表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地球の墓標、宇宙の海  作者: 冬野夏
episode A -2
62/111

62


彼らの考えは失敗した。

今にして思えば、この言葉こそそれを(・・・・・・・・・)明確に示していた(・・・・・・・・)のだから、皮肉とでも言えようか。



「つまり、学者たちは、その違い、これまでとの違いを求めようとしたのさ。そこに解決の糸口があると信じてね」

「…なかったんですか?」

「お茶、冷めるけど、いいのかい?」

「どうでもいいですから!早くその先を!」

「もう、君は若いのに急かすねえ、いや、若いからこそか…」

そう言って「うーん」と腕組みしてひとり別の世界、考え込むようになりそうになるので「博士!」と声をかけて呼び止め、「ああ、すまんすまん、続きだったね」という。まったくこの人は。


「彼らの推論もまったく見当はずれではなかった。けれどまあ、それこそ誤謬というか、まさにすれ違いだね」

「どういうことですか?」

「まあ、端的に言えば、箱庭」

「箱庭?」

「そう箱庭。手のひらで踊らされていた、ってことさ」



彼らは、「1+1=?」となった世界の現象、その理由を探ろうとした。

つまり、ここで「1+1=2」に成らないのは、

旧式の思考を用いて考えれば、


1+1=2に(・・・・・・)ならないのは(・・・・・・)、それすなわち、”1”が1以上(・・・・・)、もしくは”1”以外(・・・)の意味を持つから(・・・・・・・・)


であろう、と考えた。


「つまり、彼らは、その”1”に含まれる隠された意味、1以上のもの、”なにか”を探したわけさ」

私は思わず唾を飲んだ。

「…それは見つかったんですか?」

博士は首を横に振る。

「いいや、そもそももし、そこでその”なにか”が見つかったとしよう。では、それでもそれは、はたして「1」なのかな(・・・・・)?」

博士はそこで不気味に笑い、そして急に立ち上がるのだから、私は若干、慄いたように体を震わせた。しかしながら”ビクッ”とした体を見つからないようにと体を少し背け、気づかれないようには注意した。

「ど、どうしたんですか?」

「ん、トイレ」

そう言って博士は席を立ち、深刻な雰囲気をまるでものともしない。そうしたマイペース具合に辟易の意味を覚えると、近くに居た人に思わず声をかけた。

「あのう、博士は日系のように見えるのですけれど…」

「ああ、あの名前?あれは本名じゃないよ」

「そうなんですか!?」

「うん」

と答える。

「ここの人たちはみんな、本名で呼ばれてないからね。ほら、一応、レジスタンスみたいなもんだからさ、ここは」

そう言ってこの人ものんきな風に、あははは、と笑う。

「で、ではどうしてチャーリーと?」

「ああ、あの名前?」

するとその人はまた「ぷっ」と噴出し、小笑い。

「あの人はブラウン(・・・・)ブレッドが好きだからさ」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ