空軍の様子
トネオの旅を開始したアレイシャ達。
まずはアムリィンの隣の小国のサンカタに移動する。
そこもトネオの小国としてはそれなりで人もそれなりに多い。
だがそんなサンカタでこの国の事情を垣間見る事となる。
「見た感じは平和なのにね」
「ですが軍人がうろついている事がそれを示していますね」
「軍事政権ってわけではないのよね」
「それは違うわ、でも北の国にちょっかい出されるから仕方なくなのよ」
エイルの言うようにこの国は北の国にちょっかいを頻繁に出される。
それによりトネオ空軍も頻繁にスクランブルするらしい。
「トネオも空軍を持てるお金はあるんですね」
「一応世界の国のほとんどは空軍を持っているわよ、規模の問題なだけでね」
「それだけ飛空艇の維持費と購入費がかさむって事なのね」
「まあ飛空艇は高速飛行を実現した技術だけに高いのよ」
エロイーズの言うように飛空艇はとても高価なものだ。
それを空軍として何機所持しているかで国の軍隊の予算が分かるという。
アラベルの富豪が飛空艇ではなく飛行船を作るのは安全性の観点かららしい。
当然飛空艇も安全を考え設計される。
だが旅行などの個人で使うだけなら飛行船の方が安全なのだ。
そんな事情もあってか飛空艇は軍事向けというイメージが強い。
飛空艇を主力として運用するのは一部の飛空艇の航空便と軍隊だ。
航空便のシェアは今でも飛行船が根強いのである。
「にしても…ん?何かしらこの音」
「スクランブルね、空を見て」
「飛空艇、あれがトネオ空軍…」
「あっちには別の飛空艇が見えます、あれが噂の北の国の…」
どうやら警報らしい。
こうして北の国にちょっかい出されるのはもはや日常だという。
「一応街をうろついてる軍人は警護なのよね、国民の」
「あんな事が頻繁に起きてたらそりゃ軍人を駐留させるのも分かったわ」
「やっぱり軍人は民を守るものという事なのね」
「でも落ち着かないものね、この様子じゃ」
アナスティアの言う事も尤もだ。
北の国に頻繁にちょっかい出される事もあり国民は落ち着かないらしい。
「北の国ってそういえばどこの国なんですか」
「ノルスタニアの西隣の大国のロサニアね、あそこは国土が大きいのよ」
「ロサニアは独裁の国としても言われていて、反政府の人が人知れず消えたりするとか」
「怖いわね、まさに粛清ってやつよね」
そんなロサニアが頻繁にちょっかいを出すのだ。
トネオとしても心休まる時間は少ないだろう。
「でも独裁国家のイメージって粛清とか処刑とかあるから困るのよ」
「世界は広いわね、バルディスタに生まれてよかったわ」
「アナスティアってちょくちょく本音を言うわよね」
「全くです、まあ私もそれには同意しますが」
ヒルデもそれには同意するらしい。
ロサニアに限らず、独裁国家のイメージがよくないのは世の常だ。
「あの空軍の様子を見てると軍人も眠れなさそうよねぇ」
「無理もないと思いますよ」
「まあ軍人が常に目を光らせる以上下手な真似は出来ないかと思いますよ」
「その割にはちょっかいを出すのね」
そんなこの国も平和が保たれるのは軍人のおかげである。
やはり軍隊は国防に必要なものだと改めて再認識する。
「もしこの国に軍隊がなかったら今頃ロサニアに滅ぼされていますよね」
「同意ね、私も元軍属だから軍隊の必要性と大切さは痛いぐらい知ってるわよ」
「同じくね、騎士だった身としても軍隊かそれに準ずるものはないと駄目よ」
「元軍人や元騎士様はその必要性を理解してるって事なのね」
アレイシャもエイルも軍隊の必要性の大切さをこの国で改めて思う。
もしこの国が軍隊を持たなければ今頃ロサニアはとっくに支配していただろうと。
「なんにしても事情は理解したわ」
「次の小国に行きましょう、頼める」
「任せて、どこでも飛ばしてあげるわ」
「では参りますか」
そうして次の小国に向かう事になった。
この国で感じた軍隊という国の守護者の存在。
国を守るのは政治家であり軍隊なのだと。
アレイシャ達もこの国では落ち着かなさそうである。