生い茂る首都
なんとか首都ダベラに着いたアレイシャ達。
だがその首都は植物に覆われていた。
アレイシャ達はその植物を取り除くべく首都へと入る。
植物との戦いが幕を開けるのである。
「目の前で見ると改めて凄いわね」
「それでもやる、でしょ」
「私はアレイシャ様に従うのみですよ」
「私も特には」
そうして植物を取り除くために街へと足を踏み入れる。
その街は巨大な植物に覆い尽くされ、迷宮と化していた。
「はあっ!」
「うげ、再生してんじゃない」
「相当生命力が強いようですね」
「落ちよ雷!」
魔法を使い少しずつ焼き払っていく。
だがこのままでは埒が明かない。
そんな中ヒルデが切り落とした部分に火をつけるといいと言う。
それに従いそれを試してみる。
すると植物に相当効いているのか、一気に燃え尽きた。
全部をやっている暇はないが、覚えておく事に。
「うわ、蔦の壁じゃないの」
「固まってるなら話は早いですね、はあっ!」
「ヒルデの魔法で一気に燃えていくわ」
「固まっているなら火の回りも早い、と」
その後も植物を次々に除去していく。
目的の中心地は恐らく国の主である富豪の屋敷。
その屋敷があるのは街の北側だ。
そこを目指しアレイシャ達はどんどん進んでいく。
「流石にしんどい!」
「量が多すぎますね」
「これじゃキリがないわ」
「私達が死ぬのが先かしらね」
それでもやるのだ。
そのまま植物を焼き続け、屋敷を目指す。
「辿り着ける気がしないわね…」
「しかもこんな大きな花が目の前にって」
「流石にこのままでは持ちませんよ」
「おや、ギブアップですか?」
どこかで聞いた声がする。
振り返るとそこにはあのレザースがいた。
「面白そうな事をしていると思いましたが、意外と軟弱なようで」
「あんた…レザース!」
「なんであなたがここに?」
「誰なの?この人?」
エイルは初対面である。
自己紹介も程々に、レザースが少し説明をしてくれる。
「この植物は恐らく、異界と呼ばれる世界、魔界の植物でしょうね」
「魔界…まさか本当に?」
「でもそれなら生命力の強さとかも納得ですよ」
「それぐらいって事なのね」
レザースの話では魔界の、それも改良型の植物だろうと言う。
だが魔界の植物は繁殖力が強い反面、核を燃やされればお終いらしい。
アレイシャ達の行動には敬意を示すが、勇気と無謀は違うとも叱られる。
そして一時的に共闘するかと持ちかけてきた。
「あんたと共闘?」
「ええ、背後から襲ったりはしないと誓いますよ」
「戦力は多いに越した事はありませんね」
「ならお願いするわ」
それに対しレザースもそれに応じる。
そしてレザースを加え、屋敷を再び目指す事に。
「死せる風よ、薙ぎ払え!」
「うわ、植物がどんどん枯れてく」
「凄いですね、やはり只者ではないようで」
「死霊使いって言ってたけど、魔法も普通に得意なのね」
レザースの魔力は底なしなのか、どんどん魔法を連発する。
それを見ていたアレイシャ達は実力差を感じてしまう。
「やれやれ、この程度では話になりませんか」
「こいつこんなに凄かったの…」
「魔力が桁違いだわ、あたしなんかじゃ歯が立たない」
「相当な魔道の達人よね、それも死霊術まで使えるんだもの」
その後もレザースを先頭にしつつ街を進む。
本当に味方になると頼りになる男だ、改めてそう思う。
だがヒルデは彼をどうしても疑うしかない。
この尋常でない魔力はどこから湧いているのか。
「まさに底なしの魔力ね」
「この程度は死霊術に比べたら軽いものですからね」
「魔法は精神力だけど、死霊術ってそんなに使うのね」
「死霊術ではないにしても植物を枯れさせる魔法なんて大したものでは?」
レザースの得意分野は弱体だ。
植物ならそれを枯らし、人間なら毒を与える。
そういった相手を弱らせる戦いがレザースの得意分野なのだ。
やはり死霊使いなのか、直接的な攻撃は得意ではないそうである。
そうして街を進み屋敷を目指すアレイシャ達。
街に入ってからかなりの時間が経過した。
今回の仕事は一日では終わらなさそうである。