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サード ガーデン  作者: さんまぐ
第一章・記憶をなくした少年。
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第13話 テッドの精神年齢。

「さっきのネイさんは面白かったねぇ」

首狩り蟷螂の巣を目指しながらリリオがケラケラと笑いながら話す。


テッドが「そう言えば質問があった」と戻るとネイは「ひゃぁぁぁっ!!?」と慌てていた。

テッドが慌てた理由を聞くと「今日は戻らないと聞いていましたし、わ…私に不備があったのかと思って」と言っていてリリオは「まだ新米さんなのかな?可愛い反応だね」と言っていたが今は面白いになっていた。


テッドが戻ってまでネイに質問をしたのは祝福についてで「火の祝福を使うといつまでも火柱が立っていて危ないのだが消し方を知らないか?」と聞くと「出した火や風はおしまい、消えろ等と念じれば消えますよ」と教えてくれた。

引火した火、それと水や氷に関しては出来たものは意思では消せないのでご注意くださいと言われた。


そうしていると森に着いて奥に進んで行くとガサガサと言う音が沢山聞こえてくる。

テッド達は慎重に進むと茂みの向こうで首狩り蟷螂の大群が5人の人間を切り刻んでいた。


「うわぁぁぁ…、探索の冒険者死んでるじゃん!?」

リリオが小さな声で言っているのを見てテッドは疑問に感じた。

報告に行かなくても巣の場所はわかるのか?

それとも1組は帰還を果たしてもう1組が今殺されているのか?

そんな事を思いながら目は首狩り蟷螂の大群を追っていた。


「リリオ、巣はどれだ?」

「へ?」


「このクエストは巣の破壊が目的だ。巣が別の位置だと話にならない」

「あ、そっか…多分あの大きな首狩り蟷螂の後ろ、白い塊が巣なんじゃないかな?」


リリオがひときわ大きな首狩り蟷螂の後ろを指さして説明をする。


「と、言うことはココが巣で間違いなさそうだな」

そう言うとテッドが構えをとる。

茂みの向こうの首狩り蟷螂をざっと数えると30匹は居る。

あの数と斬り合うのは得策ではないのでエレメントの祝福を使うことになる。


「テッド、何を使うの?あの数だとバラけたら大変だよ。洞窟じゃないんだよココ?」

「任せろリリオ。【エレメント・ウインド】」

テッドがそう唱えると目の前の茂みや樹木ごと巻き込んで大竜巻が発生する。


「嘘ぉぉぉっ!?」

リリオはあまりの風圧に巻き込まれそうになるが何とかテッドに抱きついて吹き飛ばされなくしている。


なんでテッドはビクともしないのか、その事が気になったリリオはテッドを見ると構えて居ない左手でライトソードを出して地面に突き刺していた。

「ズルっ!無詠唱で剣を出してたの?先に言ってよ!」



「とりあえずやってみた。やったらこんなだった」

テッドは適当に答える。

そして目の前の竜巻に巻き込まれた首狩り蟷螂達は飛ばされている木や石に当たって次々にダメージを受けて行く。


「これ、いつまでやるの?

倒せるの時間かかるんじゃない?」

リリオが風圧によって物凄い顔をしながらテッドに聞く。


「あ!アレ見て奴の巣!まだ中に首狩り蟷螂が居たんだ。テッド、あいつら巣の中で竜巻をやり過ごすかもよ!」

リリオが見たのは白い塊から顔を出して引っ込める小さな首狩り蟷螂の姿だった。



「問題ない【エレメント・ファイア】!」

テッドは続け様に火のエレメントを竜巻の中央に発生させる。

火は竜巻で消える事なく燃え盛る。

火と竜巻、それらはあっという間に混じり合って巨大な火炎竜巻になる。


「剣に風に火?三つ同時使用なんて非常識!でも凄い」


竜巻の中から炎に焼かれる蟷螂の悲鳴が聞こえてくる。

これでこのクエストも終わりだとリリオは思ったのだが甘かった。


「ねぇテッド?何で消さないの?消えないの?消し方わからないの?」

「いや、ネイに聞いたからわかるぞ」


「もう悲鳴が聞こえないよ?」

「だがゴブリンの時みたいにまだ生き残りが居たらどうする?」


「もうきっと巣は焼け落ちたと思うよ?」

「居たらどうする?」


「居ないんじゃないかな?」

「(居たら)どうする?」


「居ないよ!熱いんだよ!消してよ!森が火事になっちゃうよ!」

「折角だから徹底的にやらねば!【エレメント・ファイア】!」


「火を足すな!ちょっと!聞いてよ!足さないで!やめてよ!」

リリオの叫びは虚しく、テッドはその後も火をくべた。

そしてリリオの心配した通り森は火事になり、ようやくテッドは火と風を止める。


「燃えた」

「バカぁぁぁ!首狩り蟷螂倒しても私達が焼け死んだら話にならないでしょ?どうすんのよ!」


「熱いな」

「私は随分前から熱いわよ!」


「消すか?」

「へ?消せるの?」


「消せるぞ。だが万一首狩り蟷螂に生き残りが居たらと思うと消したくない。

リリオはもう少し我慢できないか?」

「できないわよ!」


「エレメント・アイスで氷の屋根を作るから中に入るのはどうだ?」

「なんでそこまでして火を消したくないのよ!

早く消しなさいよ!」


「そうか、仕方ない。【エレメント・ウインド】【エレメント・ウォータ】」

テッドは残念そうな顔で竜巻に水を送り込んで森の家事を鎮火した。


リリオはその横顔を見て何となくわかった。

「あ、この顔…花火を終わらせたくなくて最後の火種すら惜しんでる子供の顔だ…。

午前中は水遊び、午後は火遊びか…」


リリオはテッドの行動が全て子供のするソレに似ている事に気が付いた。

マネジメント料じゃなくてベビーシッター代で請求すれば良かったと思ったが言うのはやめておいた。

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