高地の街
バルギニア国内を旅するアレイシャ達。
現在は少し高地にある小国のラシナに来ている。
先日までとは違い標高が高くなったためか少ししんどい。
それでもそれがこの国の特徴でもある。
「山の上ってやっぱりしんどいわね」
「そうですね、そこまでの標高ではないですが空気が薄いというか」
「無理もないわよ、バルギニアは国土の多くが山だもの」
「ええ、なので多少の空気が薄いのは仕方がないのです」
そんな高地の小国ラシナ。
ここは山の上だけあり少々独特な感じもある。
「でも見る限りでも山の上って感じよね」
「そうですね、やっぱりそれだけ独特な感じはします」
「住民は平気そうに暮らしてるのね」
「現地民だものね、慣れてるのよ」
そうして街の中を見て回る。
チーズを使った食べ物などもあり意外と美味しいものにありつける。
「チーズクリームのビスケットなんてあるのね」
「クラッカーの要領でしょうか」
「でもこの国の乳製品は美味しいのよね、お腹が減るわ」
「エイル、あんたは自重なさい」
そんな中街中に白衣姿の女性を見かける。
医者か研究者か何かだろうか。
「あら、外の国の人なんて珍しいんですね」
「あなたは見た感じ研究者か何かですか」
「白衣なんか着てるしね」
「実際そうなのかしら」
その彼女はこの国で研究をしているという。
だが資金面などで苦労していて思うように捗らないらしい。
「ふーん、なら一緒に来てくれるかしら」
「何か当てがあるんですか?」
「アレイシャってたまに謎のコネが出るわよね」
「行方不明になっている間に何かあった、とか」
そうしてアレイシャはその彼女を連れて路地裏へ。
そこで例の呪文を唱える。
「着いたわ」
「ここは…」
とりあえずアレイシャはミィアの下に彼女を連れていく。
ここなら彼女の研究も捗るだろうとの事だ。
「なんじゃ、また就職を頼みたいと申すか」
「ええ、何かの役には立つと思うわよ」
「あの、この女の子は…それにここはどこなんですか」
ミィアが簡単に事情を説明する。
その言葉に彼女は驚いていた。
「研究は好きなだけさせてやる、ただし妾の部下となるのが条件じゃ」
「…分かりました、必要なものを揃えてくれるのなら喜んで」
「すまないわね」
ミィアもアレイシャはなんだかんだで気に入っている。
それに優秀な人材なら確保するに尽きるからだ。
そうして彼女もこの魔王城で研究をさせてもらう事に。
ついでにアレイシャは以前のあれを見に行ってみた。
「この前の植物人かい?リュファル!少し来なさい!」
「なんですかご主人様」
「これがあのときの植物人なのね」
それは以前の魔界の植物の際に見つけた植物人。
ハイフスに任せていたが、短期間で大きくなったものだ。
「名前はリュファル、少しドジではあるが私の助手をしてもらっているよ」
「リュファルです」
「ええ、それにしても懐いてるのね」
リュファルはハイフスにべったりだ。
親のような感じなのだろうか。
とりあえず様子を見れて一安心である。
そのまま挨拶を済ませ仲間の下へ戻る。
「お待たせ」
「彼女はどこかに就職ですか」
「この街にそんな研究機関とかあったかしら」
「秘密ってやつね、なんかあれだわ」
とりあえずそのまま街の散策を再開する。
高地だけあって長く歩いているとしんどくなる。
それでもそんなこの国独自の土地にお国柄を見る。
やはり世界は広いものなのだと。
「ふぅ、山羊のミルクも美味しいものね」
「エイルさんはなんでそんな育ったのか分かった気がします」
「それでありながら鍛えられた体してますよね」
「元軍人っていうのが分かる体格だわ」
エイルはそんなしっかりとした体付きなのも元軍人という事なのか。
セクネスやアレイシャとは違う方向に体が作られているようである。
「さて、次の小国に着いたら宿を確保しましょ」
「ですね、では次の小国に向かうとしますか」
「この国も独特よね」
「そのようですね」
そうして次の小国へと飛ぶ。
アレイシャが魔王城に就職を斡旋するのは今さらだ。
ミィアも優秀な人材が確保出来るのなら拒む理由もないのだから。