夢と現実
銀龍の祠の調査を終えたアレイシャ達。
そこで今回も本人である銀龍に出会う。
そして今回もその感覚を感じ取る。
天使様から今回は何か聞き出せるのか。
「貴様か、同胞達の言っていた白フードは」
「お前は銀龍だな、龍の神も暇なものだ」
「それはあなたもなんじゃないかしら」
「同意ね、毎回様子を見に来るんだから」
白フードはそれでもアレイシャ達に関心を示しているようにも感じる。
それは今までの人間達とはどこか違うものを感じているのか。
「それにしてもあなたは人間ではなく宗教、いえ、エメラダ教を憎んでいるのですね」
「それならば素直にそう言えばよかろう、回りくどい奴だ」
「私は夢を見た、だが現実は夢のようにはいかないものだ」
「どういう意味?なんの事よ」
白フードの言う夢を見た、そして現実は夢のようにはいかないという言葉。
それは彼女自身の過去に関係しているのか。
以前言っていた天使が逃走したという話。
それとも何か関係があるのか。
「そういえば以前天使が逃走したという事を言っていましたが、それはなんの事ですか?」
「天使に限った話ではないが、異種族はこの世界に夢を見ている、という事だ」
「それは私のような種族の事も含むのですか?」
「そういえば追放前に聞いたな、下界には外界から異種族がやってくると」
銀龍の言う異種族、それはフィセアのような人魚、そして天使などの事か。
口ぶりからして他にも異種族がこの世界にやってきているのかと思った。
「銀龍、お前は知っているだろう、天使の乱獲事件を」
「まさか…、あの人間界で起こった事件の関係者なのか、お前は」
「天使の乱獲事件?まさか私を襲った逃走した天使というのはその…」
「乱獲事件で逃げた天使だった…って事かしら」
白フードの言う天使の乱獲事件、ヒルデを襲った天使。
確かに合致する話でもある。
もしも白フードがその関係者なのだとしたら。
そしてそれをやっていたのはエメラダ教という事になる。
エメラダ教の闇が見え隠れする話。
だが詳しい事は今は話すつもりはないらしい。
「ですがなぜそんな事をしていたのですか、まさか異種族には人権などないとでも?」
「いや、人間には一部だがそういう輩が存在するのは私も知っている」
「それについては自分で調べるのだな、だがその事件は私の原点だ」
「他の龍の神が言っていた人間ではないものの感覚って…」
それについては自分で調べろとしか言わない。
だがその真実にエメラダ教の闇があるのだろう。
白フードはあくまでも自分で確かめろとだけ言う。
その言葉は天使の乱獲事件に異種族の話など、複数の問題が絡みそうでもある。
「それとそこの女騎士、貴様は私と似た臭いがする、違うか?」
「なんの事かしら?存じないわね」
「まあいい、どうせそのうち貴様の秘密を暴いてやるまでだ」
「そうね、それは私も思ってるわ」
白フードはそれ以上は勝手に調べればいいと言い残し去っていった。
銀龍も改めてその話を仲間達に伝えると言ってくれた。
そうして銀龍も去っていった。
アレイシャ達は次の目的地を探すべく遺跡を出る事に。
「とりあえず下山して次の目的地ね」
「あの、アレイシャ、白フードの言っていた似た臭いというのは…」
「そうよ、何かの冗談でしょ」
「それについては言うべき事ではないわ、行くわよ」
アレイシャが生きる屍であるという事。
それについては言う必要はないと感じていた。
元々復讐のためでもあったし、それはとっくに達している。
今はその時間を満喫したいとだけ思っている。
そのまま下山し飛行船に戻る。
そこで次の目的地について調べる。
ここから一番近いのは東にある砂龍のようだ。
砂龍、砂の龍とはどんな龍なのか。
その目的地をエイルに告げる。
仲間達もそれに同意し次の目的地は砂龍に決まる。
「東にある砂龍の国ね、それじゃいつでも行けるわよ」
「ええ、頼むわね、エイル」
「アレイシャ、何か隠しているのでは…」
「疑いたくはないけど…」
セクネスとアナスティアはどうしても引っかかっていた。
そんな中砂龍の国に向けて飛び立つ。
砂龍とはどんな龍なのだろうか。