今の隣国
バルギニア国内を旅するアレイシャ達。
現在は小国の一つソリシアに来ている。
バルギニアも見た感じでは平和な国に見える。
だがトネオでの出来事は確実に影を落としていた。
「見た感じでは平和なのよね」
「ええ、見た感じではですね」
「でも国民はやっぱり不安なのね」
「トネオでの爆撃の事ですか」
その事もあってか他の隣国にも影響は出ているらしい。
政治家達がそれをなんとかしようと動いてはいるらしいのだが。
「でもトネオも我慢の限界だったのかしら」
「どうなのかしらね、意外と私的な理由なんじゃない」
「それはそれで大変な理由だと思いますが」
「同意ね、そう思うわ」
事情を知っているアレイシャ達だけが知るその理由。
それは復讐のためにやった事などとは言いにくいものだ。
アレクシスが復讐のために軍隊を利用していた事。
とはいえそれにより軍隊は確実に強靭なものになった事も含め。
「でも私的な理由で軍隊を動かしたらそれは許されない事よ」
「そうね、でも世の中にはどうしようもない馬鹿っているんじゃないの」
「どうしようもない馬鹿ですか」
「その馬鹿が軍隊を利用したみたいな?」
悟られない程度には話にしていく。
だがそれよりもアレクシスの言っていた天使様というのも気になっていた。
「なんにしてもここ以外の隣国にも伝わってはいるようですね」
「トネオ空軍の爆撃ね」
「国際的に何かしらあるのは確定よね、トネオ」
「仕方ないっちゃないのよね」
とりあえず少しお腹が空いたので適当な店を探す。
その店に入り食事を摂る事に。
相変わらずのエイルの食べる量には驚かされる。
店側としても断れないのが辛いものだ。
エイルの食べる量に店もその客達もただ呆然としていた。
アレイシャ達はそれも慣れたものではあるが。
そうしてしっかり完食して店を出る。
店としては涙目である。
「エイル、あんた本当にきっちり食うわね」
「あれでも腹八分目なのよ」
「もう何がなんだか」
「私も食べる方ですけど、あれには勝てませんよ」
確かにヒルデも意外と食べる方ではある。
それも肉ばかり食べているのだ。
ちなみに好き嫌いはないらしい。
肉が好きなだけの話だという。
そうして街の散策を再開する。
するとどこかで見たマントの姿が見える。
アレイシャとエロイーズは少し席を外す。
それはエメラダ教の例の情報係だった。
「何かしら」
「任務よ、このシールは分かる?」
「これってサファア教の食べられないもののやつよね」
その女の話ではそのシールの偽装品が出回っているから取り締まれという。
エメラダ教としても宗教対立は起こしたくないらしい。
「分かったわよ、その元締めをとっちめろって事よね」
「そういう事よ」
「ならさっさと終わらせるわ、少し待ってて」
そのまま場所を聞きその場所へ向かう。
元締めはあっさり降参しそのまま警察に引き渡される。
ちなみにその元締めはコレアム人だという事が分かった。
宗教的な問題のものを偽装するなど怖いもの知らずだと実感する。
「やってきたわよ」
「感謝する、他にも任務はあるがそれは首都に近くなったら改めて伝える」
「分かったわ」
そうしてその女は去っていった。
別にも任務はある、つまり首都で何かさせられるのだろう。
とりあえずはそのまま仲間の下へ戻る。
何があったのか訊かれたが適当にはぐらかしておいた。
「あの二人どうにも怪しくないかしら」
「そうでしょうか?デートでもしているのでは」
「そんな趣味はない」
「でも女の子同士の恋愛も素敵よね」
ゼスフィは事情を知っているので適当な事を言う。
アレイシャも実は意外とそっちのケがあるのだろうか。
なんにしても小さな任務を終えて少し落ち着く。
アレイシャとエロイーズは意外とそっちなのかもしれない。
「さて、次の小国に行くわよ」
「ええ、分かったわ」
「なんか悔しいわね」
「幼馴染の私達がいるのに」
セクネスとアナスティアもどこか妬いている。
女同士というのも複雑なものだ。
そうして次の小国に向けて飛び立つ、任務があるとだけ聞いた以上覚悟は決めておく。