2話 儀式
ーオプションで設定ができますー
(オプション?・・ナイス!)
(・・これだ!)
さらしを外してよりきつく巻き直す。
(ふぅ)
わずかにできる右胸とさらしの隙間に短剣を挟み込む。
(なんとか間に合った)
ハンガーに掛けられた華やかな衣装を身に付ける。
表情は落ち着いていて見とれるほどのイケてるメン……レディースだ。
(長いから略してイケレ、いやイケディ、やっぱりイケレディ)
(クールビューティーレディ、略してクビレ)
(もう美少女でいいや)
衣装は男性用でヘロが性別を偽っていることがわかる。
シアンブルーを基調としたグラデーションが美しい衣装は
淡く輝いていて不思議な魅力がある。
(妙に惹き付けるな)
いかにも特別な感じが見てとれるこの衣装に内ポケットがあることを知っていたのは再利用で仕立てられたためだ。
ヘロの通っている学校は王立でその運営資金は寄付である。
豊富な資金があると思われるが善政の王は寄付金で貧困層の学生を受け入れ無償の支援もしている。
王はそのため救世の王と慕われている。
ヘロは貴族の子で資金の余裕はあるが共通の儀式や行事などの衣装は校則に従う伝統がある。
今までの自分を踏まえて新たな道を進めるようにという思いを込めて制服を再利用して儀式の衣装とするのだ。
衣装を身に纏うと祈祷師の到着まで部屋の壁に内堀られた子供を抱えた母親像の前で祈る。
(この世界のマリア像みたいなものか 青いが)
(……暇だな)
(ちょっとオプション確認するか)
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祈祷師が到着した。
学校の入口の導線から真っ直ぐ歩くと教会のように天井の高い建物が聳える。
この建物は王こだわりの景観とセットらしく模様が良く似ている。
建物の最奥上部に楕円形の大きなガラスが見える。
西日によって建物の中央道を照す。
大気の塵に反射して幻想的な道筋となっている。
学校の運営時刻は過ぎていて生徒や教師はいない。
毎年主催していた生誕祭はいつも大勢の来客があったが、今年は成人の儀があるため来客はおらず内容を変更した。
祈祷師の祝福の後に合唱隊によって讃美歌が唱われ成人の儀に入る。
儀式には王と橋渡しに校長が加わる。
《成人の儀》は王の意向で警備は学校外に置き密かに行われる。
大袈裟なことを望まないきらいがあるのもいかにも救世の王らしい。
建物最奥には像がありそうなものだが青く角が取れた石がある。
ヘロが祈っていた像と同じ色だ。
青色という色が命をもたらした天の象徴で神聖とされている。
「この世にもたらされた命に感謝致します」
祈祷師は12人でそれぞれ1人を1年として順に成長の喜びを感謝し祈る。
祈祷師の後ろには両膝をつき祈るヘロと両親がいる。
両親の衣装は白くやや華やかではあるが普段着より質素に抑えている。
王や校長も祈祷師の言葉に耳を傾け下を向いて祈っていて、王の手にはこの場で唯一絢爛な剣が両手で抱えられている。
一通り祈祷が終わると祈祷師は出ていき合唱隊が入れ替わりに入る。
合唱隊は石を背に讃美歌を歌い上げると退場した。
退場すると辺りはしんとして王が移動し石を前に言う。
「この度のヘロの成人の儀において 出立の後援を賜りたく存じます」
「御霊の令において わたしがその依り代となり ここに成人の儀を執り行うものとする」
振り返るとそう言い、石の代わりに儀式を遂行していく。
「ヘロ」
「はい」
ヘロは返事をすると立ち上がり俯きつつ王の前に立ち直る。
「この魔断の剣を持ち禍根を断ちたまえ」
「ありがたく拝借致します」
そう答えると魔断の剣を受け取る。
まず個人の持ち物の中で供養する品を自分で選んで禍根の象徴とする。
そしてその供養の品を剣で自ら切断する。
そうすることで禍根を断ってその品を供養し忘れず後戻りしないという意図がある。
「供養の品をここへ」
「……? どうした、早くしなさい」
「それが……」
校長が王に訳を話そうとするとそれは起きた。
ヘロは二太刀にて両親の首を両断して見せたのだ。
「これにて禍根は断たれました」
ヘロはそう言うとにわかに輝きだした剣を静かに王に差し出した。
シリアス中




