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地球の墓標、宇宙の海  作者: 冬野夏
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仮に、ある作品内に

”「ええっ!??」”

このような表現が示されていたとする。

この場合「!」は相手に対しての依存性があるのはもとより、最初の「?」は当然疑問を呈す事を指す。

それは相手に対する信憑性への疑問であり、同時に自らへの懐疑である。

ここで重要となるのが、二つ目の疑問符。

連なり二番目に記された「?」の意味と意義である。

この「?」とはいったい何に対しての意味を示すのか。

それこそがここで取り上げる課題であり議題でもある。

二番目の「?」こそ意味の多面性を掲示し、遍く不安と滾る可能性を示唆してくる。

強制的にもそれは仮に、それが自身へ向けられたものであれば即ち「自分はどうしてまず疑問に思ったのか」つまり最初の「?」に対しての言説となり、他方、それが複合的かつ相互作用さを機能としてもたらすのであれば、その二番目の「?」は全体、つまり疑問に対しての存在を問うものである。

それが疑問であるのはなぜ?

もう一方、それは文節に対する「?」と、「?」に対する?とでは明確に区分されるべきである。

にもかかわらず、そこでの必然性は存在しない。

しかしそれは当然で、文学としての読み方の自由性こそもまた、存在意義としての大きなひとつの特徴であるのだから。

だがそれは文脈における多意義性と、読解におけるカオスの土壌を構築する。

それが良しとされていた時代は終了を迎えた。

『立体文学』それ自体の可能性と利便性は、人々から自由意志を奪ったのか?

いいやそうではない。

それはより現実的な作用をもたらし、現に、それによって世界は多大な恩恵を受けているのだから。

そのため―


電子音が響き終了の合図を告げて時計を確認する間もなく学生は次々に席を立ち始め、それが実像であるのか仮想での出席かどうかの区別は相変わらず見分け難いがそんなことは既にどうでもいいのだといつものように納得させると頭痛を感じて掌を額にそっと当てる。

次の授業はすぐに始まるのだから私は一息つこうと持参したペットボトルを開封し、水を飲む。

喉が鳴らす快い音は懐古的に作用し記憶の濁りを消去した。

立体文学の講師を務める身として、私はそれ相応の情熱を持って取り組んでいるのかと問われれば不確かな印象があったことは否めない。

それは立体文学の可能性としての実像を希望的に観測することのできないひとつの切なさであり、一種の絶望は文脈のもたらす文脈の限定にこそ現れていた。


”対物語メタ認知機能”として確立したのが”立体文学”と呼ばれる近世に誕生した相互的読解ツール。

それは”ハイパーテキスト”による文脈や単語が示す構造的意味をリンク的に示すのではなく、むしろまったく違うものとしても齟齬はなく、だがそれを原初的なものとして置くのも的外れとは思えないのでここで挙げたのであって、大きな違いとは一言でいってしまえば「相互的読書(・・・・・)」という事である。

文章はそれ自体、独立して存在するのでない。

読者が居て成立するのであり、この時代となりその意味はより本質的に変化を遂げた。

それは『文章自体が(・・・・・)読者によって(・・・・・・)変容する(・・・・)』という構造的改革と同時に、読者が文章の示す意味への導きを行うのと同時に、文章自体が(・・・・・)導き手(・・・)と成るのであり、真意への邂逅を緩やかにサポートする絶対的な意思の表象を汲み取り具現化したものがこのツールである。


私がこのような”立体文学”に惹かれ、それを専攻するようになった理由には、その効用がもたらした世界への好意的な影響がひとつとして挙げられる。

だが他に、人には言えず内心ひっそりと顔を隠した動機はつまり、欺瞞である。

過去の時代において読解、認識、理解の差や齟齬が生まれていたのは”他人であるから”とする当然の帰結が既に認知されていながらも、その改善に随分の年月を必要としたのは抽象的思考と機械的な見方との連結がスムーズに成されず個々の違いを個性として許容しながら同時に”違い”こそが争いの火種になる矛盾を理解しながらも放置していたからに他ならない。

だからこそこの―

講義は中断され、それは緊急の着信が私の元に発生したからでありこのような事態は初の事。

何事かと通話に対応を起こす私は表情を顰めたまま目を見開いた。

今日の講義はここまで。としての表示に変えると私はそそくさとその場を後にした。






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