首都に向けて
隣の小国で聞いた噂。
それは首都が珍しい植物によって覆い尽くされたという話。
アレイシャ達はそれを除去すべく首都の隣の小国サハワで準備を整える。
ここからでも隣の首都の植物は確認出来るが。
「さて、では必要なものを揃えてしまいますか」
「私も付き合うわ、まさか首都があんなねぇ」
「なんにしても首都の状況的にも私達がやるしかなさそうね」
「この国の警察も魔法とかに優れる人はいても限界もあるものね」
そうしてサハワの街で揃えるものを揃える事に。
買い物をしていると首都から逃げてきた人達の姿も見受けられる。
「首都から逃げてきた人達も結構いるわね」
「この国の最大都市ですからね、残された人も多いと思いますよ」
「だとしたらその人達も助けなきゃなりませんね」
「どこまでやれるかは分かりませんけど」
首都の様子はここからでも見える。
大きな植物がタワーのようにそびえ立っているのだ。
あの大きな植物を焼き払う。
それも街に火を移さないようにだ。
雷が得意なアナスティアでもそれは難しいだろう。
だからこそ他にも手段を練る。
強いて言うなら、火が得意なヒルデ。
氷が得意なアレイシャとセクネスなども戦力になりそうだ。
ヒルデの火を用いた技や魔法で一気に燃やし尽くす。
アレイシャとセクネスの氷で活動を停止させる。
そういった手段も使えると思い戦術として考える。
その上で本体を焼き払う必要があるだろう。
「一応アナスティアの他にも植物に強い属性は揃ってるのよね」
「私は火、アレイシャ様とセクネスさんは氷ですしね」
「確かに植物には効きそうだけど」
「斬撃なら私に任せてください」
ゼスフィもものを切るのは得意らしい。
として死神と言うからには人命以外も死に追いやれる。
火や雷が効かない場合はゼスフィに頼む事になりそうだ。
命あるものであればあらゆるものを死滅させられる、それが死神である。
「最終手段はゼスフィさんですか」
「死神なら植物だって一応生命だし死滅させられるのかしら」
「出来ますよ、生命のあるものなら例外はありません」
「つまり無機物以外は全てに対して死を与えられる、ね」
そこは死神、恐るべしである。
最初は疑っていたものの、その自信は本物であると感じさせる。
とはいえ性根は穏やかな性格であり、命を無闇には奪わない。
それでも必要とあれば、その死の力を行使する準備はあるという。
「なんにしても死神の力が思わぬ形で役に立ちそうね」
「最終手段ですけどね、とりあえずは我々でやらねば」
「ゼスフィちゃんって凄いのねぇ」
「とりあえず必要なものを揃えましょ、あと話も聞いておいた方がいいわ」
そうして商店を回り必要なものを揃える。
精神活性剤などは当然必要になるからだ。
魔法が主力になる以上、その力を回復する薬は必要になる。
あとは雷や火の魔法アイテムも購入する。
魔法の火力増強として使えるだろうとヒルデにアドバイスをもらう。
植物には熱である火や雷、活動を鈍らせる氷は有効な手段。
そういったものを用意すれば足しになるだろう。
そうして買い物を終えた後逃げてきた人に話を聞く。
その話では植物は首都をほぼ覆い尽くしているらしい。
焼き払おうと試みた者もいるそうだが、生半可の炎では効き目がないという。
その言葉から、魔法も最大火力が求められる。
ゼスフィの力はその消費も大きく、乱用は出来ないと本人が言う。
なのでやはり出来る限りはアレイシャ達でやる事になりそうだ。
巨大植物との対決は目の前に迫っている。
「それじゃ飛行船で近づける限り近くまで行くわよ」
「そこで一夜を明かし、早朝から任務開始ね」
「ではやれる限りはしましょう」
「ですね、私も剣と魔法と、やれる限りは尽くします」
そうして飛行船に戻り、首都のギリギリまで移動する。
そのあとはそこで一夜を明かす事になる。
食事もしっかりと摂り、睡眠もしっかり取っておく。
そのまま夜は更けていき朝になる。
アレイシャ達は夜のうちに確認だけは済ませた。
首都での植物戦が始まりを告げる。