魔王の目的
アレイシャ達が旅立ったあとのお話。
モナーク達は魔王城に移動し、そこで何やら話をしている様子。
それはミィアの目的と、それに協力する賢者。
そして目的のためにしている事について。
「それにしてもよかったのかい?彼女達を行かせてしまって」
「構わんて、それに妾にもすべき事はあるしな」
「まだ諦めてなかったんだね、相変わらずだね、君は」
「ミィア様の目的に協力しているのも面白いからと言っていましたよね?モナーク様」
ミィアの目的とはなんなのか。
ハイフスは知っているようだし、モナークもそれに協力しているようで。
「自分を生み出した者への復讐、そのために技術者に研究をさせているのだろう」
「技術自体は世界のために使っていい、その代わり目的に協力しろ、賢いものです」
「ふん、妾は欠陥品として捨てられたからな、ならば問うてみたいだけじゃ」
「欠陥品って割にはずいぶんと高性能だけどね、キミは」
ミィアの目的は創造主への復讐。
そのために世界から技術者や研究者を集め研究をさせている。
条件は好きにやらせてやるし世界のために使っていいから協力しろ。
つまり世界に貢献するような技術を目的に使わせろという事だ。
この城にいる研究者は揃って国で不遇な扱いを受けた優秀な者達。
その人達に好きに研究させる事を条件に協力させているのだ。
「でもミィアで欠陥品扱いなら、生み出した人はもっと凄いオートマタを作れるのか」
「かもしれませんね、私もメイドロボですが、ミィア様よりも劣りますから」
「キスカは量産型じゃろ、そもそも妾とは根本から違う」
「なんにしても生み出した者に復讐する、とはいえ欠陥品にも思えないけどね」
なぜミィアが欠陥品扱いされるのか。
やはりそれはミィアが心を持っている事に関係するのか。
ミィアの創造主はどんな者なのか。
それを知りたいという事もあるようで。
「それはそうとまた新たな素体を手に入れたらしいな、ハイフス」
「ああ、彼女には劣るけど、それでも凄く優秀な素体だよ」
「ハイフスの死体に命を吹き込む魔法科学、国に禁忌扱いされるのも納得かな」
「その技術は生ける屍を作り出す技術、とはいえ兵隊には出来ないのでしたか?」
アレイシャにも施したその技術。
それは死者を生き返らせるわけではなく、屍のまま生かす技術だ。
ソンビとは違い自我ははっきりしているのが特徴でもある。
その技術をミィアが買った理由もハイフスは理解している。
「とりあえずここの研究者はみんなミィアの目的を知った上でやってる、そういう人だ」
「根っからの研究者という事ですね、研究のためなら世界など知らないという」
「奴らは国にいても研究は出来んだろうからな、それなら養ってやるのも慈悲じゃ」
「魔王って名乗る割には慈悲深いね、目的が復讐って時点であれだが」
発明したものは好きにさせる、それを条件に協力させている。
研究者達はミィアの目的を知って研究している根っからの研究者達である。
研究をさせてもらえるなら世界など知らない。
そんな考えの研究者達が様々な発明をしているのだ。
「それで、その創造主の事は少しは分かってるのかな?」
「さっぱりだな、向こうの世界にいるというのは確定じゃが」
「やはり簡単にはいかないものですかね」
「それでもミィアは自分を捨てた創造主を憎んでいる、だからこうしているんだろう?」
そんなミィアに研究者達もモナークも協力している。
研究者達は自分を満足させるために、モナークはその創造主への興味からだ。
全てを知った上で協力している、それはこの城の全員が理解している。
ミィアの復讐は果たされるのかは今は分からないままではあるが。
「ミィア、君は研究者達に希望を与えたんだ、それも忘れないでくれよ」
「分かっておる、全員妾が養ってやる、だから好きにやってよい」
「モナーク様も好奇心からですからね、相変わらずのお人です」
「ふふ、僕は知りたいと願う気持ちだけは誰にも負けないつもりさ」
そんな会話がされている中でのミィアの目的。
それは創造主への復讐のために人を集めているという事。
研究者達もそれを理解した上で協力しているという事。
別世界に旅立ったアレイシャ達の事も気にしつつ、目的のために金は惜しまない。
からくりの魔王と好奇心の賢者は目的のためにその力を使う。
魔王の復讐が果たされるその日まで、今日も新たな優秀な研究者が魔王城にやってくる。
アレイシャもミィアも根底にあったのは復讐だったという事なのだから…。
これでこの小説は完結となります。
次からは新しい小説を木曜日に更新していきます。
そちらもどうかよろしくお願いします。
今までお付き合いいただき感謝の限りです。
それでは新しい小説でまたお会いしましょう。