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空の旅

思わぬ贈り物をもらってしまったアレイシャ達。

それがこの国のお金持ちの凄さだと改めて認識する。

飛行船だけならともかく操縦士までもらったのだ。

その太っ腹っぷりには感謝するしかなかった。


「そろそろハンプダの国に到着しますよ」

「ありがとう、エイル」

「にしても操縦士ねぇ」

「そんなものまで頂けるとは」


操縦士のエイル。

彼女はのんびりした性格ながら、その操縦の腕は確かなようだ。


「そういえばエイルは最初から操縦士に?」

「いいえ、元は軍人なの、軍隊で操縦士をやっていたのよ」

「つまり軍用飛行船の操縦士ですか」

「意外な過去をお持ちなのですね」


エイルは元軍人らしい。

この若さで引退というのも何か引っかかるが特に気にはしない。


アレイシャもそんな操縦の腕は認めている。

だからこそあの富豪に雇われたのだろうから。


「それにしてもこの飛行船凄いわね、寝室からキッチンまでなんでも付いてる」

「あの人が趣味で作らせたんだけど、それでもお金はなくならないのよね」

「この国の金持ちってどんだけなのよ」

「ほとんど動く家よね」


そうしているうちにハンプダの国に到着する。

ハンプダ、規模はそれなりながら首都のダベラへの道中にある国だ。


「私は食料とか調達しておくから好きに見てきていいわよ」

「ありがとうございます」

「それじゃ私達は少し街を散策してくるわ」

「それでは…」


そうしてエイルとは一旦は別行動に。

操縦士なので飛行船を守るのも彼女の仕事だ。


街を散策していると買い物中のエイルと鉢合わせした。

どうやら声をかけられているらしい。


「お姉さん少し付き合ってよ」

「お誘いは嬉しいけど私も仕事があるから」

「そう言わずにさ」


その美人さから無理もないのかとアレイシャは思った。

だがヒルデはそれを見逃さなかった。


いつでも剣を抜ける姿勢。

そしてその一切の隙のなさが彼女の凄さを語る。


元軍人というだけに常に警戒するように叩き込まれているのか。

やはりエイルは只者ではない、ヒルデはそう思っていた。


「あら、どうしたの」

「知り合いか、ご免なさい」

「モテるのね」

「それに軍隊時代の癖が抜けていませんよ」


エイルもその言葉にヒルデが実は凄い人だと察した。

とはいえそれを感じさせないのもエイルの凄さなのか。


「やっぱりクセってなかなか直せないものよね」

「そうですね、やはり染み切った癖はなかなか直せないものですよ」

「あんた達そんな癖が付くぐらいの過去でもあるのね」

「なんか凄いわね」


だがエイルは男の人と付き合うと大体の場合は向こうから逃げていくという。

その理由を訊いてみたが、どうやらたくさん食べるかららしい。


それによって男の人の財布をパンクさせ逃げられるという。

つまり今までに男性経験はあるが、大食いなので逃げられたという事に。


バルディスタは戦争からの復興が始まったが、他の国は豊かな国もある。

食べ物がたくさんある国も当然あるのだ。


「美味しいものを見つけるとつい手が出ちゃうのよ、お腹は正直だわ」

「この細身でそんなに食べるのね」

「なんか世界は広いわね、思い知ったわ」

「男に逃げられる理由は大食い、面白い話ですよ」


エイルも外食した場合、腹八分目ですら店が泣くぐらい食べるそうだ。

過去にそれで出禁を喰らった事もあるらしく、悩みとは大変である。


「さて、それじゃ私は先に飛行船に戻るわね、料理は私が作ってあげるから」

「自分で作るっていう結論に行き着いたのかしら」

「大食いで店に出禁喰らうならそりゃそうなるわ」

「出禁喰らうレベルの大食いとか、私でも初めて見ましたよ」


そうして街の散策を再開する。

一方のセクネス達はこの国の名物の肉にありついていた。


「美味しいですね」

「あの時代からしたらこんなに食べるなんて信じられないわよ」

「だから胸が大きく…」


まあ二人は孤児時代があるため食べ物のありがたさは知っている。

肉なんてご馳走だったあの時代が懐かしい。


アレイシャに感謝し、その力になると改めて誓う。


今日はこの国で一夜を明かし、明日次の小国へと向かう事に。

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