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Q : 無給無休救世主?




「……そうだな、お前が今まで見てきたすべての人間が死んでも足りないと考えればわかりやすいか?」


 ルナディムードは少し考えてから、わかりやすく説明してくれた。


「……それは……多いわね」


 億という単位は初めて聞いたから正直良くわからないけど、これならわかりやすい。


「実体化前なら、まだ間に合うが……お前は放置する気だから間に合わないだな」

「待ちなさい。私は関係ないでしょう?」


 みんなの視線が私に集中する。

 この性悪トカゲ、巻き込む気?


「……むしろお前が一番のキーパーソンだが」

「……どういうこと? 神々の戦争に一般人の私に何ができる?」


 主演だって? またまたぁ、冗談がお上手だわぁ。観客席ですら許されそうにないのに?


「確かにお前は弱い。それに魔神が相手だ、今回は俺の時のようには行かないだろう――」


 はい、解散。終了。一般人帰りまーす。言い方はムカつくけど、出番がないに越したことはない。


「――だからこそ、だ。この魔神戦で一番弱いお前が、一番重要人物だ。言い換えれば――――この大陸の救世主はお前にしかなれない」


 ……はい?






 ……こめかみがズキズキする。

 億という単位にはピンと来なかったけど、今の話はもっとピンと来ない。


 この大陸の救世主? 二級聖女から随分と昇進したわね。給料は少し増えるといいな。

 ん? あれ? ……そう言えば私、ずっと無給無休で働いていたわ。


 神殿を出た時から、あんなカルト人でなし集団とは二度と会わないつもりでいたから、綺麗サッパリ忘れていたわ、給料のこと。


 加えて農作物を栽培し、品質改良肉を輸出する自給自足生活を送っていたら、給料がもらえなくても別に困らなかったという。


 言いたい文句はいっぱいあるけど、二度と神殿に戻らないと決めた。


 ――それより、今の話よ。


「……説明して」


 どういうこと? 性悪トカゲ。


「……クックック……いい表情。困ってるの見てて面白ぇ。……なぁに、簡単なことさ。今から各国の軍を動かし、手練の冒険者を募り、勇者に討伐を命じる――は間に合わない。かと言ってかき集めの即席戦力は中途半端過ぎて絶対勝てない」


 やっぱり性悪なのね、あんた。だから?


「となると、答えは一つしかねぇだろ? ――魔神を確実に一発で再度封印でき、損害を最低限に抑えられる、かつ迅速に動ける最良討伐メンバー」


 ルナディムードはまず親指で自分を、

 次は人差し指でリティを、

 それからグラシスさん、獣人王子フェロアと彼の部下を、

 最後は開拓村で監視中のライシェの方と、リラル王国の王子がいる家を指差し――


「――ここにいるじゃねぇか」


 ニヤリと笑った。

 そして――


「コイツラをまとめられ、中核を担えるのは、お前だけだ」


 ――と。




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