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堕ちた栄光

幼馴染二人を探しにハイザの森にやってきた。

その森は小動物なども住む穏やかな森だ。

だが今の森はその面影はなく暗い空気に包まれている。

ここに二人はいるのか、私は捜索を開始する。


「これは…野ウサギの骨?見た感じ狩られて食料にされたのかしら」


森にはちょくちょく野生動物の骨が落ちていた。

その痕跡から何者かが食料にしたのだろう。

つまりここには人間が潜んでいる。

私はそれを警戒するように歩き出す。


「流石に大声は出せないわね、悟られるだろうし」


気配を殺し周囲を警戒しつつ森を進む。

すると何者かが話している場面に遭遇する。

物陰に隠れその話を聞く。


「クソッ、あの二人ロクなもん持ってねぇ」

「騎士とシスターって言うから少しは金目のもん持ってるかと思ったのによ」

「やっぱ人質にして身代金要求するしかないか?」

「殺すにはもったいないしな、その方向で進めるぞ」


どうやら賊のようだ。

服装からして山賊?だが腰に下げていたのは剣だ。

剣を使うのなら山賊よりは海賊の方がしっくり来る。


奴らのあとを追い、二人の居場所を聞き出す事にする。


「人質は殺すなってボスに言われて…」

「はあっ!!」

「なっ!?てめぇ、なにもんだ!」


その賊に奇襲をかける。

そのまま次々に地面に叩き伏せ話を聞き出す。


「あなた達、この戦火に便乗した賊よね?」

「ぐっ、だったらなんだ…こうしなきゃ生きていけなくしたのは誰だよ…」


それは尤もな話だった。

戦争により貧しさは増し賊に身を落とす人間が出ても不思議ではない。


「とりあえず、さっき話してた騎士とシスターの居場所を教えなさい」

「へっ、言うかよ…こっちも生きるかどうかがかかってんだ…」


その言葉に力を強める。

賊はそれに対して理解したのか居場所を吐いた。

二人は森の中にある資材置き場に捕らえてあるという。


アレイシャはそのまま賊を気絶させその小屋へと向かう。


小屋は見つけたものの扉は厳重に鍵がかかっている。

強引ではあるが、力で扉をぶち破る。


「セクネス!アナスティア!」

「えっ?嘘…アレイ…シャ…?」

「嘘じゃ…ないの…?」


とりあえず二人を縛る縄を剣で叩き切る。


「アレイシャ…生きてた…んですか?」

「死んだって聞いてて…まさか…夢じゃないわよね…」

「話はあと、今はここからずらがるわよ」


だがそうはいかないとばかりに賊のボスらしき大男が姿を見せる。


「大切な人質を返してもらおうか」

「あんたが、ならここで倒して国に引き渡すわ」

「駄目です!こいつは…」

「簡単に勝てる相手じゃないわ!」


だが帰るには倒すしか道はない。

小屋の中ではあれなので外に出る。


「さて、それじゃあ始めようか、元中隊長さん」

「どうしてそれを…!?っ!?」


その言葉に動揺した一瞬を狙い切り込んでくる。

アレイシャも瞬時にそれに応戦する。


「あなたの剣術…それ帝国騎士団の…」

「そうさ、俺は一度は小隊長になった、だが戦争でお払い箱だ」


騎士が賊に身を落とす。

それは今世界を燃やす戦争の悲惨さを語っていた。

その元小隊長は自分と同じ何かを燃やしている。

そうアレイシャは感じ取った。


「あんたもだろ?一緒に復讐しようぜ、この腐りきった帝国によぉ!」

「私は…そうね、それもいい、でも…あんたは死ね」


そのまま斬りかかる。

親玉はそれに対して丁寧に切り返してくる。

アレイシャは武器こそ強いが、三年のブランクを感じる。


「終わりだ、死ねや」

「私は…負けるわけには…いかないのよ!!」


アレイシャの頭に突如浮かんだもの。

それは今までに知らない技だった。

その技が親玉にクリーンヒットし一撃で逆転する。


「なんだ…と…」

「はぁ、はぁ…よく分からないけど…勝ちね…」


そのまま親玉と部下達を拘束する。

セクネスとアナスティアにも手伝ってもらい、国に引き渡した。

そのまま教会へ戻り改めて話を聞く事にした。


騎士が賊に身を落とす、そんな状態にまでなったこの世界の今を…。

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