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無欲な富豪

アラベルの国を旅するアレイシャ達。

先日なんとかモハムの街に入り一夜を明かした。

一旦は街に滞在し首都への道を考える。

そんな中この国の富豪の思わぬ一面を見る事となる。


「さて、首都のダベラへはここからだと西になるわけですが」

「意外としんどそうね」

「過酷な環境の国ですからね」

「でも旅なんてそんなものでしょう」


すると目の前を一人の男性が通り過ぎる。

通り過ぎたと思ったその男性がアレイシャ達を見て戻ってきた。


「あの、あなた達はもしかして外国から来た人ですか」

「ええ、そうですが」

「あんた何よ、ナンパ?」

「エロイーズ、初対面の人なんですから言葉は選ばないと…」


どうやらその人はこの国で資源を掘り当てた人の一族らしい。

この小国の主ではないが、俗に言う富豪というものらしい。


「やはりですか、外国の人に興味がありました、家に来ませんか?」

「連れ込んでヤろうってか」

「エロイーズ!」

「でもこの国の富豪にも興味はあったのよね、資源で成功したとか」


その事についても話してくれるとの事。

熱意に負けその富豪の家にお邪魔する事になった。


そのまま連れられ家に案内される。

その家を見た一同は言葉を失う。


バルディスタの最大貴族の家ですら霞むほどの豪邸がそこにはあった。

これが資源で成功した大富豪である。


「お茶はどうかな?この国では外国からの輸入が主だからね」

「ええ、意外と美味しいですよ」

「にしても何なのよこの家、バルディスタの最大貴族の家ですら雑魚じゃない」

「資源で成功したとかこの国では耳にするけど」


富豪の話ではこの国は石油資源が豊富だという。

以前行ったノルスタニアは鉱物資源の国、資源も様々である。


「石油を掘り当てたのは兄なんだよ、それで私はこの国に家をもらってね」

「こんな豪邸をもらえるとか石油資源って凄いのねぇ」

「結婚したら死ぬまで遊んで暮らせるわよね」

「凄い、ですね」


だがその富豪には悩みがあるという。

その悩みとはお金をどうやって使えばいいのか分からないというのだ。


お金の使い方を知らないというわけではない。

単純にお金がありすぎるせいでそれを何に使えばいいのか分からないというのだ。


お金持ちもそのお金がありすぎるとそんな悩みに至るのか。

アレイシャ達は贅沢過ぎる悩みに言葉もなかった。


「この家は維持費にも困らないしメイドの給料は月給で一千万出してるよ」

「月給で一千万のメイドとか…」

「それでもお金が減らないと」

「なんか別の世界の生き物を見た気分だわ…」


さらにその富豪は寄付として全世界に五百万ほどばらまいたが、まだ余裕だという。

何か欲しいものはないのかとエロイーズが訊くが、特にないそうだ。


強いて言うなら趣味で飛行船を作らせたりしているが、お金は減らないという。

兄にお金は好きにしていいと言われ共同の資産にしているが、減る気配はないとか。


「ちなみに訊くけどその資産はおいくら万円なのよ」

「うーん、多分これぐらいじゃないかな?」

「その桁に絶句するしかないわね」

「本当に凄い…ですね」


恐らく大国の国家予算より多いと思われる。

それがこの国で成功するという意味である。


「そうだ、飛行船は欲しくないかな?趣味で作らせたのがあまっているんだ」

「その厚意は嬉しいけど流石にもらえないわよねぇ」

「とはいえそれがあれば旅は楽になりますよね、どうします?」

「こんな大きなプレゼントとか経験ないわよ?」


とはいえ彼からしたら飛行船の一台ぐらい端金らしい。

世界を旅する事になる以上もらっておくに越した事はない。


彼なりの悩みという事もあり、もらってしまう事にした。

さらには飛行船の操縦士もつけてくれるという至れり尽くせりだ。


維持費は自分の資産から引くように操縦士と契約をした。

そうして家をあとにし操縦士と合流、飛行船でダベラへ向かう。


「操縦士のエイル・フォン・レンネンカンプよ、これからはお世話になるわね」

「ええ、ではとりあえず隣の国まで頼めますか」


そうして操縦士と飛行船を手に入れ隣の国へ向かう。


偶然が重なった結果ではあるが、お金持ちの凄さを思い知ったのだった。

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