息抜きと準備
バルギニア国内を旅するアレイシャ達。
現在は首都の隣にある小国のヘイガルに来ている。
明日には首都入りするため今日はここで息抜きも兼ねて準備である。
エメラダ教に言われた食品工場、それも気になっていた。
「それにしてもようやく首都ですか」
「仕方ないわよ、小国自体国の国土を考えたら妥当なんだし」
「でも国の国土って意外と広いものなのね」
「これでも世界的に見たら小さい部類だけどね」
世界にはもっと大きい国土の国がある。
例えばロサニアなどだという。
「ロサニアの国土は世界一と言われていますから」
「あとチェンワ国も国土の大きさは有名よね」
「そういえばそうだったわね」
「でも何かとあるのね、国にも」
国の問題も様々だ。
だからこそそれを束ねる政治家がいる。
誰だって戦争はしたくないし揉め事は避けたい。
それでも事なかれ主義で解決出来るほど甘くないのも世の中だ。
「とはいえ国の政治は政治家の仕事です、我々はそれを選ぶだけですよ」
「選挙制度も比較的近年に出来た制度よね、まだ未完成だし」
「なんか面倒よねぇ、王様は確定なのに議会の人間は国民が選ぶとか」
「ですが国民が政治家を選べるようになったのは進歩なのでは?」
世界でも一部の国が導入を始めた選挙制度。
だがそれは未熟なものであり、まだ穴も多いそうだ。
主に大きな議会があったり王制以外の国で導入が進んでいるとか。
世界的にはまだまだレアなケースではある。
「結局は人は不正を働くものですよ、政治家は給料もいいですしね」
「国民を考えてくれる政治家も減ってるっていうの?」
「そんなの嫌ね、国も腐っていくのかしら」
「でも元々政治家とは黒に近いグレーな存在ではありますからね」
セクネスの言う黒に近いグレー。
それは政治家に与えられる特権などを指すのか。
なんにしてもそういう事も含め政治家の評判は決まる。
嫌われるかどうかはその態度次第である。
「ん?少し席を外すわ、アレイシャ、行くわよ」
「ええ、ごめんなさい」
「あの二人仲良しよね」
「二人で花摘みとはそんな関係なんですかね」
そうしてその先へ向かう。
そこにはマントの女がいた。
「さて、指令かしら」
「ああ、ソフル食品工場の場所の地図だ」
「それって非人道的な何かが作られてるっていう」
ソフル食品工場。
それはエメラダ教が掴んだ怪しい工場。
そこを潰せという事はやはり黒なのか。
首都に着いたらそこに夜襲をかけるようにとの事だ。
「結局その工場は何作ってんのよ」
「知る必要はない」
「冷たい人よね」
マントの女は勝手にしろという。
だがアレイシャに対しても本当にこのまま付き合うのかとも訊いてくる。
「私は別に何も問題ないわよ、スパイの手伝いも面白いしね」
「そうか、ならば闇に堕ちるともその心を忘れるな」
「アレイシャってなんかすっかりあれよね」
とりあえず任務については以上らしい。
首都に着いたら粛々とその任務を遂行せよとの事だ。
そうとだけ言い残しマントの女は去っていった。
そしてアレイシャ達も仲間の下へ戻る。
「遅かったのね」
「二人はずいぶんと仲がよろしいようですね」
「あたし達もいるのにね」
「ごめんなさいね、少しあれなのよ」
なんにしてもエイルとゼスフィは事情を知っている。
だからこそそれに対しても協力してくれるのである。
「とにかく明日には首都だからきっちり休んでおきましょ」
「そうね、宿は確保してるし今夜は少し精のつくもの食べましょうか」
「エイルは店を泣かさない程度にね」
「ええ、今までのお店も泣いていましたよ」
それはその食べる量だろう。
やはり大食いというのは大変なものである。
一人でアレイシャ達の倍は食べているのだ。
そりゃ店としても泣きたくなるしそれこそ赤字になってしまう。
「うふふ、でも精のつくものは美味しいわよね」
「肉食ねぇ」
「こんなおっとりしてるのにガッツリ系ね」
「なんにしても今夜は少し贅沢ですよ」
そうして首都に入る前に少し栄養を摂っておく事に。
仕事はアレイシャ達がやる事だ。
首都にあるソフル食品工場にある秘密とは。