銀龍の祠
山賊の噂はただの誤解だった。
そんなアレイシャ達は山を登り祠のある遺跡に到着する。
とりあえずは祠を目指して遺跡に入る。
その遺跡はなんの遺跡なのだろうか。
「ここってなんの遺跡なのかしら」
「さあ?古代文明なんてものは多数出ていますが、どれも不確定ですよ」
「それを検証するのが科学者とか歴史学者なのよね」
「私は歴史とか好きですよ、ロマンですから」
セクネスは意外と歴史などが好きらしい。
元々真面目な性格で本などをよく読むからなのだろうか。
「古代文明とかはロマンですからね、やはり歴史はいいですよ」
「セクネスさんは歴史好きだとは意外でしたね」
「セクネスって昔からなのよ、捨てる本とかもらってたのよね」
「私が教会に預けてからも騎士の鍛錬の傍ら本をよく読んでいたものね」
セクネスは生真面目そうな性格の中にオタク気質もあるのだろう。
歴史オタクとでも言うべきなのか。
一方のアナスティアはそんな事もなく、自由な性格だ。
そんなデコボコな二人だからこそ気が合うのだろうか。
「祠ってどこにあるのかしら」
「話ではそんな奥の方ではないそうですが」
「つまりそんな歩かないのですか」
「だと思います、とりあえず歩いてみますか」
そうしてしばらく歩いていると壁画らしきものが見つかる。
この遺跡に関係するものなのだろうが、文字が読めるわけでもない。
そんな歴史に感心しつつしばらく歩く。
すると少し開けた部屋に祠を見つける。
「これがその祠みたいね」
「とりあえず調べてしまいましょうか」
「ですね、思ったよりも近くてよかったです」
「それにしても西の国の遺跡はそれ特有のものを感じますね」
そんな話をしているうちに祠の調査が終わる。
そしていつものようにその気配を感じ取る。
そこにいたのは美しい女騎士のような女性だった。
彼女がどうやら銀龍のようだ。
「お前達か、我々の事を調べているというのは」
「あなたが銀龍なのかしら」
「美しいですね、流石は高位の龍の神とでも言うべきですか」
「聖騎士とかそんな感じよね」
銀龍もアレイシャ達には興味はあるらしい。
人間にしては面白い奴らだと思っているそうな。
「それにしてもいちいち出てくるのもいいものなの?」
「我々とてお前達と話が出来る事は悪いとは思っていないからな」
「神様って意外と寛容なのかしら」
「敵意がない相手を攻撃するほど愚かではないって言っていますからね」
とはいえ龍の神も追放した神々への復讐を考えるような奴らだ。
穏健派と過激派が存在するものの、自分達の存在に誇りはある。
追放した神々への復讐というのは存在の証明なのか。
そう考えるとアレイシャも少し思うところはある。
「ですが神というのも内紛のような事は起こるのですね」
「神とて一枚岩ではない、派閥などはあるし対立している神も当然存在する」
「それは昔からですね、神というのは司るものなどから相反するものもありますから」
「ゼスフィの言う通りなら神様って昔から対立とか内部抗争とかしてたのかしら」
神も一枚岩ではなく、派閥や対立は存在しているという。
元々神というのは様々なものに宿り、それを司る存在だ。
なので相反する存在の場合は当然対立は起こってしまう。
ゼスフィは死神なので、生を司る神とは対立しているのだろう。
「龍の神もそれと同じだ、相反する神ならば仲はよくないからな」
「例えばだと水と雷とか?」
「神様って面倒なのね、でもそれだけこの世界には神様が存在してるのね」
「私は神など信じていなかったのですがね、ですが目で見たものが真実なのでしょう」
ヒルデは目で見たものを信じる性格だ。
空想と思われている神もその目で見たのならそれは真実。
それがヒルデの流儀であり、信じる理由。
そんな話をしていると今回もその感覚を感じ取る。
「来たか、お前達も来い」
「分かってるわよ、あの白フード、今度こそ…」
「行くわよ、話は聞いておかないとね」
「曖昧な話に今回もなるのかしら」
そうしてその気配を感じた先へ向かう。
そこには今回もあの白フードがいるのか。
天使様とは結局なんなのだろうか。