少しずつ変わるから王様は疎外感を感じなくなるよね?」
その声に皆が戸惑う。
「…やるがいい」
「ツネノリ」
「皆…俺たちは死ぬ身だったのを千歳の犠牲で今ここに居る。
千歳の為にもここは受け入れて欲しい。頼む」
そう言ってツネノリが頭を下げる。
若いツネノリ、今は私のほうが年上のお姉さんだから弟みたいだ。
「いいぜ、やろう」
「そうだな。千歳が神なんだ従うさ」
カムカさんとガクさんが泣きながら受け入れてくれる。
その後は皆受け入れてくれた。
「皆、ありがとう。
神の力!
皆の記憶を外から複製してきて結合!」
今、外を見るのは辛い。
ゼロガーデンではペックお爺さんやカリンさん達が私の事を聞いて泣いている。
昨日までの記憶に留めれば良かったかな?
結合はあっという間に終わる。
これで皆は皆だけど今までと違う存在になる。
「チトセちゃん!」
「ごめん!!」
カリンさんとマリカさんが駆け寄ってきて抱きつきながら泣く。
今は同い年くらいの見た目になっている。
「私たちがチトセちゃんに助けを求めたから!」
「それで責任を感じてくれてこんな…」
「ごめんね」
「ごめんね」
2人はわんわん泣きながら私を抱きしめる。
「私こそ助けに来れなくてごめんね。
それを知ってからずっと辛かった。
何がなんでも助けたかったの。
皆を助けたかった。
だから神化しても辛くないよ。
生きて、このコピーガーデンで生きてね」
「チトセぇぇ…、責任を感じる事はないって言っておいたのに…」
「マリオンさん。いいの。私の方こそごめんね」
皆更に泣いてしまった。
これは困る。
「千歳」
「お父さん」
「済まない。ツネツギが…」
「やだなぁ、向こうでも言ったけどアレは仕方ないよ。
私はどれも誰も取りこぼしたくないんだもん。
本当ならテッドも助けてあげたかった」
「千歳」
「ルルお母さん。ごめんなさい」
「お前は自慢の娘だ。
これまでもこれからもだ。
皆の為にやり切った事。
何もかも私の自慢だ!
よくやった!
胸を張れ!」
ルルお母さんは泣きながら私を見る。
辛いのにまず励ましてくれる。
「ありがとう」
そう言いながらルルお母さんを抱きしめる。
そのまま皆を見る。
「皆、ごめんなさい。
ルルお母さんをお願いね。
私のお母さんは案外泣き虫なの」
お父さんが言った言葉を真似る。
「大丈夫。
ルルにはお姉さん達が居るよ」
ジチさんが泣きながらそう言ってくれる。
「千歳…」
「ツネノリ、ごめんね」
「俺を…」
「ダメ。それと皆に一つだけ神として決まりを言うね。
コピーガーデンは不可視で出入り不能の世界にするね。
外にゼロガーデンがあってあっちに皆が居る。
きっと混乱を招くし良くないこととかあるからさ」
そう言うと皆困った顔で納得をしてくれる。
主に困った顔はツネノリとお父さんだ。
「お父さん、大丈夫だよ」
「何?」
「神の力!複製の力!イメージ…」
目の前を光らせるとそこに複製の力で作ったお母さんを置く。
「千明?」
「うん。お父さん達が寂しくないようにね。次はお父さん!」
そして黒髪のお父さん、常継を置く。
2人は目覚めると状況を理解してくれて私の説明を受け入れてくれた。