115
まったく、いくら技術が進歩しようと、
こいつといった存在は、その存在分はちゃっかりと食うのだから、図太いというか図々しいというか…まあ仕方がないか。
そう、つまりだ
たぶん、きみがこのメッセージに気づいたころ、
僕はもう居ない。
けれど悲しんじゃあ駄目だし、悲観することもないよ。
そのころにはきっと前よりもずっと強いだろうから。
僕が伝えたかったことは、おおよそ伝わっただろうと思う。
なんたって僕は名無しの猫だからね。
そういう意味では新種の猫。
稀有な猫だよ。
僕と知り合いであったことを自慢していい。
「私は、時間旅行をする猫と知り合いよ!」
ってね。
にしてもここまで別れの際を語っておいて、それは実際とても時間的なことなんだからまさに皮肉だ。
時間は一方的なもの、とするのもまた便宜上のものだし。
これみたいにね。
たぶん、きみは当初、与太話なオカルト、と思ってたかもしれない。
けれどじゃあ、オカルトのオカルトはどうなる?
それこそ、裏返しの裏返しで、表になるんじゃないのかな?
そうした意味でわかってもらえれば、そしてそのあと、わからないでもらえれば、これはきっといい例えだったんだと思う。
時間を超越するなんて僭越ながら行うことじゃないんだ。
だからこそ僕は多用したのさ。タイムトラベルなんて言葉をね。
未来に馳せろ、なんて請うわけじゃない。
けれどね、そうしてずっと未来を考えたときに、きみは果たして、そこに存在としてそれ自体を認識できているのか、つまりきみが「未来」とする概念に対する警句だ。
それはそこにあってそこにない。
現実が、今、といった時間が、知覚した際には過ぎ去り、過去へとなることで現実なる今は存在し得ない、とするのともちょっと違う。
きっときみはそのうち、理解するよ。
いいや、もう理解しているかもしれない。
だからこそだ。
ご武運を祈る、 good luck。
そうしたやつらをきみはきっと、従えるのを嫌うはずだ。
それでも僕は言わせてもらうよ。
「どうかお元気で」
じゃあ、いつかまたきっと会うだろう。
それまでは元気でね。
名前のない猫は…




