表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/230

首都前の息抜き

トネオ国内を旅するアレイシャ達。

今は首都の一つ前であるセッタナに来ている。

首都に着いたらアレクシスの粛清の仕事が待つ。

そのためここで少し気を休めておく事にした。


「ん、んー…いい感じね」

「そうね、首都が近いだけに人も多いし」

「首都の隣ですからね、それだけ人もいるのですよ」

「それで首都に着いたら数日滞在でいいのかしら」


エイルに尋ねられる。

それに対し首都に着いたら数日の滞在になると返す。


「了解よ、国境を越えるときはいつでも言ってね」

「ええ、頼むわね」

「やっぱりエイルは頼りになるのね」

「ですね、まあどこかほんわかパッパしてますけど」


セクネスにしては珍しい表現だ。

なんにしても仕事がある事からも数日の滞在は必要か。


エメラダ教のスパイは闇の組織。

暗殺から諜報までなんでもやるのだ。


今回はそれがエロイーズに回ってきた。

そしてアレイシャも成り行きで巻き込まれている。


とはいえお互いを知るにはいい機会かもしれない。

そんな中で少し気を休める。


「そういえばトネオを抜けたら次の国はどこだったかしら」

「トネオの次はバルギニアね、国の多くが山岳地帯の国よ」

「多くが山岳地帯の国ですか、少し大変そうですね」

「私は特に問題はありませんよ」


バルギニア、それはトネオの隣国で山が国土の多くを占める国。

そのためなのか国自体が高地にある傾向にあるという。


「そんでバルギニアって何が名物なの?」

「一番有名なのはヨーグルトとかチーズね、あとは煮込み料理とか」

「相変わらず食べ物ですか」

「エイルさんらしいです」


ゼスフィも少々呆れ顔である。

とはいえエイルは食べる事に幸せを感じるのだから無理もない。


「バルギニアヨーグルトって世界にもレシピが流通する程度には有名よ?」

「もしかして私達が普段食べてるヨーグルトって…」

「バルギニア発祥と言われていますね」

「そんなに有名だったんですか」


トネオ料理は世界三大料理の一つ、バルギニアヨーグルトは世界的に有名。

この短期間でそんな有名な食文化に出会うのか。


それはエイルだけでなくエロイーズも期待させてしまう。

セクネスとアナスティアは貧しかった時代にヨーグルトにはお世話になっていたという。


そんな知られていそうで知られていない意外な料理の話。

世界は広いものだと実感する。


「バルギニアヨーグルトにはお世話になっていたんですね」

「そうね、貧しかったときは大袋のシリアルとヨーグルトで凌ぐとかあったし」

「セクネスさんとアナスティアさんはそれだけ貧しい過去がある、と」

「この二人は元孤児なのよ、私が拾って教会に預けたのよね」


セクネスとアナスティアの過去。

それはアレイシャに救われたあの日の思い出。


そのときからこの人が自分達の理想であると決めた。

あのときはアレイシャも自分達も子供だった。


それからこうして大きくなり騎士となりシスターとなった。

だが根本にあるものは変わっていない。


それが理想であり信じるという事。

この人を裏切る事だけは決してしないようにしよう、そう誓ったのだ。


「とはいえ貧困時代の癖はどうにも抜け切らないんですよね」

「そうね、買い物とか行くと真っ先に値段を比較したりしちゃうし」

「少しでも安く済ませようという根性ですね」

「でも貧しくても裕福でもお金を使う事が国の経済に貢献するという事よ」


エイルの言う事は尤もだ。

お金は使ってこそ意味がある、死んでしまってもあの世にお金は持っていけないのだ。


だからこそお金を死後どうするか、それを考える。

使って初めて意味を成すものがお金なのである。


「なんにしても息抜きよね、いい感じにリラックス出来たわ」

「そうね、首都に着いたらそっちも見て回りたいもの」

「滞在日数は着いてからでよろしいですね?」

「さて、それじゃ夕方には着けるように首都に行くわよ」


そうして首都に飛び立つ。

首都で待つ仕事、それは謎多き男アレクシスの粛清。


エメラダ教の裏の顔を垣間見る仕事。

アレクシスとは何者なのか。


国の政治の暗部に触れるのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ