天使の正体
街の地下を進むアレイシャ達。
血に染まるその地下には何があるのか。
ここで何が行われていたのか。
その答えを求め先へと進む。
「ここはなんなのよ…気持ち悪い」
「この感じからして処刑場でしょうか」
「処刑って何を?罪人とか?」
「エメラダ教は何をしてたっていうのよ」
そうして進んでいくとまた扉が見えてくる。
その扉をくぐるとそこには見慣れぬ装置らしきものがあった。
「これは…何かの装置のようですね、近くに処刑用の斧もあります」
「何をしていたのかしら、これなんの装置なの?」
「分からないわね、壊れてるからなんとも言えないわ」
「ようやく来たか、遅かったな」
今までに何度も聞いた声がした。
そこにはあの白フードがいた。
「あんた、ここの関係者よね?」
「今度こそフードの下を見せていただけるんでしょうか」
「そうだな、ここに来たのなら見せてもいいだろう、私の顔を」
「あなた…その体…」
フードを取った天使は明らかに歪なものを感じる。
ゼスフィはそれにすぐに気づいた。
彼女は首と体が別のものになっている。
つまりその体に別の頭を付けられているという事だ。
その姿にアレイシャ達も言葉が出ない。
そして天使は何があったのか簡単に話してくれた。
「あなた、ここで行われていた何かの生き残りですね」
「そうね、私はここで行われていた実験の適合者で生き残りよ」
「実験?適合者?なんなのそれ」
「その首がその証拠ですよね?違いますか」
天使の首には何かを接合したような痕がある。
恐らく天使の体に人間の頭部をくっつけたのだろう。
天使と人間をくっつけるというまさに狂気とも言えるその実験。
なんのためにそんな事をしたのか。
「それなんなのよ、答えなさいよ」
「そうね、これは人工的に人間に天使の力を植え付ける、そんな実験よ」
「人工的にって、つまり首を落として別の首をくっつけるって事よね」
「そんな事をしたら体が拒絶反応を起こして死んでしまいますよ」
ゼスフィの言う事は当たっている。
人の体に別の人の体をくっつけるというのはそれだけで死の危険を伴う。
体がそれを受け付けなければそれだけで死んでしまうのだ。
彼女はそれの生き残りだと言うが。
「にしてもエグいわね…」
「あなたは知らなかったのね、でも私がその生き証人、エメラダ教の闇のね」
「それにしてもそんな事が行われていたとは、世の中には闇というものがあるものです」
「それであなたはこれからどうするの?」
アレイシャが問う天使のこれから。
それについても聞いておかなくてはならない。
「そうね、私は同胞の魂を眠らせなくてはいけない、それからは知らないわ」
「考えていない、そういう事ですか」
「あんたが被害者なのは分かったけど、結局はエメラダ教の過去の事だものね」
「そうね、だから過ぎてしまった事は変えられない、それだけよ」
そんな中天使は一つ面白い話を持ちかける。
それは天使が知っている忘れられた世界の話。
「あなた達、別の世界に行ってみたくない?」
「別の世界ってまた突然の話ね」
「そんな世界があるのですか?興味はありますけど」
「そもそもどうやって行くの?」
天使が言うにはこの世界の中心にある半島。
そこに秘密の場所がありそこから行けるらしい。
「でも面白そうね、別の世界なんて」
「ただし一度行けば簡単には戻ってこられないわ、それでもいいなら」
「旅は続けたいと思ってたし世界の多くは行ってしまったものね」
「私はアレイシャ様が行くというのならそれに従いますが」
判断は一旦保留にする事に。
だが旅の面白さを知ったアレイシャはそれも面白そうだと考えていた。
天使は仲間の魂を眠らせてからの今後は分からないという。
アレイシャ達はそれについて考える事にした。
「私は行くわ、もしかしたらどこかでまた会うかもね」
「私達も行きましょうか、今後についても考えないと」
「そうですね、別の世界でもどこでも私は行きますよ」
「本当かは分からないけどね、でもとことん付き合うから」
そうしてその街から引き上げる事にした。
天使が言う別の世界、それも面白そうだとは思っていた。
これからについては少し考えてから答えを出す事にした。