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国境で待つもの

ヒルデの足跡を追いハナテラ島へと上陸したアレイシャ達。

この島を抜け船に乗ればバルディスタ国境だ。

とはいえ何が待っているかは分からない。

ヒルデの事も考えつつ島を進む。


「朝一の船だったから時間的に余裕があるわね」

「そうね、この島は都市こそ多いけど、抜けるだけなら時間はかからないわ」

「つまりよけいな時間を使わなければ今日中に国境に行けますよ」

「なら話は早いわね、途中の都市で補給しつつ一気に駆け抜けるわよ」


そうして馬を駆り島を進む。

今思えばこの馬にもお世話になっているものだ。


「もう少し走ったら次の都市ね」

「了解よ、そこで少し休んでそのまま行くわよ」

「ええ、一気に、はあっ!」

「セクネスも手慣れたものね、頼りになるわ」


途中でルンソの街に立ち寄り軽く体力を回復させる。

ついでにヒルデについて少し情報を聞く。


ヒルデはここに立ち寄ったそうでお金になりそうなものを訊いていたらしい。

その事も含め向かった先はバルディスタ国境だそうだ。


「やっぱりここにも来てたのね」

「だとしたらもう迷う必要はないわよね」

「エロイーズの言う通りです、バルディスタに戻り今後を考えねば」

「なら今日中に国境まで行くわよ、いいわね?」


それで全員異論はない。

そのまま馬を走らせる。


馬を走らせ途中の都市に寄りつつそのまま北へとひた走る。

その道中でもヒルデについては情報を少しではあるが得られた。


やはりバルディスタ国境へ向かったという話が誰からも出る。

もはや疑いも迷いも必要ない、国境へと進みバルディスタへと帰還するのだ。


「もう少しよ、港町のマデンに着くから」

「分かりました」

「今は…昼過ぎね、まだ時間はたっぷりあるわ」

「そうと決まれば全速前進!」


そうしてマデンの港町へと到着する。

今のところ怪しげな視線や気配は感じない。


とりあえず船のチケットを購入する。

バルディスタ国境は戦争中という事もあり検問は厳しく、今は渡航者も少ないという。


通る事は出来るものの国境ではバルディスタ側が目を光らせるからだ。

今までも散々エロイーズを当てにしてきた以上そう簡単には進まない気もする。


「さて、そろそろ出港だからもう降りないのよ」

「ええ、国境まではどれぐらいかしら」

「何事もなければ三時間程度です」

「何事もなければ、ね」


そうしているうちに船が出港する。

戦争中という事もあり乗客の数は少ない。


見受けられるのはフリーのジャーナリストなどか。

少なくとも観光客と思われる人の姿は一人も見当たらない。


他にいるとすればエメラダ教のシスターなどがちらほら。

バルディスタでその実情の中でも力になりたいと願う人ぐらいだ。


「乗客はジャーナリストとか教会のシスターぐらいしかいないのね」

「仕方ないですよ、今のバルディスタの現状では」

「戦争…私を利用した…ふふ、でもそれも…」

「…まあ私はそれを止めはしないけどね」


そうして船は何事もなくその海を進む。

ちなみにエロイーズは中央教会のスパイ。


他国のエメラダ教のシスターとは違うためその事は知られていない。

というか中央教会から派遣されるシスターは基本的にスパイだ。


その国々の人間とは違うためその国での純粋な信徒とは異なるのである。

それを他国のエメラダ教の人間は知らないし知らされもしないのである。


そうしているうちに船はバルディアの国境港へと到着する。


「あー、ご免なさい、少しトイレ行くから先に降りてていいわよ」

「困った人ね、先に港で待ってるわよ」


そうしてエロイーズはトイレに向かう…ふりをする。


「さて、利用価値のある駒を捨てると思わないのね」


そうして三人は先に港へと降りる。

そして国境の検問所の前で待とうとしたときだった。


「お待ちしていましたよ、アレイシャ殿」

「あなた…バルディスタの…」

「まさか!?」


そして次の瞬間バルディスタの軍人に囲まれる。


「下手に怪我をさせたくはない、おい、傷をつけずに連れていけ」

「はっ!」

「エロイーズ、知ってて…信じて、いいのよね?」

「抵抗しない方がよさそうですね」


国境で待ち受けていたバルディスタの大臣と軍。

そのままアレイシャ達は連行されていってしまう。


「さて、こっちも仕事をしますかね」


エロイーズの真意は何なのか。


国に連行された三人の運命は…。

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