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暗闇の底へ

砂龍の信仰の調査のために地下遺跡へと入るアレイシャ達。

その遺跡は地下遺跡というだけあってとても暗く深い。

闇に飲み込まれるような感覚すら覚えるその遺跡。

少ない明かりを頼りに闇の底へと潜っていく。


「これでいいかしら」

「ええ、これでしばらくは明かりには困らないわね」

「ですがアナスティアの魔力にも限りはあります、魔力薬も用意はしていますが」

「なんにしても無理はさせられないですね、松明と併用しつつ奥へ進みましょう」


そんなわけで地下遺跡をさらに地下へと潜り始める。

所々からコウモリの鳴き声も聞こえるその不気味な暗闇の世界である。


「明かりの魔法があるとはいえ、不気味だわ」

「コウモリに噛まれると何かと面倒なのでお気をつけて」

「それにしても意外と怖がるような人はいないのね」

「あー、それは分かる、なんか女ばかりのメンツなのにね」


職業の関係なのか、暗闇やコウモリに怯える様子はない。

寧ろ襲ってきたコウモリを返り討ちにしてしまいそうな勢いである。


頼もしいと言うべきなのか、らしくないと言うべきなのか。

そんなメンツなので特に声を上げる事もなく淡々と奥へと進んでいく。


「あっ、明かりが切れた」

「仕方ありませんね、今松明をつけます」

「ヒルデってこの暗闇でも見えてるの?」

「夜目が利くのかしら、暗闇でも見えるみたいな」


とりあえずは松明に点火する。

それで明かりは戻り周囲も見えるようになった。


あとは松明が消えるまでに出来るだけ進む事に。

この遺跡はそれなりの文明なのか、建造技術はそれなりに高いようだ。


その後も松明と魔法を併用しつつ奥へと進む。

そしてしばらく進むと何やら扉が確認出来る。


この扉の先なのかと思いつつ、その重厚な扉を開ける。

その中はどうやら王の間とでも言うような部屋があった。


周囲を見渡すと部屋の西側に祠を見つける。

どうやらこの部屋自体王の間と兼ねているように感じ取れる。


とりあえずは祠の調査を開始する。

暗闇の中で祠を丁寧に調べる事に。


「暗いとやっぱり面倒ね」

「そればかりは仕方ないわ」

「それにしても砂も結構あるのね、砂漠の地下だからかしら」

「でしょうね、砂漠の地下なんてめったに入れる場所ではないですから」


そうしているうちに祠の調査を終える。

すると今回も背後にその気配を感じ取る。


そこにいたのはローブ姿の中年男性だった。

どうやら彼が砂龍のようだ。


「お前達か、話に聞いているのは」

「あんたが砂龍かしら」

「初老でもなく若くもないといったところですかね」

「相変わらず暇なのですか?」


砂龍曰く暇というわけでもないらしい。

ただ自分達の事を調べているという事に興味があるとか。


「人間が我らを調べるとはな、黒龍の言っていたように変わり者なのだな」

「そうね、でも知らなかったものは何度も見ているもの」

「ですね、だからこそ知りたいと思ったまでです」

「世の中には知らない事もたくさんあるものね」


知らない事は知りたくなる、それはアレイシャの元々の性分なのだろう。

屋敷の時代からヒルデはアレイシャが読書好きなのを知っている。


知らない事は知りたくなる。

それは本の世界を知りたいと願う気持ちなのか。


「でも龍の神も追放した奴らに一矢報いたいって思ってんじゃないの?」

「そうね、今までの話から穏健派と過激派に分かれてるのも聞いてるし」

「それはある、だが命を簡単に捨てるほど愚かでもないのでな」

「つまり過激派も名前の割には慎重って事なのかしら」


砂龍が言うには自決するというような考えを持っている者はいないらしい。

両派とも生きて報いるという事は共通理念だそうだ。


「何気に命は大切にしているのね」

「それは死神の私とて無駄に命を奪わないのと同じです」

「その死神の言う通りだ、命を粗末になどせん」

「意外と紳士的なのですね、驚きました」


すると今回もその気配を感じ取った。

どうやら今回もお出ましのようだ。


「出たみたいね」

「お前達も来るのだろう?」

「当然です」

「行きましょう、白フードに会いに」


そうして部屋を出る。

今回もその白フードは様子を見にきたのか。


彼女の瞳には何が映っているのだろうか。

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