魔王の葡萄
ネクタルを作るのに必要な果実を求めるアレイシャ達。
神の桃と竜のリンゴを手に入れ、最後の魔王の葡萄を求めグルシュに戻ってきた。
このグルシュにある農園でその葡萄は栽培されているらしい。
首都から少し離れた場所にある農園にあるらしいのだが。
「ここがその魔王の葡萄の農園かしら」
「そのようですね、葡萄が栽培されています」
「こんな暑い国でも葡萄が栽培出来るものなのね」
「とりあえず農園主を探してみましょうか」
そんなわけで農園主を探す事に。
農園を見学しつつ歩いているとそれらしき家を見つける。
「ここでしょうか、呼び鈴を鳴らしてみましょう」
「いるのかしら」
「たぶんいると思うけど」
「誰か出てくるわよ」
少しして中から人が出てくる。
出てきたのは若い男性だった。
「はい、なんのご用ですか」
「ここで魔王の葡萄が栽培されていると聞いたのですが」
「少しワケがあって魔王の葡萄が必要なの」
「可能ならば譲っていただけないでしょうか」
男性は少し考えて交換条件を出す。
それは今年のワインの仕込みを手伝ってくれというもの。
それを手伝ってくれたら譲ってくれるという。
簡単ではないと思いつつもそれを飲む事に。
「分かりました、それをお受けします」
「話が分かりますね、ではついてきてください」
「農園がワインを作ってるのかしら」
「そういうところもあると思いますよ」
そうして仕込みをする場所に案内される。
そこで説明を聞いてワインの仕込みをする事に。
説明を聞いた上でその仕込みを開始する。
少しぎこちないが仕込みは順調に進む。
「あの、農園なのにワインを売っているんですか?」
「そうですよ、基本的には卸すんですけど、うちでも数量限定で売ってるんです」
「へぇ、なんかいいわね、あたしお酒は好きよ」
「アナスティアってお酒に強いわよね、全然酔わないのよ」
そんな話をしつつ仕込みはどんどん進む。
それから時間は過ぎて、仕込み作業も終わる。
その上で魔王の葡萄について相談する。
手伝ってくれたお礼として魔王の葡萄を譲ってくれるそうだ。
「とりあえず先日収穫したものがあります、それで構いませんね」
「ええ、構わないわよ」
「使えればそれで構いません」
「贅沢は言えないもの」
そんなわけで先日収穫したものを譲り受ける事に。
それを保存してある倉庫に案内される。
「これですね、一箱あれば足りますか?」
「ええ、感謝します」
「いろいろすみません」
「なんにしてもありがたくいただきますね」
そうして魔王の葡萄を無事に譲り受ける。
そのまま帰ろうとしたら呼び止められる。
せっかくなので今年のワインの味を見てくれないかと言われた。
ついでにグレープジュースも飲んでみるかとも言われた。
面白そうなので試飲させてもらう事に。
出来立てのジュースとワインを持ってきて注いでくれる。
「ふむ、このワインは葡萄の味が濃いですね」
「ええ、うちのワインは葡萄の美味しさを伝える事も兼ねていますから」
「こっちのジュースも美味しいわね、これ無添加なの?」
「葡萄の美味しさが透き通るように入ってくるわね」
その葡萄の美味しさも感じつつワインとジュースを飲み干す。
ヒルデはワインを気に入ったようで、その場で一本お買い上げのようだ。
エイルも気に入ったのかその場で一本買っていた。
ジュースも美味しかったようで、やはりこういうものはいいと感じた。
「さて、ではそろそろお暇しますね」
「はい、お買い上げありがとうございました」
「とりあえず首都に戻りましょうか」
「そのタイミングで日が落ちそうですからね」
そうしてアレイシャ達は農園をあとにする。
飛行船に戻りそのまま首都へとターンする。
首都に戻り宿を確保して、明日バッカスに会いに行く事に。
やっと無茶振りのネクタルに辿り着けそうだ。
「宿は確保したので何か食べに行きますか」
「いいわね、外食っていうのも」
「エイルは少しは加減しなさいよ」
「大食いなんだから」
そんな感じで夜の街に出て外食を満喫する。
次の日はバッカスに手に入れた果物でネクタルを要求する事になる。
神の酒は本当に手に入るのか。




