第100話 テッドと蘇った真紅の少女。
「勇者パラディスを倒したのは俺だ!かかってこい!相手になってやる!!」
テッドがそう吼えると周囲に居た兵隊達が一斉に向かってくる。
「【エレメントソード・ALL】!!」
テッドの出した12本の剣が次々と兵隊たちを殺していく。
「おい!そいつらはいいんだよ!!街だ街!街の奴らを皆殺しにして来いって言ってんだよ!!」
超神の声が聞こえる。
「我々は武人!戦人[いくさびと]だ!誰が無抵抗な人間を襲うものか!バカにするな!!」
そう言ってフナルナの兵隊達は止まることなくテッド達に攻撃をしていく。
テッド達も真っ向から全てを受け止めていく。
12,000と言う数の多さから厳しいものもあるがカムカ達は一歩も引かずに律義に兵隊たちと戦っていく。
広範囲に攻撃が出来るテツイとツネノリが次々と数を減らし周りをマリクとリンカ、メリシアが防衛している。
テッドはそこに合流してツネノリと一緒にエレメントソードを飛ばそうと思っていた。
「テッドさん!」
テッドを呼び止めたのはメリシアで、「先ほどのお話を覚えてくださっていますよね?私とも合体攻撃をお願いします」と優しい口調で言ってくる。
「了解だ。どうする?」
「マリオンさんとやった合体攻撃、高速巨大弾を私ともお願いします」
そう言うとメリシアが声を上げる。
「マリクさん!リンカさん!護衛をお願いします。ツネノリ様、私とテッドさんをちゃんと守ってね」
「いいよ」
「守るね」
「了解だ。テッド!メリシアを、俺の大切な人を頼む」
「了解だツネノリ」
「テッドさん、発射は私が行います。テッドさんは出来上がった雷球に雷を乗せて、発射の時に風で雷を早く押し出してくださいね」
「マリオンにやった奴だな」
「はい。でもマリオンさんのより威力がありますから頑張ってくださいね」
メリシアが優しく諭すように言う。
優しい人だと思うテッドは「ツネノリはそこに惹かれたんだろうな…」と口にしていた。
発射姿勢になったメリシアが声を張る。
「フナルナの皆さん!私はこれから合体攻撃を行います!それは1人ではとても防げるものではありません。我こそはと思う方たちは防いでみなさい!!」
その声で漆黒の鎧を着た男と青い鎧の男が前に出てくる。
「面白い!真紅の鎧を着た女!」
「女とは言えその物言い、たいした自信だと褒めてやる」
そして「我々もご一緒させてください!!」と数十名の兵が名乗りを上げる。
固まった兵たちに向かって「そちらのお2人、お名前は?」とメリシアが聞く。
「私はダクーナ!フナルナNo2の男!」
「俺はリュウラ、フナルナNo3の男だ、女!名を名乗れ!!」
「私はメリシアです。こちらが私の伴侶。ツネノリ様。私の攻撃に見事耐えきったらツネノリ様との決闘を認めましょう」
「面白い!ツネノリとやら!その空を舞う剣を全て撃ち落としてやる!」
「ふっ、俺のメリシアが負ける訳が無い。やれるな?メリシア」
「はい、当然です。ではテッドさん参りましょう!!」
メリシアが最初に「【アーティファクト】」と唱えるとマリオン同様に雷球が発生した。
「まだですよテッドさん【アーティファクト】」と言って更に雷球に力が注がれて巨大化をする雷球。
「さあ、テッドさん、雷と風をください」
「【エレメント・サンダー】【エレメント・サンダー】!!」
「まあ、テッドさんも二重発動をしてくださるのですか?」
「やってみたくなった」
「ふふ、凄く大きい。速く飛ぶかしら?」
「安心してくれ【エレメント・ウインド】【エレメント・ウインド】!」
「これなら大丈夫ですね!では行きます!【アーティファクト】!!」
そう言って放った巨大な雷球は恐ろしい速度で飛んでいく。
「ぬぅん!!」
「くぅあぁあぁっ?」
ダクーナとリュウラが苦しそうに剣と槍で雷球を受け止めてその2人を数十人の兵隊たちが支えている。
「負けるかぁぁぁ!」
「見事だメリシア!だがまだ甘い!!」
苦しそうだが何とか受け止めている2人が勝利を予感している。
「いえ、甘いのはお2人です。
テッドさん、次弾撃ちますよ。
テツイ様、ツネノリ様、雷と風をください」
「何?撃つのか?」
テッドはメリシアの提案に驚いていた。
「はい、これが私の正々堂々です。さあ!次弾にも耐えてみなさい!」
「くぅぉおぉぉぉぉ…負けるか!やるが良い!!」
「兵達よ!増えて守れ!!」
その声に惹かれて集まる兵隊達。
その数は500人近く居る風に見える。
「行きます!」と言うメリシアの声に合わせてテッドとツネノリ、そしてテツイが風と雷をメリシアに送り込む。
「【アーティファクト】!!」
その声で放たれた雷球は街を覆える大きさだった。
とても500人で防げるようなものではなく真っ直ぐに飛んで行きダクーナとリュウラの剣と槍が耐えきれずに折れる。
「ぐぅぅぅぅ…、ここまでの…ようだな…感謝するメリシア…」
「全ての力で…受け切って…負けるのなら本望だ、まだ戦いのある…その身体に…無理をさせて…済まない」
「いえ、手向けです」
そう言った直後、受け手の居なくなった雷球が数千の兵隊たちを蹴散らしながら真っ直ぐに超神の居る奥地まで飛んでいき超神に直撃をして「ぴぎゃぁぁぁぁ」と言う超神の声が聞こえてきた。
「ふぅ…、何とかなりました」
「メリシア!無事か?」
ツネノリが心配そうに見る。
「ちょっと疲れました」
「僕が回復をしますからドフさんに鎧を診てもらいましょう」
そう言ってテツイがメリシアを後ろに連れて行く。
「なあツネノリ」
「メリシアなら大丈夫だ」
「いや、それではない。ドフは鎧を診れるのか?」
「何?あの鎧はドフさんの手作りだぞ」
「そうなのか!?てっきり戦闘職の人かと思った。先ほども超神の頭から血が出るまで殴り続けていたぞ…」
「ああ…、紛らわしいよな。だがドフさんは裏方の人だぞ」
新事実にテッドは驚いていた。