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その日は日食

軍本部をあとにしたアレイシャ達。

アウグスタの言ったイチョウの森で日が隠れる日。

それは言葉からして日食の日だろう。

だがイチョウの森というのが気にかかっていた。


「それで今後はどうするの?」

「イチョウの森ってどこなのよ」

「確かに国内に森は複数ありますけど」

「ヒルデは何か存じてないの?」


その森についてヒルデは恐らく黄金の森だろうと言う。

黄金の森とは黄色い葉が多く金色に見える事から名がついた森だ。


「その黄金の森ってどこにあるの?」

「黄金の森は南にある港の近くですね」

「南だと北への船が出てる港よね」

「そこの近くにあるのが黄金の森ですか」


ヒルデの話では港は厳しく調べられるものの、機能はしているらしい。

一部の人間は国外に避難しているらしいとも言う。


「やっぱり国外に逃げてる人もいるのね」

「とはいえ基本的に国外には出れません、よほどの理由でもあれば別、ですが」

「要するに国としても重要な貴族なんかは例外って事かしら」

「そんなところでしょうね、貴族は国の運営にも必要な人達ですから」


それはそうと問題はその日が隠れる日だ。

ヒルデとエロイーズも日食の日で間違いないと言う。


それでその日食の日はいつになるのか。

今の日付からだと一ヶ月後が大体の日で間違いないらしい。


一ヶ月後、それまでどうしたものか。

調査をしようにも限界はある。


何か出来る事はないか。

戦争の背景については大体は掴んでいる。


だが気にかかるのはコレアムもバルディスタも内通者がそれを引き起こした事。

つまり政治の内部にそれを望む者もいたという事実。


とりあえずは今滞在するハンクシュタインの街で少し待機する事に。

一旦自由として今後の予定も考える。


「さて、どうしたもんかしらね」

「そうね、でも戦争を終えるには内部を動かすしかないと思うわよ」


アレイシャの言う事は尤もだ。

内部の内通者をなんとかしないと戦争は終わらせられないだろう。


それでもコレアムのバルディスタへの憎悪から戦争は終わるのか。

エロイーズは相手の国の国力から考えれば、命令一つで滅ぼせるとも言う。


バルディスタの軍事力から見たらコレアムなど雑魚だからだ。

それをさせようとしないのが内通者だろうとも言うが。


「なんにしても私は国に復讐するまでは意地でも死なないわよ」

「あら、私もそれを遂げるまで死ぬつもりなんかないわ」


お互いに復讐を誓っているその身。

だからこそお互いを駒と言い、利用価値があるから共にある。


「ねえ、死んだらその人はどこへ行くのかしら」

「意外とどこにも行かないかもしれないわよ、単純に人格が消滅する、とか」


アレイシャなりの答えなのだろう。

一度死んだ人間には分かり切った答えである。


「人格の消滅ね、寂しいけど現実的だわ」

「天国や地獄があるなら死してなお苦しむ、そんなのはご免だわ」


どこか寂しげなその言葉。

エロイーズはそんな言葉を信じ、今後について考えていた。


その頃のヒルデ達はアレイシャとエロイーズについて話していた。


「アレイシャ様は変わられた、そんな気がしますね」

「そうね、どこか冷たくなった、そんな気がする」

「エロイーズも妙なコネクションがあったりしますし、謎は多いですよ」


三人は二人の事は知らない。

どっちもそれについては話してくれないからだ。


するとどこかで聞いた声に声をかけられる。


「おや、その様子では無事にヘーゼル殿にお会い出来たようですね」

「あなたは確か、レザース…でしたか」


そこにいたのは以前助けてもらったレザースだった。


「その様子だと時間が空いていたりしますか?」

「ええ、少しは、それよりなんなんですか」


レザースは少し頼みがあるので時間があれば聞いて欲しいという。


「それは別に構いませんが、何をすると?」

「先日賊にタリスマンを奪われまして、取り返して欲しいのです」

「それだけなら我々は構いませんが」


それにレザースは感謝の意を述べる。

自分は宿にいるので持ってきて欲しいと。


賊は近くの森に潜んでいるらしい。


それを引き受けアレイシャたちにも伝え、その森へ向かう。


その森で思わぬものを見る事になるとは今は知らない。

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