話の真偽
天使の正体を知ってからしばらく。
彼女の言っていた別の世界というものを気にしていたアレイシャ達。
それについて何か聞けないかと魔王城を訪れていた。
行くかどうかは少し考えるとして、それについて知っていそうな人に聞いて回る事に。
「その天使とやらはそんな事を言っておったのか」
「ええ、別の世界があるなんてにわかには信じられないけど」
「あるならそれはそれで楽しそうではあるけど」
「ミィア殿なら何か存じていないかと思いまして」
ミィアもそれについては知っているようだ。
その別の世界というものについても聞いておきたいのだ。
「それでその半島というのは地図だとこの辺りでよろしいのですか?」
「うむ、この半島のこの辺りじゃな、そこに別世界に通じる秘密の場所がある」
「やっぱり知ってたのね」
「ですがその半島は空路以外では山を越えないといけない場所ですよ」
地図を確認してその半島を確認する。
そこは標高の高い山を越えた先であり、空路以外では行くのも困難な場所。
そこに秘密の場所があるとは言うが、どうにも信じにくい。
話すら聞いた事がないその場所に本当にあるものなのか。
「でも一部の人は知っているのね、ミィアもそうだけど」
「そりゃ妾もこの世界ではない世界で生まれているからな」
「は?つまりあんたも別の世界から来たの?」
「それが本当なら別世界も嘘じゃなさそうね」
ミィアも別の世界で生まれた存在だという。
機械仕掛けの魔王、それを生み出した技術が別の世界のもの。
それはつまり別の世界にはもっと高度な技術がある。
この世界にも鉄道や飛行船といった技術はある。
だが恐らくそれよりも高度な技術なのだろう。
そんな話を聞いてモナークのコレクションを思い出す。
どこから手に入れたか分からない品々。
それを別の世界から手に入れて来たと考えれば自然と納得がいくからだ。
「そういえばモナークのコレクションを思い出すわね」
「あのよく分からない品の数々ですね」
「あの小童は相変わらず別の世界から何かと集めとるのか、変わっとらんな」
「モナークの事も知ってるんですか?」
どうやらミィアはモナークとも顔見知りのようだ。
その関係についても訊いてみる。
「モナークとは腐れ縁じゃよ、あいつも別の世界から来た奴じゃからな」
「マジか、つまり別の世界と自由に行き来出来るのね」
「コレクションについても納得しましたね」
「でもまさかモナークとも知り合いなんてね」
ミィアの意外な交友関係を知った。
そんなモナークやミィアが別世界から来たという事を聞き、その信憑性は増すばかりだ。
「でも確かに納得かも、ミィアもモナークもこの世界にはないようなものを持ってるし」
「表には出しとらんだけだからな、この城にあるものもほとんどはその世界のものじゃ」
「この城にあるものが高い技術なのはそういう事ですか、ようやくスッキリしました」
「世界中から技術者を集めてるのもなんか分かった気がしますね」
この城には世界中の大国から引き抜かれた技術者達が研究をしている。
それこそ技術者も科学者も研究者も多くの優秀な頭脳が揃っている。
アレイシャを蘇らせた技術もそんな高度な技術だろう。
この城はミィアが望むだけ予算を出してくれる最高の環境なのだ。
「でもなんで研究をさせてるの?人間界に侵攻したり滅ぼすつもりもないのに」
「世の中に貢献させてやろうというだけじゃよ、優れた頭脳は世界の至宝じゃ」
「魔王を名乗る割にその人の才能を引き出してるって事かしら」
「やっぱりよく分からないわね、でも国にいるより自由にやれてるのは伝わるわ」
ミィアもそんな優れた頭脳をきちんと使うという事を考えているらしい。
国にいると予算が少なかったり環境が悪かったりとあるため、研究も進まないとか。
「さて、そろそろお暇するわ、モナークにも話を聞きに行くから」
「うむ、決めるのはお主達じゃ、妾はそれを尊重する」
「感謝します、魔王殿」
「それじゃモナークの屋敷に行くわよ」
ミィアやモナークの意外な真実を聞いたアレイシャ達。
決めるのにはもう少しかかりそうだが、その話の信憑性は増す。
別の世界とはどのような場所なのだろうか。