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山の上から

バルギニア国内を旅するアレイシャ達。

現在は小国の一つヘスタルに来ている。

相変わらずの山の上ではあるがそれも慣れたもの。

首都も近づきつつあるため警戒は強めていた。


「相変わらずの山の上ねぇ」

「でも慣れればいい景色よね」

「ええ、遠くが見えるというのもいいものですよ」

「あら、ヒルデも言ってくれるのね」


なんにしてもそんな山の上からの景色。

それはこの国を少し遠くから見渡せるという事でもある。


「首都までもう少しよね」

「ええ、あと三つぐらいね」

「なら首都に着いたらそこでも観光ね」

「アナスティアは楽しそうですね」


この楽しそうにしているのもアナスティアらしさだろう。

セクネスとアナスティアはこんな正反対の性格である。


それなのに孤児のときから実の姉妹のように寄り添ってきた。

当然血の繋がりはないし、同じ家で生まれたわけでもない。


腹違いの姉妹でもないし、特に繋がりは本当にないのだ。

アレイシャもそんな二人にはどこか不思議な感じは覚えていた。


「にしてもセクネスとアナスティアって昔からそんな仲良しなの?」

「ええ、それこそ孤児のときからですよね」

「そうね、お互い孤児だけどそれを恨んだ事もないし」

「あんた達どんだけ聖人なのよ…」


エロイーズも少々呆れ顔である。

とはいえその仲の良さは少し妬いてしまうものもある。


アレイシャが二人を拾い教会に預けた。

それから二人は騎士とシスターになった。


とはいえ性格が変わる事はなかったようである。

それはその当時から見ているアレイシャはよく知っている。


「ん?アレイシャ、少し席を外すわよ」

「ごめんなさい、少し外すわね」

「またトイレかしら」

「アナスティアってシスターなのにちょくちょく下品よね」


そうして二人はその視線の先へ。

そこには例のマントの女がいた。


「仕事の依頼かしら」

「ああ、首都に着いたらソフル食品工場に夜襲をかけ、工場を潰せ」

「食品工場?また変わった依頼ね」


食品工場への夜襲依頼。

そして工場を潰せという。


その工場に何があるのか。

聞けないと思いつつも訊いてみた。


「その工場では非人道的なものが作られている、それを掴んだだけだ」

「非人道的なものってなによ」

「毒でも仕込んだ食べ物とか?」


マントの女はそれ以上は教えてくれなかった。

ソフル食品工場を潰せとの依頼。


非人道的なものが作られているらしいとの情報。

怪しさはあるものの、エメラダ教の諜報能力は侮れないとアレイシャは理解している。


そのためあえてその依頼に異論は言わずに乗っかる事にした。

それにしても非人道的なものとはなんなのか。


それだけがやはり気になるものだ。

そんなやばいものでも作っているのか?という。


「首都に着く直前に再度接触する、あとはお前達次第だ」

「了解よ、そういう事にしとくわ」

「ソフル食品工場、覚えておくわね」


そうしてマントの女は去っていった。

アレイシャ達も仲間の下へ戻る。


「何してたのよ」

「二人は仲良しなんですけど、時折不審ですよね」

「まあいいのでは?」

「そうよ、特に何かあるってわけでもないでしょ」


エイルとゼスフィはその理由をトネオのときにすでに知っている。

そのためはぐらかすのに力を貸してくれる。


「実際アレイシャとエロイーズってお互い対極みたいなところはあるじゃない」

「ええ、なのに仲良くしているのは大したものかと」

「お二人はずいぶんと肩を持ちますね」

「なんか怪しいわ」


怪しまれるのは仕方ないとして。

アレイシャ達もそれを適当にはぐらかす。


「とはいえ本当に何もないんですね?」

「しつこいっての」

「ヒルデはそういうところは警戒してかかるわよね」

「無理もないと思うわよ」


なんにしても警戒されるのは仕方ないと割り切る。

その上ではぐらかし続けるのである。


「それより首都目指すんでしょ、一気に首都まで行くわよ」

「時間的に足りますね」

「なら途中に寄りつつ行くわよ」

「ええ、頼むわね、エイル」


そうして日付が変わるまでに首都まで一気に行く事に。

その距離はそう遠くないのでなんとか行けそうだ。


ソフル食品工場には何があるのだろうか。

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