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依頼の男

トネオ国内を旅するアレイシャ達。

先日の事もあり仕事に備える二人。

二人はそんなアレクシスという男の事が気になっていた。

粛清対象であるそのアレクシスとはどんな奴なのか。


「ここも軍人だらけね」

「そうね、でもそういう国なのよ」

「ですね、情勢の事もありますから」

「それより見て回りましょ」


今来ているのは小国の一つリィムン。

首都に比較的近いからなのか人はそれなりに多い。


「でもこの国が今の情勢を保っているのは軍隊があるからなのよね」

「そうですよ、なかったらとっくに攻め込まれ支配されています」

「ロサニアは狡猾な国としても有名だものね」

「あのロサニアですからね」


そんな中休憩中の軍人達を見つける。

何やら噂話をしているようで、アレイシャ達は耳を傾ける。


「あいつについてどう思ってる」

「アレクシスとかいう奴だろ」

「軍隊の特別顧問になったの三年前だったか」

「あいつになってから軍隊も変わったよな、活き活きとしてる」


どうやらアレクシスの事らしい。

その話をもう少し聞いてみる事に。


「でもあいつになってから仕事が増えた気もするよな」

「それか、あいつは完全に帰化してるとはいえロサニアの血を引いてるんだろ」

「実はスパイでした、なんて事は普通にあるんだろうか」

「他国でも帰化人がスパイとか聞かなくもないもんな」


アレクシスがロサニア人。

それは粛清を依頼された事をなんとなく理解させる話だ。


帰化するのは単純な話ではないという事か。

現に他国では帰化しながらも母国のスパイとして活動する人間もいる。


基本的に世界の政治において外国人の政治参加は認められていない。

だが帰化していれば話は別というケースも国によってはある。


そのため帰化人が政治に参加している国はなくはない。

それによりスパイが国政に入り込む、そんなケースもあるのだ。


そのためなのか帰化人であろうともその国への忠誠を示させるケースは多い。

それが出来なければ帰化そのものをさせないという国もあるぐらいだ。


母国との繋がりを完全に断ち切る事が帰化の条件。

そんなルールを設ける国は普通にあるのだから。


「でも軍隊が強くなったのも事実なんだよな」

「単純なスパイなのか、目的があるのか」

「帰化人っていうのも難しいもんだよな」

「結局はそれを扱う国としての問題なんだろうな」


アレクシスが特別顧問になってからの軍隊の強化。

それはただのスパイではなさそうだが、そんな奴を粛清対象にする謎。


やはり裏ではロサニアに通じているのだろうか。

それとも二面性のある人間なのだろうか。


アレクシスという男の謎はその噂話から深まる。

軍隊を強くしたロサニアの帰化人。


その一方でどこか怪しい臭いのする話でもある。

アレクシスとは何者だ、なぜ粛清する依頼が出たのか。


だがそれを確認する理由などない。

エロイーズはそれを知る必要もなく任務を遂行すればいい。


それがエメラダ教のスパイとしての役目だ。

潜入から暗殺まで、あらゆる任務をこなすのがエメラダ教のスパイという。


「まあ下っ端の俺達は従うしかないか」

「だな、そんじゃ見回りを再開しよう」

「何かあったら連絡な」

「そんじゃな」


そうしてその軍人達は仕事に戻っていった。

アレイシャとエロイーズはアレクシスについて改めて考える。


「胡散臭いもんね」

「アレクシス、何者なのかしら」

「奇妙な話ですね、そのアレクシスというのは」

「ええ、スパイなのかそれとも別の何かがあるのか、見えてこないわ」


なんにしてもそのアレクシスはエメラダ教が粛清する。

そう依頼された以上やるしかないのだ。


エロイーズとアレイシャは覚悟を決める。

首都まではあと一つ。


そこを抜ければ首都に到着する。

トネオの首都ランハラ、そこで仕事である。


「それじゃさっさと首都を目指しましょ」

「了解よ、とりあえず隣に行くわね」

「ええ、頼むわ」

「では参りますか」


そうして次の小国へ飛ぶ。

トネオの首都は目の前である。


アレクシスの粛清。

それはエメラダ教が狙うこの国の悪なのか。


大宗教の裏にあるもう一つの姿がそこにはある。

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