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地球の墓標、宇宙の海  作者: 冬野夏
episode A -6
88/111

114


つまりその影は、「死」なのさ。

だからこそ僕はここでもう一度訊くよ。

「死」が何かとわかったときに、

きみは果たして「時間」を感じるだろうか?

ということさ。

「死」は「時間」と対をなす存在であると同時に、それはメトニミー的でありまたシネクドキ的でもあるんだ。どっちもお互いを包括しつつ、お互いを見下しているようなね。

切っても切り離せないような関係性、とでも言ったほうが…ううん、それじゃあまるでコインの裏表だ。

こいつらにとってつまり…そうわかりやすく言えばこうだ。

これらは、”コインの裏表の間に(・・・・・・・・・)ある隙間(・・・・)”だってことさ。



引き続き言うようだけれど、僕は名前のない猫だ。

注意してもらいたいのは「名前のない猫」が僕の名前、なんてことはなくて、本当に存在しないのだ。

僕の名前は。

それは便宜上的でも思弁的でもなく、意図的とでも言わせてもらおうかな。

ああそうそう。

時間旅行に対する不手際について、だ。

存在し得る対象としては、真に孤立し存在している限り、それは存在を得ない。

というかむしろ、存在を得られない。

とでも言おうか。

何も干渉した瞬間に影響を受けて消えてしまう、

なんていってない。

そんな引きこもりみたいな粒子を言ってるんじゃないよ。

時間はそれとして直接的に、知覚得ないものだからこそ、それにつける名前を必要としたのだし、個の名前によって自己を虚位的にも確立させるように、それは人間性の潔癖とでも呼べるだろうね。

まさに性癖だ。

人は、時間と言った存在を、無視するわけにいかなかったのさ。

なぜならそれも本能で、何に対しても因果を求める井出たちだから。

だからこそ、きみたちにとってはこの僕の存在すらも、それは何かを意味し、そして意味する意味すら求めるだろう。まるで金太郎飴みたいにね。

時間もそれと一緒さ。

君たちが結果と原因を仮定する、そのお供え物が「時間」というわけ。

え?

なに当たり前のことを言ってる?って?

そうあせんなさんな。

それこそこれの特性であり特徴じゃないか。

え?

時間旅行なんてでたらめだろって?

もう気が早いなあ、じゃあいいよ。

こういえば、すぐわかるかな?

きみたちはすでに、時間に寄り添いすぎた。

これみたいにね。


だからこそ、こう意識してみればいい。

「時間が存在しない世界とは?」とね。

すべてが止まっている世界。なんて阿呆なことは言わないでくれよ!

それこそ、「時間的な発想」なんだから!

時間がないと言うことは、どのような状態か?

そのままさ!

「時間」が「ない」。

ただそれだけ。

するときみたちは、その瞬間、好きな未来や過去へジャンプ!

なんてこともないから安心したまえ。

それもまた、「時間的な発想」だからだ。


じゃあどんな状態なんだ?

時間がないって言う状態は?

って、そう怒ったように言いなさんな。


きみは「死」がどのようなものか、知っているかい?

あら、そんなことも知らない。

なるほど、じゃあ仕方ない。

重複するようだけれど「時間」は「死」に関係しているけどそれもまた同様に「時間的な発想」でありまた「死的な発想」でもある。まるで詩的だね。

なんてうそ。

冗談ジョーク。

ただ「時間」がないというのは、ただひたすらに「時間」がない。

ただそれだけのこと。

「説明できないこと」が「説明」と言えば、詭弁じゃないか!ときみは怒るだろうね。

でも仕方がないね。もしそれが「理解」できないのだとすれば、それは別に頭が悪いわけじゃない。


赤子は一人で、「歩く(・・)ことはできない(・・・・・・・)


それと同じことさ。


あっ、そろそろ時間か?

もうちょっとある…か。じゃああと少しだけ。



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