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山の上の国

バルギニア国内を旅するアレイシャ達。

だが隣国で起こった出来事はやはり影を落としていた。

どこか不安そうな国民達。

政治家達はそれをなんとかしようと必死なのだろう。


「見た感じはあれだけどやっぱり不安なのね」

「当然ですよ、隣国のお話ですからね」

「そうね、他人事じゃないと思うわよ」

「まあ隣国だからこそ気になっちゃうっていう事はありそうよね」


隣国だから気になる。

エイルの言うそれは確かに的を射ている。


「そもそも歴史において隣国と仲良くした国はほとんどが滅びています」

「なのに気になっちゃうのね」

「当然でしょ、仮に隣国で何かあったら移民が大挙して押し寄せるかもしれないわ」

「そうなったら自国も危うい、ですか」


セクネスの言う通りである。

隣国で何かが起こり難民として移民が入り込む。


それにより国は荒れ秩序は失われる。

そうしておかしくなった国は現実にあるらしい。


だからこそ隣国とは適度に距離を置きつつも気をつけねばならないのだ。

それが外交であり、付き合い方だとエイルは言う。


「移民問題は世界の問題なのよ、受け入れれば国は壊れ拒否すれば非難される」

「そうした結果が悲惨な事になった国はあります、難しいものですよね」

「二人はそういうの詳しいわよね」

「ええ、でも国の問題が難しいのは理解したわ」


とりあえずは一旦置いておき今いるガルグムの街を散策する。

アイスを見つけたのでそれを買い少し食べてみる。


「乳製品が名物だけあってアイスも美味しいのね」

「ええ、とてもミルクの味が濃くて」

「そうね、それがバルギニアらしさよ」

「乳製品は苦手なんだけどねぇ」


エロイーズは乳製品を苦手とする。

お腹がゆるくなるというのも本当のようだ。


「この国って実は意外と酪農に向いてるのかしら」

「どうなんでしょうね、メインが山羊の乳であるなら少し違うような」

「でも肉料理も名物よね?」

「基本挽肉ですけどね」


とはいえそういったものを育てられる環境はあるのだろう。

山が多いという土地だからこそ独自の飼育法などもあるのかもしれない。


「なんにしても土地が独自の国って独自の栽培法とか飼育法を持ってるものよ」

「そういえものなのね」

「でも分かる気がします、平地ではないからこそというか」

「ええ、農業でも酪農でも土地に合わせてやっている国はありますからね」


そんな山が多い国バルギニア。

とはいえ空気の薄さにはやはり慣れないものだ。


「でもバルディスタから結構遠くまで来ちゃったのね」

「そうねぇ、でも国としてはまだ三つ目なのよ」

「ついでにトネオに入る際に他の国の頭上を越えてますしね」

「移動した国は少ないのに長く旅してる感覚だわ」


それが国というものである。

多くの小国と本国である首都で形成されるのがこの世界の国。


当然国土も普通に広いのだ。

そのため今までに抜けた国の数の割に移動距離はとても長い。


バルディスタ国境から始まった旅もまだ始まったばかりなのだ。

そんな中露店で珍しいものを見つける。


「ねえ、この獣人の指輪って本物?」

「こいつか?胡散臭いだろ?でも俺には価値は分かんないんだよ」

「なら私が買うわ、いくらかしら」

「そういえば富豪の…」


その獣人の指輪は本物という保証はない。

だが以前富豪が欲しがっていたものという事もあり、買う事にした。


店の男が提示した値段は二万。

それで買えるなら安いものかと思い即決である。


「どうもね」

「意外とあっさり手に入っちゃったわね」

「本物なの、それ」

「どうなのかしら、でもそのうち例の富豪に持ち込んでみましょ」


胡散臭い指輪である。

だがどんなものか分からない以上買ってみるしかなかった。


そのうち例の富豪に持ち込む事にした。

戻るには数日必要ではあるが。


「とりあえず今日はもう宿を確保して休みますか」

「そうね、次の小国へは明日よ」

「はいよ」

「では今夜は少し何か食べますか」


そうして今日はこの小国で一夜を明かす。

意外と簡単に手に入った獣人の指輪。


本物という確信はないままなのが不安要素ではあるのだが。

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