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国王の噂

トネオを順調に旅するアレイシャ達。

今は小国の一つハスティスに来ている。

そんな旅の途中でトネオの国王についての噂を聞く。

それはこの国の現状とも関係していそうな噂だった。


「にしてもどこの小国に来ても軍人を見るわね」

「エロイーズは軍人があまり好きじゃないのかしら」

「確かにあまり好意的には見てないみたい」

「理由でもあるのでしょう、訊かないであげますか」


そんな中休憩中の軍人を見かける。

街の見回りなどがあるとはいえ、休む事も仕事のうちだ。


「少し聞き耳を」

「いい趣味とは言えませんね」

「エロイーズってこういう話に聞き耳立てるわよね」

「何かあるんでしょうか」


止めつつもアレイシャ達もその話に耳を傾ける。

どうやら国内の事について話しているようだ。


「なあ、前からとはいえこの情勢どう思う?」

「限界スレスレまでやってるよな、最近」

「なんか妙だよ、軍人である以上だけど国王の噂もあるし」

「ああ、国の政治家達に聞き取りしてるってやつな」


どうやら国王が国の政治家に聞き取りを行ったらしい。

引き続き話に耳を傾ける。


「なんか最近ロサニアに情報が漏れたとか聞いたんだが」

「おいおい、冗談だろ?」

「確か最近亡命してきた…コレアム人が申請出してたよな」

「コレアムってついこの前まで戦争してたよな、バルディスタにボコられたらしい」


戦争の話はここまで届いていたようだ。

亡命したコレアム人、情報漏洩はそいつの仕業?


「でもそいつに情報を盗むとか無理だろ、仮にも国の中枢だぞ」

「だとしたら国の中に内通者でもいるんじゃないか?」

「そんでそのコレアム人と何か繋がりがある、とか?」

「噂に聞いたんだがコレアム人は関わると不幸になるらしいぞ」


その話からして最近国内の情報がロサニアに漏れたという事らしい。

バルディスタのときと同じように内通者が国王の近くにいるのか。


「下手に物申せないからな、国王と議会が内通者を粛清してくれると信じるしかないか」

「俺達はこの国と民を守るだけ、だな」

「そういう事だ、休憩も程々に見回り再開するぞ」

「了解です」


そうして休憩していた軍人達は去っていった。

アレイシャ達はその噂を気にする。


「この国にも内通者がいるのね」

「コレアム人ではないと思いますよ、外国人の政治参加は基本的に不可能です」

「例外があるとしたら母国の国籍を捨ててその上で帰化した場合のみ、ね」

「コレアム人に母国の国籍を捨てるなんて死んでも出来ないもの」


そんな中ヒルデが思わぬ話をする。

それは世界の中枢の話だ。


それは中央政府とコレアムの話。

その現状である。


とはいえコレアムという国自体今は存在しない。

中央政府の監視下に置かれ厳しく管理されているからだ。


中央政府とは世界各国の首脳達による連合組織である。

敗戦国の管理や世界的なイベントの運営などを行うのが主な仕事だ。


ちなみにコレアムは元々危険な国として指定されていたらしい。

そのためバルディスタの戦争を利用してコレアムを敗戦に追い込ませたという。


中央政府の手口として危険な国に指定された国は何かしらの手で押さえ込むのだ。

バルディスタの戦争も相手にふっかけられたとはいえ利用されていたのだ。


バルディスタは中央政府の参加国の一つ。

中央政府は自衛目的なら戦争はやむを得ないという考えを持つ。


つまり殴られたら殴り返せと参加国には通達しているのだ。

バルディスタとコレアムの戦争もそんな感じで開戦したらしい。


「結局は中央政府は世界の多数決、そういう事です」

「ヒルデも変な事に詳しいわよね」

「ええ、まさか中央政府のそんな話まで知ってるなんて」

「情報をどこから仕入れているのかしらね」


そんなヒルデの話に感心する。

殴られたら殴り返せ、世界も物騒なものだ。


「今日はこの小国で一夜を明かしますか」

「賛成、そろそろ夕方よ」

「なら何か食べましょ」

「またお店が泣きますね」


そうして今夜はこの小国で過ごす事となった。

中央政府という言葉、それは国による世界の多数決。


コレアムの運命は結局は掌の上だったのかもしれない。

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