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食品工場とお金持ち

ヒルデの足跡を辿るアレイシャ達。

中部市場で一夜を明かした後食品工場の街へと来ていた。

この街は国内だけでなく他国にも食料を卸している。

他国の加工食品の製造拠点としても使われる国際的な街だ。


「ここが食品工場の街ですか」

「そうよ、小さな工場から大きなものまであって、世界の加工食品の拠点なの」

「ふーん、つまり他国の人もここに工場を構えてたりするのね」

「それはそうとヒルデについて訊いてみましょう」


とりあえずはヒルデについての情報収集を開始する。

とはいえやはりそう簡単にはいかないものである。


「駄目ね、工場とかは覚えてないって」

「酒場なら聞けるかもしれないけど」

「まあ情報が集まる場所ですからね」

「そこだけが頼りね、行くだけ行きましょう」


そうして酒場へ向かう。

酒場に入り軽いドリンクを頼んだ上でヒルデについて尋ねてみる。


「ヒルデ?うーん、そういや二年前にそんな人が来てたな」

「やっぱり来てたのね」

「行き先とか聞いてない?」


マスターは当時の事を絞り出す。


「そういやもしお嬢様が生きていたなら追いかけてくるかも、とか言ってたか」

「ヒルデ…可能性を捨ててなかったのね」

「それでどこへ行ったのですか」


マスターの記憶を覚えている限り絞り出す。


「えっと、北にある鉄道の駅に行ったな、そこから商業都市に行ったはずだ」

「商業都市?」

「この国の商売の中心地ね、王都とは別の大都市よ」

「そこで何をしたのでしょうか」


マスターの話ではヒルデはお金を貯めていると言っていたという。

今までのルートからしてそこで資金を集めていた可能性がある。


「最終的に王都まで行ってそのあとは北東にあるアウスタリアに行くとか言ってたな」

「北東の国アウスタリアね、あそこは寒い土地だけど何かあるかしら」

「アウスタリアだと王都から国境まで鉄道が通っていますね」

「なんにしてもありがとう、助かったわ」


マスターにお礼を言う。

マスターも行くなら気をつけるようにとだけ言ってくれる。


「さて、アウスタリアだとまずは王都を目指す事になるわね」

「そこまで行くと戦争の影響も少ないと思うわよ」

「バルディスタとコレアムの戦争があとどれだけ続くかにもよるけど」

「三年も泥沼が続いているのなら簡単に終結はしないでしょうね」


そうして街を出て北に向かおうとしたとき一人の男性に声をかけられる。


「失礼、少しいいですか」

「なによあんた」


どうやら服装などからしてお金持ちの人間のようだ。


「その服装からバルディスタの人間とお見受けしますが」

「それがなにか?」


そのお金持ちの男は警戒はしなくてもいいと言う。

そして頼みがあると言う。


「実はバルディスタに食料を届けたいのですが、少しお名前をお借りしたくて」

「名前を借りるって、あんたの名義じゃ駄目なの?」


その貴族らしき男は身元がバレると何かとあるらしい。

それでバルディスタ人のアレイシャ達に無理を承知で頼んだという。


「それならいっそ偽名でも使えばいいのに、匿名も出来ると思うわよ」

「いえ、大量に仕入れると身元の証明が必要なのです」

「つまりあんたの身元を私達の身元でカムフラージュすると」


怪しすぎるわけだが、それでもその話を承諾する。

貴族らしき男はお礼として残金は全てくれると言う。

都合のよすぎる話だが仕方なくそれで話を成立させる。


その後工場直営の店を何軒か回りエロイーズの名義を使い買い物を終える。

それらの食料はバルディスタの帝都を始めとする各街へと送られる事になった。


そして約束通り買い物で余った残金は全てもらった。

金額にして約十万の残金、本当にいいのかとも思った。


「そうだ、あと名乗ってもいいでしょう、私はオルソンと申します」

「はぁ、それじゃこの残金は本当にもらっていいのね?オルソン」


オルソンは快くくれると言う。

そうしてオルソンはお礼を言って立ち去っていった。


バルディスタの貴族オルソン、彼が何者かを知るのはもう少し先になる。


アレイシャ達はついでに食料を買いその足で北にある鉄道の駅へと向かうのだった。

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