闇の工場
バルギニアの首都のスティアに入ったアレイシャ達。
ここで言われた通りに任務を遂行する。
昼間はとりあえず観光をして夜を待つ。
そして日が落ちた夜に行動を開始する。
「行くのね、こっちは任せておいて」
「ごめんなさいね」
「私達はさっさと終わらせてくるから」
「頼みましたよ、エイル」
そうしてエイルにそっちを任せアレイシャ達は食品工場へと向かう。
その工場で作られている非人道的なものとはなんなのか。
「ここがそのソフル食品工場ね」
「中に何があるのかしら」
「とにかく入ってみますか」
「どこへ出かけたかと思えば、何をなさっているのですか?」
その声はヒルデの声だった。
まさかバレていたのか?エイルに見張りを頼んだはずなのに。
「なんであんたが…」
「それより説明願えますか」
「…分かったわ」
「観念します」
そうしてヒルデに事情を説明する。
淡々とした顔でヒルデはそれを受け入れる。
「エメラダ教のスパイですか、アレイシャ様は知っていて加担していたと」
「アレイシャは悪くないの、私が勝手に巻き込んで…」
「違うわ、自分で協力してるだけよ」
「お互いに、ではないですか?」
なんにしても事情は汲んでくれたようである。
どうせ知ってしまったのなら自分にも手伝わせろとヒルデは言う。
「はぁ、好きになさいよ」
「どうも、では中へ参りましょう」
「ヒルデも侮れないものね」
「そのようですね」
そうして食品工場の中へと進む。
今は夜なのに工場は稼働していた。
その不自然さを感じ取りとりあえず調査をする事に。
この工場を潰せ、その指令に従う理由を探す事に。
「ここって缶詰め工場なのね」
「見た感じでは肉の缶詰めかしら」
「…この臭いは一般的な肉のどれとも違う?何の肉ですかね」
「なら試しに食べてみますか?」
ゼスフィもとんでもない事を言うものだ。
とはいえ鼻が利くヒルデ曰く毒物の臭いはしないらしい、しかし別の臭いはするそうだ。
「試しに開けてみたけど…何の肉なのよこれ…」
「動物の肉にしてはタンパク質が少ない気がしますね」
「食べてみる?」
「ヒルデさんの話では毒はないそうですよ」
少しヤケ気味にエロイーズが一口だけ食べる。
だがそれは不味かったらしく、すぐに出してしまった。
「不味っ!」
「何の肉なの?結局」
「奥に進めば分かるのでは?」
「なら進んでみましょうか」
そのまま工場を奥へと進む。
すると缶詰めに使う肉を加工する食肉加工室を見つける。
「エロイーズ、あなたはさっき缶詰めを食べました、それを確認してから扉を開けなさい」
「は?意味分かんない、扉は開けるけど」
「ヒルデ、何か感づいてるのね」
「とにかく開けましょう」
扉を開けるとそこにあったのは新鮮な人間の死体だった。
つまりさっきの缶詰めは人肉缶詰めという事である。
「嘘…うっ、おえぇぇぇぇぇっ!!」
「まさか非人道的なものって…この人肉缶詰め…」
「工場を潰すのですよね?こんなところでゲロっている場合ではありませんよ」
「ヒルデさん…」
エロイーズの体調も心配しつつそのまま奥へと進む。
人の気配はなくそのまま工場の制御室に到着する。
「おや、お客さんですか」
「あんたがこの工場の工場長かしら」
「とんでもないものを作っていたものね」
「この工場は潰させていただきますよ」
工場長は臨戦態勢に入るエロイーズ達を制止する。
そして交渉を持ちかけるもののそれは決裂する。
「とはいえ私も無益な争いはしたくありません、明日もう一度来ていただけますか」
「従うとでも?」
「悪人に人権なんて最初からないのですよ」
「この感じ…あなたもまさか…」
ゼスフィはやはり何かを感じ取ったようだ。
それはアレクシスと同じ何かか。
「今は争いたくはないのです、天使様のためにもね」
「天使様…いいわ、なら明日もう一度来てやるから」
「背後から撃とうとしても無駄よ」
「では再度という事で」
そうしてそのままその場でお互いに身を引く事に。
工場長も同じく天使様の名を語る。
明日再びこの工場で工場長との交渉をする事となる。