治安の理由
アラベルの首都のダベラを目指すアレイシャ達。
現在は小国の一つアリバスに来ている。
このアラベルという国自体国土が広いので小国も多い。
そしてこの地域一帯が荒野と砂漠の地域として複数の国があるのである。
「ここがアリバスよ」
「どうもね」
「私達は見てくるから、燃料とか補給しておいてね」
「では飛行船はお任せします」
そうして街の散策に乗り出す。
この国は貧富の差はあるのに治安がいいのだ。
「にしても今まで見てきたけど、この国の治安いいわよね」
「この国の警察はお給料がいいのですよ、なので治安が保たれるというわけです」
「警察って言うならば国の組織だものね」
「バルディスタでは騎士が警察の役目でしたね」
治安がいい理由は警察の給金が高いかららしい。
ついでに食料品店などには警察が頻繁に立ち寄るらしい。
この国では仕事が休みの日以外は警察は制服で働くものだ。
当然買い物などに行く際も制服で行く。
それにより犯罪件数の減少に貢献しているという。
ちなみに警察を束ねているのは各小国の主である富豪達。
その富豪に高い給金を支払ってもらっている事がモチベーションに繋がるとか。
他にも様々な好待遇を保証されている事が治安のよさに繋がっているという。
「それで警察も仕事になると張り切るのね」
「でもそんなの当然よね、少しでも高いお給料が欲しいって何もおかしくないわ」
「ええ、それこそ警察はボランティアではないのですよ」
「そういえばお店の求人も見ましたけど、この国のお給金高いですよね」
この国は小国の主も富豪かその身内だ。
なので当然お金には困らないため、高い給料が払える。
働く事さえ出来るのならこの国は底辺の暮らしでもそれなりに贅沢が出来る。
貧富の差が生まれる理由としては、働くのが難しい人が貧困になるのだ。
国からの保証こそあれど、働けるか否かで貧富の差が出来る。
働けさえすれば、中流の暮らしは余裕で可能なのだから。
「治安ってお金で作れるのねぇ」
「でも私は間違ってないと思います」
「結局人は継続に必要なものはお金なんですよ、それがやる気になるんです」
「安いお給金で働かせてもいいものは生まれないって事ですね」
この国の治安のよさの背景にあるのが、待遇のよさだ。
待遇がいいからこそ警察も技術者も様々な職業の人達もやる気になる。
安い給料では人のモチベーションは上がらないとヒルデは言い切っている。
報酬がいいのならそっちに流れるのは必然だとも言う。
どうしても人材を手放したくないのなら待遇をよくしろ。
それはどんな世界でも共通の引き止め方だ。
少しでも待遇のいい方に人は流れていく。
最後まで待遇を変えないところから潰れていくのだそうだ。
「世の中賄賂だの裏金だの言いますけど、それは言わば待遇なんですよね」
「人を買収されるのはその待遇を上回るから、かしら」
「お金は醜いって言うけど、お金がなかったら死んじゃうものね」
「てすね、私とアナスティアはそれを痛いほど理解していますし」
セクネスとアナスティアは孤児だったからこそ、お金の大切さが分かる。
お金がなければ今の自分達はとっくに餓死していたと。
教会に預けられてからもお金はきちんともらっていた。
教会はきちんとお金を取って悩みを聞き、シスターなどにも給料がある。
お金がなければ当然教会の運営も出来なくなってしまう。
教会だってボランティアをしているほど余裕などないのだ。
「結局は教会でもきちんとお金が発生するから成り立っていたのよね」
「ええ、国の治安、宗教、そういったものはお金とは切っても切り離せません」
「セクネスさんとアナスティアさんの経験がお金の大切さを説いていますね」
「そうね、無償で組織が運営出来るのは裏に後ろ盾があるからなのよ」
そうしてこの国の治安についても改めてその意味を知った。
平和はお金で作れるのだという事もである。
飛行船に戻ったあとは次の国を目指して飛び立つ。
お金とは人のモチベーションであり、やる気の理由である。
この国の治安事情の背景にはお金が必ずあるのだから。